題名「今は遠い海をつかまえるはなし」
中村翔
海
「冬・・・。」
「うん。今は冬だね。はあ、はあ。」
思わず疲れたのか溜息が出る。
「はあはあ。うっ...。」
私こと秋が突然倒れてしまう。
「はあはあ。この症状は・・・。」
秋は医者の勉強をし始めていたのもありこの病気を知っていた。
秋「忍。お願があるんだけどいい?」
忍「うん」
秋はあるお願いをした
忍は海を目指して旅を始めた
忍「はあはあ。」
秋のお願は船に戻って薬をとってきてほしいというものだった
ただでさえレインコートに軍手に長靴で動きにくいのに・・・。
道のりはこうだ
まず山を越えて、川を越えて、道路を越える。
とりあえず山だ
忍「やぎさんやぎさん。背中に乗せて?」
「めぇ~~~!」
やぎは忍を背中に乗せて走りだした
「めぇ~~~・・・。」
ヤギは疲れて眠ってしまった
次は川だ
忍「ワニさんワニさん。お腹に入れて?」
「ぐるる・・・。」
ワニはおなかに忍を入れて泳ぎだした
「ぐるる・・・。」
ワニは疲れて仰向けになった
最後は道路。
「ヘイ!乗ってくかい?」
バイク乗りの背中にまたがりビュンビュビュン。
「ガス欠でい。」
バイク乗りは石油を探していってしまった
忍「というわけさ!」
秋「はいはい。どうせ車で行ってきたんでしょ?」
忍「ち、ちがうよ・・・!実はこう。」
親切なお兄さんがお薬を売ってくれた
秋「もう!本当は?」
忍「本当は・・・。」
秋のために海を目指したんだとか、途中の町に診療所があって猫ばばしてきたとか言えない
秋「まあいいや。ご飯食べよ。」
忍「こくっ」
町々に行くときに缶詰を頂戴していく。
忍の味覚は変わったようで、鯖缶を食べまくる。やはり10缶。
つーーーーー
忍「秋お姉ちゃん鼻血・・・。」
秋「大丈夫大丈夫。いつものことだから。」
おそらくだが、船で忍がかかってた病気と同じだろう
忍「じーーーーーー。」
忍がこちらを眺めてくる
秋「な、なに?」
忍「ちょっと休んでこうよ?秋お姉ちゃんも疲れたっしょ?」
忍の日本語が不安定なのは前作見えない海を読んでいただきたい。
ウィーン
また自動ドアだ
気にしない気にしない
最新式の機器が並んでいる
血を採って遠心分離機でなんやかんやする機械も置いてある
試しに忍の血をかけてみる。
AB型 14歳
未設定 忍
ふむふむ↑が付いてるのが高く、↓がついてたら足りないのか。
秋「忍はカルシウム採った方がいいね......」
忍「???。かるしう・・・?」
続けて私の血をとってみる
ごうんごうん
機械が唸りながら血をかき交ぜていく
ぴぴっ
AB型 28歳
未設定 秋
ナトリウム 37~44mEq/L↓ ※要注意
ナトリウムが少ない。ナトリウムの意味を近くの辞書で調べる
ナトリウム:塩
つまり塩分が足りてないから最近鼻血を出すのか
目的地として海は遠すぎる
しかし海に行かなければ塩は手に入らない
秋「忍さあ・・・どっか行きたいところない?」
忍「日本かな・・・?」
秋「そっかー行ってみる?」
忍「無理だよね?例え行けたとしてももう家なんて残ってないし。」
ねえ、こうしようよ
忍「この大地の隅から隅まで旅をする。んで!その途中に海があったら前みたいに海にでよう。」
秋「忍・・・うんそうだね!海なんてどうでもいいよね!」
後ろに回した手には小瓶が握られていた
秋「さていこうか」
忍「うん」
今は遠い海をつかまえに
完
題名「今は遠い海をつかまえるはなし」 中村翔 @nakamurashou
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