大福ふくふくふくちゃん2福め🍂

夢月みつき

第1話・第2福「ふくりんとおじいちゃん」

「ふくちゃん表紙」

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330662966391933



「大福ふくふくふくちゃん2」登場人物紹介

1. ふくりん

スイーツ妖精村の大福妖精族の男の子。いつも元気いっぱい。

ふよふよもち肌の7歳。あんずおばあちゃんが好き。

友達にようかん妖精族のようくんがいる。つぶあんの白大福。


2. お母さん

ふくりんの母。大福妖精族。苺大福。

料理上手の色白ママ。


3. おじいちゃん

ふくりんの祖父。大福妖精族。よもぎ大福。

おばあちゃんが他界してから元気がない。


🌺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌺



ある日の、小学校からの帰り道。ふくりんは、橙色だいだいいろの夕陽に照らされながらぽてぽて歩いていた。

空も、グラデーションが、掛かった綺麗なオレンジ色に染まり、シオカラトンボも飛んで

道端の赤い彼岸花が、風に吹かれて揺れている。



暑い頃から、秋の季節に変わる頃のスイーツ妖精村。そんな、風景の中をふくりんは行く。

ふと、立ち止まり、あんずおばあちゃんの駄菓子屋を横目で見た。

寄って行こうかとも考えたが、お母さんが待っているし明日にしようと思った。


ふくりんは、茶色や白のきのこ型の家が並ぶ。住宅街に入り歩いて行く。

そして、赤くて、丸いきのこ型の家の前でふくりんは、止まった。

「ただいま~!」

ふくりんは、家に着くとドアを開けて玄関に上がった。


「お帰り、ふくちゃん。今日は、学校どうだったの?」

水色のエプロン姿の、お母さんが奥から、出てきてふくりんに聞く。

お母さんは、苺大福妖精だ。

「今日も、ようくんと遊んだふく~」


にへへと嬉しそうに笑う、ふくりん。

ようくんは、ようかん妖精族の元気な男の子で、ふくりんの友達だ。

「そういえばね。今日は、新しい友達が出来たふくよ。マカロン妖精族のロンちゃん。とっても、可愛い女の子だったふく~」



ふくりんは、少し頬を赤く染めた。

ふくりんは、部屋の机の上にランドセルを置くと、縁側に行って見た。

そこには、ふくりんのおじいちゃんが座って、庭を見ながら冷たい麦茶を飲んでいた。

ふくりんのおじいちゃんは、よもぎ大福である。


「おじいちゃん。ただいまふくっ!」

「おお、お帰り。ふくりん。今日も元気かの?」

「元気ふくよ。おじいちゃんは?」

「おじいちゃんも、元気だけど。肩がこってな。」


おじいちゃんは、右肩をとんとんと叩く。

「じゃあ、ふくが肩たたきするふく~!」

「ありがとのぅ。ふくりん。」


ふくりんが、おじいちゃんの肩を叩いている。

おじいちゃんの部屋には、仏壇があり、おばあちゃんの位牌と写真が飾られている。

おばあちゃんは、ふくりんが、5歳の時に他界してしまった。


いつも、元気に見えるおじいちゃんだが。その頃から、おじいちゃんは時折、寂しそうに溜め息を吐く時がある。

ふくりんは、それを心配していた。ふくりんも、出来ればもう一度、おばあちゃんに会いたい。


でも、おじいちゃんが、悲しむので言うのを我慢しているのだ。

ふくりんとおじいちゃんは、秋の草花が咲いて来た。庭を眺めた。

秋の虫の鳴き声も少し、聴こえるようになっている。


「もう、秋だなあ。ふくりん」

「そうだねえ。おじいちゃん」

「ばあさんも、秋が好きじゃった…」


おじいちゃんが、ぽつりとつぶやき、ほろりと涙がこぼれる。

ふいにふくりんは、おじいちゃんまでいなくなってしまう気がして、不安感に襲われた。

「おじいちゃん。おじいちゃんには、ふくもいるし、お母さんもお父さんもいるふく。おじいちゃんまで、天国に逝ったら。ふくは、泣いちゃうふく~」


「わああ~ん!!!」

どうしようもなく、寂しくなったふくりんは、おじいちゃんに抱き着いて泣き出してしまった。

「ふくりん…」

涙が溢れるおじいちゃん。

その時、どこからともなく。風に乗って声が聴こえて来た。


なにをしてるんだい!ふくりんを泣かすんじゃないよ。しっかりおし。あんた!


ふくりんの耳に、おばあちゃんの声が、聴こえてきていた。

それは、おじいちゃんにも、聴こえたようだ。

「おじいちゃん。いまの声?」

「ああ、ばあさんの声だ…。わしにも、聴こえた。」

二人は、キョロキョロと辺りを見回すが。誰もいない。


すると、おじいちゃんは先程とは打って変わって。大笑いを始めた。

「わっはっはっは!ばあさんがあの世から、わしを叱りに来たわ!」


その大笑いに、びっくりするふくりんだったが。少し、ほっとして胸をなでおろした。

その日から、おじいちゃんは、寂しそうに溜め息を吐かなくなった。

これまでより、生きる気力を取り戻したようにも、見える。


「おばあちゃん。ありがとうふく~!」

ふくりんは、空の彼方に向かって、声を掛けて手を合わせた。





〇おわり〇大福ふくふくふくちゃん2~第2福「秋の気配が聴こえるふく」



🌺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌺

4. おばあちゃん

ふくりんの祖母。大福妖精族。豆大福。

気が強いが、温かいおばあちゃんだった。

ふくりんが、5歳の頃に他界した。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

前作「大福ふくふくふくちゃん」もよろしければお願いします。

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