第3話 俺の嫁入り
前略、この度俺は初めてのキスを5分前に告った女に奪われてしまいました
そして俺は今、郊外にある俺の『婿』であるレナ・ラヴェルの家にお姫様抱っこで運ばれていた
(道ゆく人みんな見てる…は、恥ずかしい…!!!)
俺は恥ずかしさのあまり手で顔を覆った
「レナさん…あの流石に重くないですか…?私1人で步けます…」
「ははは!気にするなリーク、私は力には自信があるしリークなんて全然重くない方だと思うぞ」
「そういえばレナさんのお父さんはさっき名誉魔法使いって言われてましたね、レナさんは魔法使えるんですか?」
俺はレナに聞きたかったことを聞いた
「レナは魔法使えないよ」
声のした方にはさっきレナのことを『レナお姉ちゃん』と読んでいた女の子が
いつの間にか一緒に歩いていた
「…」
レナさんは何故か黙り込んでしまった
「魔法を使えない…?なんでなの?」
俺は一応女の子に聞いてみることにした
「まぁ僕たちにも色々あるんだけど…そういうことは家に着いてから話すね」
(ぼ、ぼく?)
俺はクエスチョンマークを頭に浮かべていた
そして俺たち一行はいつの間にか郊外の森の中まで来ていた
「ついた!ここが我が家の入り口だ」
目の前には大きな門ががあり、鉄格子の柵に長く手入れされていない植物のツタがまるでフォークに巻き込まれたパスタのように巻き付いていて
柵の奥にかろうじて見える庭木もボサボサと枝葉が茂っている。
まさに『森の洋館』という名が相応しい外観をしていた。
「え?この中に住んでるんですか!?」
多分俺の顔今めちゃくちゃ引きつってる。
「あぁ、そうだが…何か心配なことでもあったか?」
「い、いや?なんでもないです。ただちょっとネズミは苦手なもので…」
「はは、私の家にネズミは出たことがない!なにせ家にはマーシュがいるからな!」
「マーシュ?」
「私たちの家族だ」
「マーシュ!正面の門を開けてくれ!」
キィィィー
細く冷たい音を出しながら目の前の門が開いた。
「おお〜」
門が開く迫力に思わず声が出た。
「やっぱりリークは可愛いな〜」
レナは俺を抱えたままニコニコ幸せそうだ
正面の門からまっすぐ進む。
彩りのない曇り空のような庭には季節外れの枯葉と雨水の溜まっただけの噴水、まるで没落した貴族の別荘のようだ。
「ここには何人で住んでるんですか?」
「私と、レイト、あとさっき話にも出たマーシュ、あとロールスという使用人がいる」
「それだけ!?」
「そうだな、今日からリークも入れなきゃいけないな!」
(そういう意味じゃないんだけど…てかレイトって妹のことかな)
俺たちが洋館の入り口の扉の前に立つとドアがギィッと開いて中から老婦人が出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、レナお嬢様…とその女性は…?まさかお嬢様!また女性を無理やり連れてきたのではないでしょうね…?」
「失敬な!今回の女性は正式に私の妻となる…!予定だ…!」
「レナお嬢様!そう言ってあなた!何人妻予定の女性が夜逃げしたか覚えていますか!?」
「ぐぬぬぬ……」
俺が今何か言わなきゃまたあの時のようにレナさんは落ち込んでしまう
俺が今、言わなきゃ
「ぉ…私がレナさんを選んだんです!そしてレナさんも私を選んでくれた!私はそれが嬉しかったんです!!!」
「私はレナさんと出会ってからの時間はとても短いです!だけどこれからたくさんの思い出をレナさんと作っていきたいんです!レナさんとの結婚を許してください!」
大声で叫んだ後、俺は何故か半泣きだった
「マーシュ、この女性なら僕も賛成だ。しかもレナの連れてきた他の女性と何か違うモノを秘めてそうな予感がしたし」
レナの妹のレイトも俺たちに賛同した
「レイト坊っちゃままで…!?こほん…分かりました…じゃあ条件をつけましょう」
(?!今レイト“坊っちゃま“って言ったよな…?)
「一週間、お二方の一切の接触を禁止します!!!」
「!?」
魔法なんて嘘だ!!! みけめがね @mikemegane
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