第零章 あぁ、そうだな

全てが悪い方向へと向かう羽目になった、戦争のおかげで

そしてその戦争は今も続いている

まるで終わり方を忘れてしまったかのように

そもそも終わり方を知らないかのように

始まりは些細なことだった

この星は北と南で二つの勢力に分かれている

二つの勢力は、文明のレベルがほとんど同じだった

故に、発展競争なるものをし始めた

北か南かでしか変わらない二つの勢力は団栗の背比べを長くしていた

ほとんど同じスピードで発展する双方、ある意味平和であった

だが、しばらくすると発展の速度があからさまに遅くなっていった

発展しすぎたのだ、北も南も

そんなとき、あるニュースがこの星を駆け巡った

墜落したのだ、宇宙船が、ほかの文明の物が

それまでは「理論上は存在している」と言われていたほかの文明があることが証明されたのと同時に、その宇宙船はこの星の何倍もの知識や技術が詰め込まれていた

星の住人はそれはもう喜んだ、まだ先に行けるのだから

だが、それが地獄の始まりだった

落ちた宇宙船は一隻

宇宙船は南と北の勢力のどちらにも属さない中立の団体が保管していた

南北の技術者が協力して解析を進める手はずだったのだが、人間というのは欲深い

それぞれはほかの星の技術を独占しようと、無理やりにでも宇宙船を手に入れようとした、血を流してまでも、だ

そのあとはもう想像もつくだろう、文明のレベルがほぼ同じことも相まって戦争は続いた

宇宙船は何度も南北を行き来した、そのかいあってか互いの技術力は戦前よりも数段と高くなっていた、高くなったところで戦争の長期化と死人の数の増加を招いただけだったが

今日もこの星は戦争が続いている

度重なる生物兵器の使用で自然は破壊され、ほぼすべてが砂に還った

この星は今は砂で覆われている、恒星の光がそれらに反射して輝く

まさに黄金のように

この星は、以前は名前などないのどかな星だった

だが、今は違う

我々の住むこの星は周辺の星々からこう呼ばれている

黄金の惑星、と



「___で_かー?すいま_-ん。」

うるさいな、目が覚めてしまっただろう。

「あのー、だいじょ__です_-?」

もう少し寝かせてくれ、今は無性に寝たいんだ…

「起きてくださーい。ご飯を買ってきましたよー。」

飯のいい匂いが鼻を刺激する、その声のせいでもあるが、徐々に意識は戻っている。

まったく…起きるしかないのか。

「はいはい、今起きるって。」

重い体を起こし、目を開ける。

俺が寝ていたのはベンチだった。まぁ家もないのでよくあることだが。

さすがに腰が痛いな…どんくらい寝たんだ?いや、その前に飯だ。

腹が空きすぎて何も考えれない。

差し出されたのは安くて硬い黒パンと温かそうに湯気を出しているスープだった。

それらを一心に腹に掻き込みながら思い出す。

俺の睡眠をまたしても邪魔してきたのは今隣に座っている少女だ。

…まぁ、あの時のを睡眠に入れていいのかは疑問だが。

たしか俺は死のうとしたが死ねず、この少女に自分の手伝いをしろとまくし立てられ、そしてふっと意識が切れたかのように眠った、のか。

「…大丈夫ですか?」

「あぁ、寝不足だっただけだ。…他人に心配されるのは久々だ。」

「…それは、心配しますよ」

「ほぉ、なんでだ?」

「私のために働いてもらうので、勝手に死なれても困りますよ。」

「…」

そうだった、さっき頭の中で確認したのに忘れていた。

まだ俺は寝ぼけているらしい、頭が回らない。

にしても、まったく面倒なことに巻き込まれたな…。

「…このスープ、美味いな。どこのだ?」

「普通のスープですよ……あなた、最後に食べ物を口にしたのは?」

「…覚えてないな。」

1週間はなにも食っていないか。飯が美味く感じるわけだ。

「食べたら…その、作戦会議?をします…いいですね?」

この少女は不気味だ。年上のような雰囲気を出したかと思えば見た目相応の雰囲気を出すときもある。不気味だ、だが、それと同時に興味深い。

「あぁ、そうだな」

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その砂は泥のように硬くなる お書記様 @osyokisama

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