繋がれし人々

武石勝義

繋がれし人々



「ああ、懐かしい」

 人混みの向こう、大通りをゆっくりと動く尖塔の先を目の当たりにして、テスは思わず声を上げた。

 思い思いに装飾された尖塔を乗せていくつもの山車が往来する様は、年に一度の祖霊祭に欠かせない光景だ。彼女の故郷でも祖霊祭の折には、人々の目に見守られる中を色とりどりの尖塔が練り歩く。だがここ、銀河系人類発祥の地とされる惑星スタージアの祖霊祭には比べるべくもない。

 スタージアの中心街を貫く大路を、何体もの山車が行き交う。優雅な、華麗な、あるいは突飛な形状の尖塔が、それぞれに装飾を競い合う。その光景を目にするために集まった人々の数は優に万を超えて、大路の側道に入りきらずにあちこちの小径にまで溢れ返っている。

 祖霊祭は銀河系中の数多の星で催されるが、中でもスタージアの祖霊祭は規模も伝統も最たるものとして、毎年多くの観光客が集う。そもそも《星の彼方》から現れた《原始の民》が、スタージアを発見して降下したその日を祝うのが祖霊祭なのだから、当然と言えば当然であった。

 テスが立つのは大路の突き当たりに構える、博物院と呼ばれる建物の四階だ。博物院は広大な公園緑地の南端に建つ、長筒を横倒しにしたような形状の巨大建造物で、その一端は大路に面したエントランスホールとなっている。七階まで吹き抜けたホールは、大路に向けて円形に近い巨大なクチが開いており、建物の内からも市街の様子がよく見えた。

 外から緩やかに流れ込む空気の動きが、テスの褐色の肌を優しく撫でていく。彼女のいる四階テラスはホールに迫り出すような形で、エントランス越しに真っ直ぐ伸びる大路まで見渡せた。少し身を乗り出せば、沿道にひしめく人々や、彼らの歓声を浴びながらゆらりゆらりと動く数々の山車まで認めることができる。

「ここから眺める山車も、なかなか乙なものです」

 テラスの手摺りに片手をのせていたテスは、背後からかけられた男の声に振り返った。

「博物院生はいつも、この特等席から祖霊祭を楽しめるというわけね」

「いえ、今日は長官のアテンドを務めることができた、その役得ですよ」

 テスに微笑み返したのは、若いにもかかわらず思慮深い表情がよく似合う、彼女よりもさらに濃い、チョコレート色の肌の青年だ。長官と呼ばれて、テスは未だにその肩書に慣れないことを自覚した。彼女が母国の文科庁長官に就任したのは、ついひと月前のことである。今回テスがスタージアを訪れたのは、各国代表が表敬に集うスタージア祖霊祭に、母国代表として参加するためであった。

「普段は祭事の進行に駆り出されて、とてもそんな余裕はありません」

 青年の名はソマーマン。スタージア博物院の院生である。テスよりひと回り以上若いソマーマンは、大臣の接待役を仰せつかるだけあって歳に合わぬ落ち着いた所作の持ち主であった。

 そうだ、スタージアの博物院生とは常に穏やかで、溢れる知性をひけらかすことのない、万事に柔和な物腰の人々なのだ。ソマーマンと言葉を交わす度に、テスの脳裏には古い記憶が蘇る。

「スタージアに来るのは久しぶり。前に来たのはもう三十年近く前になるかしら」

 そう言ってテスは、テラス越しにホールを見下ろした。彼女に懐かしさを呼び覚まさせたのは、祖霊祭の喧噪やソマーマンの振る舞いだけではない。

「あれは、昔から変わりないのね」

 テスが指差した先、ちょうどホールの吹き抜けの空間の中心辺りに、エントランスの向こうの景色を半ば遮るような形で、巨大な黒い球体映像が浮かんでいた。

 直径十メートルはあるだろうその球体の中には、無数の輝きが散りばめられている。輝きの放つ色は赤、青、黄、緑、橙など様々で、似た色合いの光点がそれぞれ集まって群を成している。そして互いの光点は数え切れないほどの光線に結ばれて、黒い空間の中に光り輝く網目状の立体が浮かんでいるように見える。

 球体は、現在の銀河系人類社会を表す天球図であった。

「博物院が稼働した年から、ずっとああして浮かんでいますよ。この三百年間ずっとあの通りです」

 ソマーマンの口振りには、まるで天球図が浮かんできた歳月を実際に過ごしてきたかのような感慨が込められていて、テスは思わずくすりと笑ってしまった。

「そうね。私が初めて見た時からちっとも変わってない。でもそんなに昔からあるとは知らなかった」

「先の大戦が開戦した頃ですね。私は生まれたばかりで、ほとんど記憶がありませんが」

「正確には二十八年前ね。開戦の直前。私、この博物院の留学生だったのよ」

 何気なく呟いたつもりだった。だがソマーマンが相槌も打たずに沈黙を保っていることに気づいて、テスは再び背後を振り返った。

 ソマーマンは、テスの横顔に覗き込むような視線を投げかけている。その黒い両眼には、どこか彼女を見守るかのような、深い感情が湛えられているように思えた。

「……少し昔話をしてもいいかしら」

 そんなつもりは少しもなかったはずなのに、彼の視線に促されるようにしてテスの口から自然と零れ出たのは、過去を振り返ろうという言葉であった。ソマーマンは、まるでその言葉を待っていたかのように頷いた。

「本祭まではまだ時間があります。では博物院内を散歩しながらではどうでしょう」

「そうね。長くなると思うから、ちょうどいいかもしれない」

 馴染み深い博物院内を、テスは今回のスタージア来訪でまだ歩き回っていなかった。青年の提案は、思い出を呼び覚ますには相応しい。

 テスは手摺りから手を放すと、ゆっくりと歩き出した。





 銀河系に人が棲まう星の数は、間もなく百に達しようとしていた。

 広大な宇宙に煌めく数多の星には、今や様々な人々の営みがある。およそ六百年余りをかけて銀河系中に広がり続けた人類の歴史は、数多の進取と開拓、相克と闘争、犠牲の上に成り立つ生誕によって彩られてきた。

 だがそのどれも、元をたどればひとつの星に由来する。

 惑星スタージア。銀河系人類社会の最果て、天球図上なら最も表層に近い位置にあるその星は、かつて《星の彼方》から現れた《原始の民》が降り立ち、切り拓き、やがて星々の大海に人類を送り出した、全人類にとっての《始まりの星》だ。

 果てのない宇宙空間へと広がりながら、人は不意に己の立ち位置を見失うことがある。そんなとき、彼らはしばしば心の拠り所を求めてスタージアを巡礼する。この星には彼らのルーツがある。この星から、銀河系人類は始まったのだという証しがある。

 全人類に繫がる《始まりの星》スタージアは、広大な暗黒に散りばめられた無数の輝ききの狭間で暮らす人々にとって、大いなる信仰の対象であった。


 ***


 博物院は、《星の彼方》からスタージアまで《原始の民》を運んだ大規模宇宙船のレプリカとされる。長筒状の中央棟は主船体を、中央棟を挟むように聳える二つの弧状の建物は、それぞれ生産プラント区画と居住区画を模しているという。

 当初は開拓用の拠点として利用された建物は、時を経るにつれて銀河系に散らばった多くの人々たちが集う、全銀河系人類の象徴となる。そして来訪者たちがもたらす様々な知識は、建物に余すことなく蓄えられていく。

 やがて建物は博物院と名を改め、その頃には銀河系人類社会の叡智を集約した最高学府と目されるようになった。

 だから若い頃のテスが博物院に憧れたのは、決して特別なことではない。勉学に情熱を捧げてきた彼女の努力は、博物院の招待留学生に選ばれるという形で報われる。テスが十六歳のときのことだ。

 宇宙船で一ヶ月以上という長旅を経て、スタージアを訪れたテスはまるで夢見心地であった。

 博物院には、彼女の想像以上の学問があった。知識があった。研究があった。

 それ以上に、彼女を取り巻く人々の存在が心地良かった。

 それまで勉学に励んできたテスは、中等院を卒業すれば働き出す者ばかりという故郷では異質な存在であった。友人はもちろん、決して裕福とはいえない家族からも奇異の目で見られていたから、学院への進学などとても言い出せなかった。スタージア滞在中の学費から生活費まで免除されるという博物院の招待留学生に選ばれなければ、学び続けることなどかなわなかっただろう。

 学術研究に没頭する顔ぶればかりの博物院は、テスにとって新鮮である以上に快適だった。何より留学生たちを迎える博物院生たちの穏やかな人柄といったら! 常に適度な距離感を保って接してくれる彼らに囲まれて、留学期間中のテスはホームシックなどまったく無縁だった。

「あんまり居心地が良すぎるのも困りものだよ。このままずっとスタージアにいられたらって考えちゃう」

 そう言って自分自身の台詞に何度も頷いてみせたのは、招待留学生の寮でテスと同室のローレッタという少女だ。彼女とテスの故郷は隣接する星系同士である。無論間にはいくつもの無人星系が間に挟まるのだが、航宙面でいえば十分隣り合っているといえた。

「なんていうか、近づきすぎず、離れすぎずっていうかね。普段は必要以上にお喋りしたりしないのに、困ったり心細かったりするときはいつの間にか傍にいるんだから」

「やっぱり同じような志を持つ者同士だから、私たちの気持ちもわかってくれるんじゃないかなあ」

「私はああいう細やかな気遣いなんて無理。好き嫌い激しいって自覚あるし」

 そう言ってローレッタは、ウェーブのかかった長いライトブラウンの髪を両手でわしゃわしゃと掻き上げた。

 すらりとした長身に白い肌。彫りの深い顔立ちには微かなそばかすが浮いている。そして大きな目には挑戦的な表情が似合う翡翠色の瞳。ローレッタは見るからに利発で、そして見た目通りにあけすけな少女だった。

 対するテスは中等院の一回生と間違えられそうなほど小柄で、褐色の肌に黒い瞳。癖の強すぎる黒髪を無理矢理うなじの後ろで一本に結うという出で立ちは我ながら地味だし、性格も同じように控えめだと思う。いくら隣接する星系出身とはいえ随分対照的な二人を同室にするものだと思ったが、一年も経てばすっかり打ち解けてしまっているのだから不思議なものだ。あるいはルームメイトの組み合わせすら、博物院の配慮の冴えを示すものなのかもしれない。

「私ねえ、時々思うの。博物院の導師とか院生の人たちってなんかこう、私たちと違うよねって」

 就寝前のお互いリラックスした時間帯、いつものようにベッドの上でごろごろしていたローレッタが、不意にそう呟いた。テスは何を今さらといった顔で彼女の顔を振り返る。

「そりゃそうでしょう。みんなこのスタージアで何年も何十年も過ごしてる人たちなんだから」

「そういうことじゃなくって。いや、そういうことなのかもしんないけど。なんて言うかなあ、私とかテスとかと根本的に違う部分がある気がする」

「根本的って」

 テスだって自分と博物院の人々との違いは、日々痛感している。ただそれは学識の深さや研究への意欲、また人間性の成熟の度合いという、言うなれば差として測れるものであった。今はまったく追いつけない自分も、仮に博物院で学び続ければいつかは彼らのようになれるのではないかという憧れとも言える。

 だから根本的に異なるというローレッタの言葉遣いには同意しかねた。違いといったら、テスとローレッタを比べた方がよほど大きいのではないか。

「さすがに大袈裟じゃない。彼らだって元をたどれば同じ人間なんだから」

 そう口にしてから、括りが大雑把すぎたかとテスは反省する。だがローレッタは釈然としない面持ちで「うーん?」と軽く首を捻った。

「同じ人間、ねえ」

「なあに、そこから引っ掛かってるの?」

 テスがさすがに呆れると、ローレッタは急にがばと身体を起こした。

「だって、テスもそう思わない? 私、今のところ博物院でムカつくとか無神経だとか思った相手、ひとりもいないんだよ。ありえなくない? 地元じゃそんな奴ばっかりで、あいつらを見返したくて頑張って勉強して、それで留学生に招かれて来てみたら最高の環境で」

「努力が報われて良かったじゃない。何が不満なの」

「不満はないけど、疑問はあるの」

 ローレッタはベッドの上に座り直すと、額に落ちた髪を鬱陶しげに掻き上げた。

「たとえば私が課題で唸ってると、その講座と関係ないはずの院生がちょうど良い資料について教えてくれる。緑地で道に迷ったと思ったら、いいタイミングで導師様にばったり会う」

「そういえばこの前二人で街を見て回ったときに思ったけど、スタージアって巡礼観光でいつも人でいっぱいなのに、スリに遭うとか阿漕な商売とか聞いたことないよね。親切な人ばっかり」

「それはちょっと違うような……いや、違わないか。むしろ関係あるかも」

 しばらく考え込むように腕を組んでいたローレッタは、やがておもむろに大きく目を見開いた。翡翠色の瞳には何やら思いついたと言わんばかりの表情が閃いている。

「もしかしたら博物院だけじゃない。スタージアの人たち全員がそうなのかもしれない」

「そうって、なんのこと?」

 ローレッタが何を言おうとしているのか、テスにはわかりかねた。尋ね返すしかない彼女に向かって、ローレッタは思い切った口調で告げた。

「この星の人たちは、みんな繫がってるのかもしれない」



「スタージアは、銀河系に棲まう全ての人々と繫がっています」

 テスの回想にひと区切りがついたところでソマーマンが口にした台詞は、柔らかだが断定的だった。それはまるで自明の理、常識と言わんばかりの口振りだった。

「この銀河系社会の人類は、誰も彼もがスタージアに端を発しています。ありとあらゆる人々のルーツがこの星にあるのですから、裏を返せば全人類と繋がりがあると言える。それは決して誇張ではありません」

 ソマーマンの言葉に、テスは口角を微かに上げて応じた。

「ソマーマン。そういうことではないとわかってるのに、あなたはわざとそんな言い方をしているでしょう」

 すると今度はソマーマンが無言のまま微笑を浮かべ、テスから視線を逸らす。

 二人は博物院内の中央棟を外縁をなぞるように配置された通路を歩いていた。スタージアに移民を果たした巨大宇宙船を模した博物院だが、中身はその大半が学術研究施設に割り当てられている。テスが建物の内に目を向ければ、数々の研究室や資料室など、かつて博物院の同窓たちと共に過ごした日々を思い起こさせる景色が次々と視界に入った。

「ここで過ごした日々は、何物にも代えがたい」

 細められたテスの目の奥から覗く黒い瞳が、途中に開けた談話ホールを見渡した。いくつもの座卓が並んだ広々としたホールは、皆祖霊祭のスタッフに駆り出されているのか、それとも見物に出かけているのか、三人の若い男女しか見当たらない。テスの立ち位置からは、その内の細身の女性の顔が見えた。テスに背を向ける二人と談笑する彼女は、笑うとライトブラウンの長髪が揺れた。

「ローレッタもよくあんな風に笑ってた。笑顔の似合う人だった」

 おしゃべりに興じる三人を眺めながら、テスの表情は過ぎし日に想いを馳せる者のそれであった。彼女の脳裏に浮かぶのは、かつて博物院で、スタージアで過ごした青春の日々の記憶。

「あの人の笑顔といったら、いつも自信満々だった。彼女はここで学んだことを持ち帰って、故郷で活かすと息巻いていた」

 そう言ってテスは、斜め後ろに付き従っていたソマーマンを振り返った。

「ローレッタは外交官を目指してたの。どんな諍いも話し合って解決できないことはないっていう彼女は、誰よりも人と人との繋がりを信じている人だった」

 テスの言葉に、ソマーマンは相変わらず穏やかな表情で頷いた。


 ***


「この銀河系中の人々が繫がっているっていうのは、私だってそう思う」

 午後の日差しが差し込むエントランスホールで、いくつか設けられたベンチのひとつに腰かけていたローレッタは、長い脚を組み替えながら言った。

「でもそれはこの銀河系社会の関係性を表したざっくばらんな比喩であって、誰も彼もがスタージアにルーツを持っているとか、そういう物理的な意味じゃなくって。ましてや」

 ローレッタはそこで言葉を区切ると、傍らのテスに翡翠色の瞳を向けた。

「このスタージアに暮らす人たちの繋がりとは、全然違う」

 スタージアの住人たちは精神感応的に連絡を取り合っているのではないかと、ローレッタは言う。その状態を、彼女は「繋がり」と言い表した。

 精神感応力の存在自体は既に科学的に実証され、ここスタージア博物院にも専門の研究室がある。だからテスはローレッタの主張を妄言と笑い飛ばそうとは思わない。

 ただ精神感応力者は極めてサンプルが少なく、その仕組みは未だに明らかにはされておらず、謎が多い。それほど稀少なはずの精神感応力を惑星の住人全員が備えていると言われれば、さすがにテスも首を傾げざるをえなかった。

「スタージアの人たちが繫がっていると私まで頷くには、さすがに根拠に乏しすぎるよ。まだあなたの直感に過ぎない」

 ベンチの上に置いたテスの左手の先に、博物院生の制服である長衣の裾から覗くローレッタの白い指先が飛び出している。自分の指先が触れるか触れない程度の位置にあることを意識しながら、テスはローレッタを振り返った。

「仮にあなたの言う通りだとしても。それがスタージアの住人には当たり前なら、私たちは受け容れるしかないんじゃない」

 自分たちはあくまで博物院に招待された留学生であり、帰るべき故郷がある。故郷には家族がいる。スタージアに骨を埋めると決めた身ではない。この半年でスタージアには随分馴染んだつもりであっても、スタージアの住人との隔たりは当然にある。

 そういった差異があること自体に文句を言っても始まらない。認めるしかない――テスが言いたかったのはそういうことなのだが、組んだ膝の上に乗せた肘の、その先の左手に支えられたローレッタの顔は明らかに不満げだった。翡翠色の瞳の先には、宙に浮かぶ天球図がある。漆黒の中に数えきれないほどの好転を散りばめた天球図が回転する様は、まるで二人のやり取りを見守るかのようだ。ローレッタはしばらく天球図を睨むように見つめていたが、やがて勢いよく両足を上に振り上げたかと思うと、反動をつけてベンチから立ち上がった。

 勢いに巻き上げられるようにして、彼女の纏う長衣の裾が翻る。

「テス、そういうことじゃない」

 驚いたテスが軽く目を見開くと、振り返ったローレッタはテスの黒い瞳の中を覗き込むようにずいと顔を寄せた。

「違いがあるのなんて当たり前だよ。星と星どころか、私とあなたの間にだって数え切れないほどの違いがある。そういう異なる人同士がなんとかうまくやれるようにと思って、私は外交官を志しているんだから」

「……もしかして、スタージアの繋がりが羨ましい? 互いに精神感応的に繫がっているなら、常に互いの心中を察することができるなら、きっとはるかにスムーズなコミュニケーションが取れるから」

「逆だよ、テス。スタージアの繋がりは、私には全然羨ましくない。むしろ残念というか、失望すら感じる」

 そう言うとローレッタはテスから顔を離して、一度深く息を吸ってから、おもむろにゆっくりと吐き出した。興奮していることを自覚したとき、彼女はことさら大袈裟に深呼吸する。

「全員が精神感応的に繫がってしまったとしたら。それは察する程度にとどまらないでしょう。お互いの意識が混じって、自分の意識かどうかもわからなくなるほど混濁して、きっと最後は全部一緒くたになっちゃう。精神感応的に繫がる人々なんてのは、姿形は変われど中身は皆同じ、精神的なクローン集団だよ。精神感応的に繋がり合うってことは、個々の差異を一色に塗り潰してしまう強引な手段にしか思えない」

 そこまでひと息に言い終えてから、ローレッタは不意に持ち上げた右手を軽く握り締めた。拳に注がれるローレッタの視線には、強い決意が宿っているように見えた。

「精神感応的な繋がりがなければ、人は所詮わかりあえないって言われているようなものだと思ったの。外交官を目指す私に、そんなことは認められない。私はどんな人とでも、とことん話し合えばなんとかなると信じてるから」

 ローレッタの言葉は、彼女自身に言い聞かせているように聞こえる。

 己に力強く誓う彼女の姿が眩しくて、そんな思いが見透かされるかもしれないと思うと気恥ずかしくなって、テスは少しだけおどけた口調で言った。

「好き嫌いが激しいって公言するローレッタが言うと、なんだか違和感」

 テスに揶揄されて、ローレッタはむしろ口角を上げた。

「だからこそだよ。好きな奴としか上手くやっていけないようじゃ、先が見えてるでしょ。それに国同士なんて隣り合わせなほど反りが合わないもんだから。嫌いな奴ともお互い納得できるよう折り合いをつけるのが、人類の知恵だと思う」

 嫌いな奴とも折り合いをつけるなんて、ローレッタと出会う前のテスには考えもつかなかった。学問に打ち込む自分を認めようとしない故郷の人々を、テスは自分とは異なる、所詮自分のことなどわかるはずのない人々だと断じた。彼らに自分自身を理解してもらうことなど思いもよらぬまま、逃げるようにスタージアに駆け込んだのだ。

「私だってムカつく奴らにわざわざこちらから近づこうとは思わないよ。でもどうしても顔突き合わせなきゃいけない場合もあるでしょう。そういうときにぶん殴られたりしないように、それとも思わずこちらから蹴飛ばしたりしないように、言葉でなんとかしたいって思う」

 ローレッタの言葉がことさら響いて聞こえるのは、テスの個人的な経験に突き刺さるからだけではなかった。

 天球図の足元にまで差し込む陽光が、エントランスホールにくっきりとした陰影を作っている。ちょうど立ち上がったローレッタは陽に照らされて、テスは陰の下でベンチに腰かけたまま。おもいがけずふたりを隔てるものを意識させられるようで、テスもローレッタもどちらともなく伏し目がちになった。

 彼女たちが出会って一年が経つ。その間に周囲の環境は激変を遂げていた。

 ふたりの故郷は、この一年で急速に関係を悪化させていた。両者の間には、明日にも戦端が開かれてもおかしくないという剣呑な空気が張り詰めていた。



 博物院の中央付近で折り返し、一階に降る。そこは院生や導師のみならず一般の巡礼客にも開放された食堂だ。中庭に面した壁一面は大きく開放されて、カフェテラスが設けられている。談話ホール同様に人影の少ない食堂も、テスの記憶と少しも変わらない。博物院は《始まりの星》だけあって建物だけでなく、中の設備も旧態然としたものがいくつか残っている。初めてメニューを頼もうとしたときは、故郷では見たこともない古臭い設備の操作に手間取って、ローレッタに笑われたものだ。

「ここでフライドボールとシードルをテイクアウトして、天球図を見ながらランチするのが、私とローレッタの日課だった」

 フライドボールはふかした芋に小麦粉をまぶして揚げた単純な料理だが、星ごとに味付けが異なると言われるほど豊かなバリエーションが人気のメニューだ。懐かしそうなテスの言葉に、ソマーマンが微笑んだ。

「フライドボールはこの食堂では今も人気メニューですよ。今では五十種類以上が用意されてます」

「それは私たちがいたときはその半分ぐらいしかなかったのに」

 だが当時も、テスとローレッタの故郷の味付けはメニューに含まれていた。留学中、ひととおりのメニューは試してみたが、結局もっとも食したのはふたりとも故郷の味付けであった。

「星の数だけ味があるとか言われても、天球図の中だけでもとても数えきれない。ふたりでもお互いのフライドボールをよく交換したけど、やっぱり育った土地の味に舌が馴染んでるのね」

「長官の思い出には天球図がよく出てきますね」

 ソマーマンに言われてテスは軽く目を見開き、またすぐに細めた。

「あそこが私たちの定位置だったの」

 食堂を出て、再び通路に踏み出す。中央棟の緩やかにカーブを描く外壁に沿った通路は、このまままっすぐ行けばまたエントランスホールに戻るはずだ

「もし離ればなれになったとしても、また天球図の前で会おうって、ふたりで約束したのよ」

「離ればなれになったら、ですか」

 テスの言葉を、ソマーマンが反芻する。その声はそれまでの穏やかな口調に比べて、少しばかり固く響いた。

「開戦したのは、それから間もなくではありませんでしたか」

「ええ。私たちが約束を交わしてから一ヶ月もしないうちにね」 

 ソマーマンの口振りに合わせるようにして、テスの声も心持ち低くなった。

「最初に攻撃されたのは、私の家族が住む街だった」

 二人の足取りが、自然と重くなる。テスは真っ直ぐ前に向けていた視線を、やや足元に落とした。彼女の斜め後ろにいるはずのソマーマンは、何も言わない。

 無言のまま二歩三歩と歩を進めてから、テスはようやく言葉を継ぎ足した。

「私は留学を切り上げて、故郷に帰ることにしたわ」


 ***


 テスの生まれ育った街は、大気圏の向こうから飛来する敵軍の攻撃に為す術もなかったという。守備隊は果敢に抵抗したが圧倒的な戦力差は如何ともし難く、中央政庁が降伏するまでに三日とかからなかった。

 敵軍の支配下では情報規制が徹底されて、現地の詳細な状況は伝わらない。ましてや住人たちの安否など、遠く離れたスタージアにいるテスには確かめようもなかった。

「今戻るのは危険すぎる」

 帰省すると言い出したテスを、ローレッタは必死の形相で止めた。

「民間の定期便なんて、みんな軍に捕まっちゃうよ。無事に帰れる保障もないのにどうやって帰るっていうの」

「スタージアの巡礼船なら軍だって手出しできないって、外交官を目指すなら知っているでしょう」

 テスの反論にローレッタは口を噤んだ。

 スタージアを信仰の対象とする銀河系人類社会には、スタージアを巡礼する人々は保護されるべきという暗黙の了解がある。スタージア巡礼船を攻撃しようというものなら、全銀河系人類社会からたちまちに白眼視されるのだ。それは正式に交わされた約定ではないが、ゆえにひとたび禁忌を犯した者はその後の反論や弁解もしようがない。

 テスとローレッタの故郷も、当然その不文律と無縁ではなかった。

「でも」

 ローレッタは食い下がる。テスの目から見ても、彼女が本心でテスの身を案じていることはよくわかった。

「テスは博物院生になりたいんじゃなかったの」

 だがローレッタが口にしたのは、テスにとって予想外の指摘だった。

「なんで」

「私が気づかないとでも思った? この一年間一緒にいたんだから、それぐらいわかるよ。故郷に戻ったらこんなに学問に打ち込めない。だから留学中に頑張ってなんとか認められて、博物院生にスカウトされようとしてたんでしょう」

 それは誰にも口にしたことのない、しかし間違いなくテスの本心であった。

 スタージア博物院生になる手段は公開されていない。ただ巡礼者や留学生の中からこれはと思う人物が極秘に声をかけられるという、まことしやかな噂があった。

 噂は噂であって、誰が保証したわけでもない。しかしテスはその噂に一縷の望みを賭けていた。スタージアを訪れて以来勉学に明け暮れ続けてきたのは、尽きない興味を満たすためだけではない。博物院生になれるかもしれないという望みに少しでも近づくためであった。

「でもこんなことになって、私だけぬくぬくとスタージアに居続けるわけにはいかない」

 そんな言葉が口を突いて出ることが、テスは自分でも不思議だった。

 それまでのテスは、故郷に対してあまり良い印象を抱いていなかったはずだ。家族も友人も彼女の向学心を理解しない、むしろ妨げうる存在でしかなかった。なのに彼らの生死すらわからないという状況を迎えて、テスは驚くほど動揺した。

「戦争になる前は、博物院生になって一生スタージアに引き籠もってもいいって思ってたよ。でもそんなの、ただの思い上がりだった」

 博物院生になるとスタージア星系に閉じ込められるという噂は、半ば真実として受け止められていた。それがどういう理由によるものかはわからない。博物院生としての生活が満たされる余り望郷の念も吹き飛ぶのか、それとも博物院生にしかわからないもっと別の理由があるのか。いずれにせよテスやローレッタが出会った博物院生も導師も、博物院に詰めて以来一度もスタージア星系を離れたことがないのは事実だった。

 だとしても構わないというテスの思いは、結局のところ思春期らしい反抗期の延長に過ぎなかったということか。故郷を見捨てられないという思いが胸の内から張り裂けんばかりに溢れ出す。抑えつけようのない苦しみを、テスはこの数日思い知らされていた。

 思いつめたテスの横顔を、ローレッタがやはり思いつめた表情で見返している。彼女もこれ以上テスを引き止める術はないと、覚悟したのだろう。

「ごめんなさい」

 絞り出すようなローレッタの声は、震えていた。

「私の故郷くにが、テスの家族を……」

「ローレッタのせいじゃない」

「こんなこと言っても、許されないってわかってる。けど」

「あなたに謝って欲しくない」

 ローレッタの言葉に、時折り嗚咽が混じる。真っ直ぐな瞳で夢を語る姿こそが似合うローレッタが、きっと顔を俯かせて涙を零しているのだろう。そんな表情を、テスは見たくなかった。テスが顔を背けると、ローレッタはますます涙声になった。

「テス」

「あなたが謝っても、どうしようもない」

 視線を逸らしたまま口にした言葉は、おそらくテスの予想以上にローレッタには突き放して聞こえただろう。ひっと涙を飲み込む気配がしたかと思うと、二人の間に一瞬の沈黙が訪れた。

 どれほどそのままでいただろうか。やがて重苦しい空気に押し潰されないかのように発せられたローレッタの声は、普段の彼女には考えられないほどおずおずとして聞こえた。

「……私たち、いつまでも友達だよね?」

 まるでこちらの顔色を窺うようなローレッタの声音が、そのときのテスには許せなかった。

 どんなにいがみ合おうとも言葉で解決したいと、あなたは豪語していたではないか。戦争で引き裂かれそうな私たちの絆を、あなたの言葉なら繋ぎ止められるのではないか。ローレッタには、二人の友情を心から信じていると口にして欲しかった。

 なのに自信を失ったあなたの声では、私の微かな希望を支えることすらできない。

「私、待ってるから!」

 テスの無言に堪らず、ローレッタが喉の奥から絞り出すように声を上げた。

「天球図の前で、あなたに会えるまでずっと待ってるから!」

 悲痛な懇願にも似た呼び掛けに、だがテスは答えることなくスタージアを去った。



 食堂を出た先に延びる通路を、ゆっくりと歩む。外壁を一面覆うガラス越しに、博物院が建つ公園の向こうまでがぼんやりと見えた。小さな尖塔の影がゆらりゆらりと動いて、博物院公園前の大路を横切ろうとしている。

 間もなく夜も更けて、祖霊祭はピークを迎えようとしている。

「ローレッタにはひどいことをした」

 一歩踏み出す度にゆらりと動く尖塔をなんとはなしに目で追いながら、テスは呟いた。

「いくら彼女がしっかりしてるといっても、あの頃はまだ十七歳。自分の故郷が友人の家族を攻撃したと知って、一番混乱していたのは本当はローレッタだったでしょうに」

 だが当時のテスもまた同じ十七歳で、家族たちの安否不明という不安に押し潰されそうな中、とてもローレッタの心情を慮る余裕はなかったのだ。無言の別離は、テスにとっても精一杯の態度であった。

 その後なんとか故郷に戻ったテスは行方知れずの家族の捜索に奔走したが、父母兄弟合わせて九人いたうち、再会できたのは半数にも満たなかった。残った家族と共に隣町に逃げる途上、既に重傷を負っていた姉が命を落とした。なんとか脱出を果たしたのはテスと母と、年の離れた幼い弟の三人だけだった。

 逃げ延びた先でも散々辛苦を舐め、このまま死んでしまった方がましだと思ったことは一度や二度ではない。困難に押し潰されそうになったとき、テスの胸中に過ぎったのはローレッタと過ごしたスタージアでの記憶だった。

 たった二年にも満たなかったが、博物院でローレッタと共に学び、笑い、語り合った日々はテスの人生で色褪せることのない宝物として、どれほど時を経ても鮮明に思い返すことができた。

 だからこそ、あの別離を悔やんだ。待っているというローレッタの言葉に、なぜ笑顔を返さなかったのか。せめて小さくでも頷くことはできなかったか。取り返しのつかない態度を取ってしまった後悔は、やがて再びローレッタに会って、そしてあの日のことを彼女に謝ろうという誓いに変じた。

 ローレッタとの再会を果たす――ただその一心で、テスは長く苦しい日々を死に物狂いで生き延びてきた。

「でも、あれから随分と時が経ちすぎた」

 必死に生活するうちに、戦況は大きく変わった。敵軍の占領から一年後、テスの故郷は近隣諸国の助けを受けて敵に解放され、最終的には戦争に勝利したらしい。テスにとっては勝とうが負けようが関係なかった。解放という大義名分を掲げて友軍とやらが現れても、テスたちが彼らに支配されているという点では以前と大差なかった。むしろ恩着せがましい分、より傍若無人とさえ思えた。

 テスは荒んだ故郷を立て直すため、有志と学校を開いた。復興のために彼女ができることといえば、教育以外に思いつかなかったのだ。当初は周囲の冷淡な反応に何度も挫けそうにもなったが、地道な活動は長い時を経て根を張っていった。やがて卒業生のひとりがスタージア博物院生になると、テスはその師として世間から一気に注目された。

 気がつけば教育省長官という立場に推されることで、テスはようやくスタージアの大地を踏むことができたのである。

「ローレッタと連絡を取ることはできたのですか」

 ソマーマンの問いに、テスは無言で首を振った。

 ローレッタはテスが帰郷した半年後、やはり留学を途中で切り上げて故郷に帰ったという。ちょうど戦況が覆されつつあった頃だ。終戦後、ローレッタの故郷は敗戦の混乱で四分五裂し、長い間内乱状態に陥った。事態が収束したのはつい数年前のことだから、そんな状況でローレッタの消息をたどることはとても不可能だった。

「今ではもうローレッタが生きているのかもわからない。でも――」

 ここを訪れずにはいられなかった。

 通路は間もなく途切れて、その先にはエントランスホールがある。そこにたどり着く前から、宙に浮く黒い球体の端が目に入った。あの天球図の向こう、博物院の入口に近い側の壁際に、テスとローレッタがいつも二人並んで腰を下ろしたベンチがある。

「別れ際の呼び掛けに応えられなかった私が、虫のいい話だってことはわかってるの。でもきっとあの天球図の前で彼女が待ってるって、私はずっとそう信じて今まで生きてきたから」

 あるいはローレッタのいないベンチを目にすることで、自分はようやく戦後を迎えられるのかもしれないという考えが、ふと浮かんだ。だがそれはローレッタとの約束が果たされない可能性を前にした、傷つきたくないという思いが生み出した言い訳に過ぎないということも同時に理解していた。

 本当はこんな風に博物院内をゆっくりと歩き回る必要などなかった。ただ天球図の下で、ベンチに座って待ち続けていれば良かった。ソマーマンに誘われて院内の散歩に付き合ったのは、少しでも真実を知る時間を先延ばしにしたかったからに過ぎない。

 この期に及んで、私は怖くて堪らない。これまで生きる支えとしてきたローレッタとの繋がりとは、結局独りよがりな幻想であると突きつけられる未来が恐ろしい。

「人と人との繋がりは、驚くほどしなやかで強靱です」

 ソマーマンの唐突な台詞に、テスは驚いて振り返った。まるで彼女の内心に応じるかのような言葉を、青年は自然な表情で口にする。

「繋がりとひと言で言ってもその解釈は様々です。物理的肉体的な繋がり、血縁や地縁がもたらす繋がり、歴史的な因縁に基づく繋がり、それ以外の偶然がもたらす繋がり。ローレッタの言うような精神感応的な繋がりも、あるいはありえるでしょう」

 いったい彼は何を言おうとしているのか、テスはわかるような気がした。それはおそらく彼がスタージアの博物院生であるからこそ実感できる思いだ。

「いずれの繋がりも、多くは時と共に廃れていくのでしょう。ですが全てが無に帰すということも有り得ません。ここスタージアに蓄積された銀河系人類社会の知恵はまさにそういった繋がりの帰結であることを、長官は既にご存知のはず。私もスタージアで学ぶにつけ、その思いは増すばかりです」

「そうね。多くの思いが繫がった上に、今の私たちは立っている。スタージアは、その象徴だわ」

「今日、私はまた新たな繋がりを目にすることができました」

 そう言うとソマーマンはそっと前方を指差した。彼の指先は、輝きをまぶした天球図の陰にある、ベンチを指し示している。そのわきに佇む人影があることに気づいて、テスは小さく息を呑んだ。

「一時間ほど前にスタージアに降り立たれたんです。ちょうど公園を一周すれば落ち合うには良いタイミングと思って、長官には散歩にお付き合い頂きました」

 ソマーマンの台詞が届く前に、テスはその場から駆け出していた。

 エントランスホールに踏み出して、ベンチまでの距離がもどかしい。声を出そうにも、なんと呼び掛ければ良いのかわからない。その姿が幻でないことを祈って、手に触れることを確かめたくて、精一杯に手を伸ばす。

 近づく気配に勘づいたのか、振り返った人影は、間違いない。確かに記憶にあるあなた――

 固く抱き合う二人の姿を、ソマーマンが目を細めて眺めている。二人を見下ろすかのように浮かぶ天球図は、幾千万の星の輝きを湛えながら、かつてと変わらずにゆっくりと回転し続けていた。

(了)

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繋がれし人々 武石勝義 @takeshikatsuyoshi

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