22話

 ぱたぱたと準備をする成瀬さんを横目に時計を見ると、19時近くになっていた。

 うちには門限なんてないけれど、大体19時を過ぎる時はお母さんに連絡を入れるようにしていた。まあ、今日みたいに忘れることもあるんだけど。

 

「成瀬さん、ごめん。ちょっと電話してくるね」

「はーい。いってらっしゃい」


 服を選んでいる最中なのに、わざわざ服を置きこちらに手を振ってくる。

 なんとなく私も手を振り返してから、廊下に出る。

 

 ずっと成瀬さんの部屋にいたから気が付かなかったけど、他の部屋は真っ暗だった。

 私の場合、夜にはお母さんがいて電気をつけているから、こんな風に暗い家で過ごすことはほぼない。

 真っ暗な家に帰る光景を想像すると、胸がキュッと苦しくなる。

 

「ダメだ。こんなこと考えている場合じゃない」


 早く連絡しないと。

 スマホからお母さんに電話をかける。

 ぷるるる、と何度か鳴った後に、はい、と聞きなれた声が聞こえてくる。


「あ、お母さん?私だけど」

「おー、もうすぐ19時なのにまだ家に帰ってきてない不良娘じゃないの」

「だから今、電話してるじゃん」

「はいはい。で、いつ頃帰ってくるの?晩御飯は?」


 怒涛の質問攻めだ。

 少しうんざりするけれど、心配してくれていることはわかるから、怒る気にはなれない。


「ごめん。まだもう少し遅くなる。あと、晩御飯は友達と食べるからいらない」

「まあ、そんなこと言うようになるなんて。もしかして彼氏でもでき....」

「そんなわけないから。それじゃ」

「あ、ちょっと!ゆ――


 余計なことを言われる前に電話を切った。

 はあ、とため息をきながら成瀬さんの居る部屋に戻った。

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ばんだらいず!(仮) 夜半よわ @yowa__

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