闇色の石化が世界から消え去り、美しさが蘇った。

石化した命あるものすべてが蘇った。


「あれがモルタウだ」


故郷を示す指、声色は弾み歓びに満ちあふれていた。


「…大きいー…」


示された海に浮かぶ街を、潮騒に負けないように見つめた。


「…まぬけな声だすなよ…」


「だって…すごいから…」


「お前、そればっかだな」


「だって、美しいから」


「へいへい」


「…森も、海も、空も、人も…そしてお前も…」


「あのなぁ…」


「…お前に斃されてよかった」


「…そりゃ、良かったな」


勇者が嬉しそうに頭を撫でてくれた。

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慎ましやかに滅べと魔王が 狐照 @foxteria

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