第1話
(んん
よく見えないな)
暖かい毛布のような感触がある。
でも、なんだろう。
頭が、重い。
首が、グニャグニャする。
状態は、よくないようだ。
(いいや ボンヤりとは 見えている)
ニオイも、若干する。
女の人の、香り。
(おっぱいだ
金色のロングヘア 碧い瞳
そして おっぱい
巨乳)
だんだんと、視認できるようになってきた。
キレイな女が、ボクに抱き付いている。
いや、ボクが抱き付いているのか??
(あれ 病院に行ってなかったっけ
なんで おっぱいが 目の前に
あるんだ)
おかしいな、救急車に乗せられたような景色は、記憶に残っている。
ここは、病院に行く途中なのか。
それとも、大したことがないと救急車から、下ろされたか。
いや、まだ病院の可能性もある。
東京じゅうの病院を見て回ったワケじゃあない。
(あれか
トラックに 跳ねられる 夢を
見たんだ)
そうだ。
ボクが、トラックなんかにはねられるわけがない。
(まったく ヒドい夢を
見させられたもんだぜ
まったくよー)
ふて寝してるんだよ、完全に。
だって、完璧に我を失ってたぜ。
いつもなら、ウマい物を食べて忘れようって、テンションになるけど、そんなノリだったか?
(うん?
あれが夢ってことで
イイんだよな)
どこまでが、現実なのか・・・
データの入ったファイルを送信したのは、現実。
電話を、したのも。
うーん、わからん。
(あれだ
人生の前半 イイことなかった
のが 夢だったんだよ)
そうだ。
それが、一番しっくりくる解だ。
(だって おっぱい
こんなに やわらけえもん)
こっちが、夢なわけがない。
ちゃんと、やわらかい。
(今までの クソみたいな
人生が おかしかったんだよ)
そうだよ。
まじめに生きて、あれするなこれするなが、どんどん増えるってどだいオカシイんだよな。
(あー おっぱい
癒しの おっぱい)
さっきから、もみくちゃにしてるが、全然文句言われねえな。
(なんだろ
そういう店に
入っちゃった可能性)
あー、それもあるよね。
途中の記憶が、消えちゃったのか?
(あー でも どうでもイイや
黒くヨゴれた心が
浄化されていく おっぱい)
なんか、深く考えすぎたな。
エクスキューズのスキームをベネフィットしたんだ。
なんそれ!!!!
(えっ 揉んでたら
丸出しに なった
おっぱい)
マジか、ヤバい 心臓がクチから出そう。
待て、ここは 一旦 冷静に・・・
(うワォ
吸わせる プレイか
ちょうど ご飯食べに出てたとこ
なんだよね)
先端プルップルすごいビンビンヤバくね、コレ??
(あざーす おっぱい)
ゴクッゴクッ
うーむ、お腹減ってるからギリ飲める。
(ウム
お腹いっぱいだ)
なんか、あふれるように出て来るが正直もういいや。
(あー イイ経験に なった
サンキュー おっぱい)
なんか、一瞬赤ちゃんにでもなった気分にさせてくれるお店だなぁ。
こういうの、残してほしいな。
まぁ、ボクが残してほしいって思っている物ほど、奪い取られるんだが。
(さて お会計はと
どうせ 20万とか 言うんでしょ?
わかってるんだから
ん??)
ポフ
ポフ
(あれ サイフがない
ヤラれたのか ボクは
これじゃあ お会計が
出来ないよ)
あれ、さっきから違和感があるけど、そもそもポケットがない・・・
(あれ スマホは?
スマホがない)
落とした? スられた?
そもそも、持って出てない?
(完全に やられた
家のカギもない)
家のカギは、さすがにかけるから、誰かに取られたがファイナルアンサーだな。
(終わった)
無防備に、高級店に入ってしまったらしい・・・
(完全に詰んだ
けど おっぱいを揉む)
もはや、どれが現実か定かではないが現実のおっぱいを揉み現実逃避する。
実に、滑稽である。
(サービス内容を
聞いて 入ったのか??)
まぁ、無一文と わかった時点でままよ。
(けっこう 怒りにまかせて
道を 歩いてなかったかなぁ)
家を、出たあたりからしっかり思い出してみる。
大通りに出たところまでなにも、なかった。
(それで トラックに
いや 待て そっちが夢で
こっちが現実じゃあないのか??)
どうも、ハッキリしたことがわからない。
(うーん
考えるだけ 無駄だな
今 お金持ってねえんだし)
1ヶ月後
(どうやら 自分は 赤ちゃんらしい)
自分の手を見てみると、赤ちゃんのそれである。
(やたら 毎日 プレイが
続くなと 思っていたら)
体が、痛いわけでもないのに、上半身を起こせない。
しかし・・・
(金髪美女の おっぱいに 抱かれ
鏡で 見てしまった)
そう、鏡で見ればよかったんだ。
ヒゲが伸びてこないから気がつかなかった。
「ルーベルス
これが あなたの顔よ~」
(いや マジかよ
プレイじゃなくて
ガチじゃんかよ
ウケるー)
これは、答えが2つに絞られたな。
悶々とした、1ヶ月をすごしてきたが、お店でも病院でもない。
それが、収穫だ。
(やたら ボクに ルーベルス
って言ってたのは
自分の 名前ってことだね)
ボクのハンネなら、違和感がないが違う名前で、呼ばれて気持ちが、悪いなーと不信感しかなかった。
(と なると ここは ドコなんだ??)
今なら、ハッキリわかる。
外の景色は日本ではない、どこかだ。
(なぜ 赤ちゃんに変身したんだ??)
そこが謎。
(おっパブじゃあないなら
あのキレイな お姉さんは
誰なんだ??)
どう見ても10代後半、前半もありうる。
(母??
いやいや 若いよ)
時々、剣のような物騒なモノを、腰にぶら下げた若造と女が、濃厚なキスをする。
(でも おっぱいから 母乳が
出るってことは 出産したってこと
だよな)
「よーし
ハイハイして みようか??」
(女が ボクを持ち上げ
ささくれた床へ 下ろす
イヤだよ
寝てたいよ)
パッパッパッ
仕方ないから、這いずる。
一体、なんのプレイだ? あーめんどい。
この体、なんとかならないか??
「よくできまちゅたー」
(フッ
てか この姿勢だと
ヒザの 表面が スレるな
面倒だが立ち上がるか)
ちょうど、立ち上がる手がかりによさそうな箱があるじゃん。
(よいしょっと
なんだ 立てるわ)
ちょっと、手に無理させたけど、そのうちなおるっしょ。
立てたからヨシ。
(てか この青い箱
めっちゃ気になってたんだよね)
一見すると、単なる箱。
だけど、人の気配がする。
ボクがなに言ってるか、わからないだろう。
こんな、小さい箱に人なんか、入れない。
よくて、頭から肩ぐらい入れたら、つっかえる。
(オムツでも 入っているかな)
この青い箱を、二人は開けない。
ただ置いてあるのみ。
(いや
クッキーが 喰いたい
ミルクばかりじゃあ
あきたぜ)
「きゅっきー
でてこーい」
パカッ
箱のフタを開けると、中からクッキーの詰まった、大きな缶がゆっくりと、上昇して来た。
よく贈答品に使うヤツ。
(ぬおっ
ここは剣と魔法の世界なんだ)
全身に、電流が流れるような、快感が走る。
(でも どうやって 出てるか
知りたい)
なんだか、人間の手で動かした臭が感じとれる。
セットの自動じゃない自動ドアみたいな。
それ、絶対人力だろって感じ。
(手を 伸ばしてーと)
一瞬クッキーの缶の下、人間の手のような感触を感じる。
(わわっ)
クッキーの缶が、箱の中に落ちそうになるのを、必死で 引っ張り上げる。
「ふぎぎ」
「ふんふ ふん
あ゛ーーっ ルーベルスちゃん!!」
(ヤバい
怒られる)
「これ
異世界人だけが 開けられる
グレイボックス・・・
なんで あなたが」
(なんだよソレ
ボクは 異世界から来たって
いうのか??)
「それなら 剣術の鍛練をして
立派な勇者様に・・・
あ゛ーっ」
(勇者?
そんなもんには なんねえよ)
(それに この青い箱・・・
なんで 中に 人間が入ってるんだ
こええよ マジで)
2年後
青い箱(グレイボックス)と、友達になったルーベルス。
街が、見渡せる草原の丘に昼過ぎぐらいに、やっとたどり着く。
「なぁ アオハコ」
「なんですか??」
アオハコは、ボクが名付けた。
すごく、安直で 自分でも 恥ずかしい。
すぐ、返事をくれる アオハコだが箱から出て来てはくれない。
「ちょっと ノドが
渇いたから 日本茶を出してよ」
パカッ
「はい どうぞ」
箱の中から、お寿司さんで出るような湯飲みに入った お茶とそれを掴む、真っ白な女の子の手が、ぬっと出てくる。
「うん ありがとう」
その、かわいらしい手をしばらく観察する。
「早く取ってよ
熱いんだから」
「ああ ごめんごめん」
湯飲みの熱さは、感じているらしい。
ズズズッ
熱々の茶を、さましながら飲む。
「はぁー
安らぐなぁ
アオハコも 外に出てきて
一緒に景色 見ようよ」
もう、何回目だろうか。
「わたしは いいです」
やっぱり、出てはくれない。
「チェッ」
頬を、ふくらましてみる。
「ねえアオハコ」
「なんですか??」
呼ぶと、必ず返事してくれる。
貴重だ。
「大きいものって
出せるの??」
「出せますよ」
呼んだだけだと、味気ないのでいろいろと、聞きたくなる。
「テーブルと イスは??」
「出せますよ」
「それじゃあ バイクは??」
「出せますよ」
「それじゃあ 車は??」
「出せますよ」
だんだんと、大きな物を言っていくけどどこかで、言い間違わないかな??
「それじゃあねぇ 家は?
それは むりかな??」
「出せますよ」
「それじゃあ スペースシャトル」
「出せますよ」
なんか、なんでも出せるみたい。
「すごいなぁー」
グルル
なにか、よからぬ気配を感じ振り返ってみる。
大草原の丘に、獣がいる。
「わっ
オオカミ」
すごいキレイな毛並みの一匹の狼が、獲物を見るようにこちらを見ている。
食べても、おいしくないよ?
「狼女
獣人ですね
テイムしますか??」
アオハコが、聞いてくる。
これが、最初ではない。
「ああ もちろん」
戦闘力は、高そうだしゲットしたい。
「特製マンガ肉です」
よく、アニメーションで 出てくる肉塊だ。
その、こんがり焼けたウマそうなのを、アオハコから 受け取る。
「こんなんで テイムできるんだな」
ホントに、不思議な世界。
「ほらよ」
狼の、足元に 肉塊を投げる。
ザザザッ
一旦、2~3メートル逃げる狼。
ザザッ
クンクン
すぐ、近寄って ニオイを嗅ぐ。
バキッゴリッ
どうやら、お腹が減っていただけのようだ。
ピロリン
青い箱から、音がする。
「おお 効果あったな」
どうやら、テイムに成功したらしい。
でも、ニワトリは3歩で恩を忘れたからと警戒する。
「めっちゃ シッポ 振ってる
かわいいな」
頭を、なでてやると、
ピカーーッ
「えっ!!」
狼女が、まばゆい光に包まれる。
「おおっ
人間のようになったぞ」
こんな変化が、起きるとは想定していなくてビックリ。
茶髪の少女だ。
「はい ご主人様」
「あれ 言葉まで
しゃべったー
しかも 全裸」
こういう人になるってやっぱり、全裸なんだな。
しかも、めちゃくちゃ巨乳。
「よーし
デッサンだ」
こんな、チャンスは二度と無いかも。
「しばらく こう
ポーズをとって 立ってくれ」
自分で、やってみて マネさせる。
「こっ
こうですかっ」
ちゃんと、要求通り やってくれる。
なんて、すばらしい世界。
「よし イイぞ
アオハコ 画材を」
「はい」
箱から、イーゼルボックスとスケッチブックなど、一式が出て来る。
最初は、ビックリしたがもう、慣れてしまった。
「よーし なぜか 異世界で神レベルになった
画力を 見せてやろう」
シャッ
「・・・なにを
やってるんでしょ??」
描いているのが、気になるらしくポーズが、崩れる。
「こらっ
動いちゃダメっ」
「はいっ」
サッと、元のポーズになる。
「よし
白黒なら プリンター並みに
早くて 正確だぞ」
スケッチブックに、4Bで1分ほどで描きあげる。
「出来た
うーん 芸術だ」
白黒写真を撮ったみたい。
ノートパソコンとフォトショにグッバイ。
「名前は??」
狼女に、聞いてみる。
「えっ・・・」
なにか、動揺している。
「名前
ないのか??」
「ない・・・
です」
かわいそうだなと思う。
人間の勝手だが。
「それじゃあ つけてやる」
「はい うれしいです」
めっちゃ、シッポを振っている。
(ウルフ ウル
ルフ ルタ ルターナ )
「今日から ルタリーナと
名乗るがいいぞ」
少しだけ、えらそうに言ってみる。
「ルタリーナですかっ
ありがとうございます ご主人様」
ハッッハッッと、やたら呼吸が荒いルタリーナ。
「うん
よし 一丁あがりっと」
[ルタリーナ へ贈る]
「ホラ 見てみろ」
スケッチブックから、1枚取る。
ピラッ
「こっ
これが あたし・・・」
「そうだ かわいく描けてるだろう」
「ハッッハッハッ」
ルタリーナの息が、さらに荒い。
バタッ
ルタリーナに、押し倒され顔じゅう舐められる。
「ちょっと くすぐったいって」
「んんっ」
「んはぁ」
獲物を狙うように、腰をふるルタリーナ。
「さてと そろそろ 帰らないとお母さんに 怒られるから帰るね」
右手を上げて、帰ろうとするが、
「あの・・・
できれば つれて行って欲しいの」
どうやら、かなり なつかれたようだ。
「うーん
この前 テイムした 野鼠は飼ったらダメって 言われたからたぶんダメだよ」
「シュン」
ルタリーナは、女の子座りをしてジトーと見て来る。
「あっ
そうだ」
イイことを、思いついたぞ。
「なんです??」
「ここに 家を作ろう」
丘の上を、指差す。
「・・・へっ
家を 今からですか??」
「アオハコ」
「はい」
ぐんにぉ
青い箱が、横に広がって中から、一軒家が 放出される。
「ひえええ」
ズドーーン
「さすが
イメージ通りの 出してくれるね」
アオハコを、ねぎらう。
「はい」
ホメ甲斐がない。
「どういう仕掛け? 魔法使いですか??」
ただただ、ビックリするばかりのルタリーナを見て、満足する。
「うん
そうだよ
この家 自由に使って」
そう言うと、抱き付いて来るルタリーナ。
「一生 ご主人様に
ついて 行きます」
「まぁ とりあえず
中に入ってよ」
うれしいけど、ちょっとチカラ加減が強め。
「はいっ」
ガチャ
「1階は 4部屋だけど
増設できるよね
アオハコ??」
「はい 増設可能です」
「すごーい」
ルタリーナが、さっきからずっと目を、輝かせている。
「キッチン
ちゃんと キレイな水が出てるハズ
アオハコ 出して」
「はい」
水質検査キットが、出てくる。
それで、検査してみると
「うん 水質は大丈夫かな」
「なんだかよくわからないけど
すごーい」
「バストイレ別
ウォシュレットって この世界はボクの家以外は ないから 使ったことないよね?」
野生の狼に対して、滑稽な質問をしたなと、聞いたあと気付く。
「このような物 自体が
はじめてで・・・」
便器自体、見たことないらしい。
「あー だよね
ちょうど 全裸だし使い方を教えとくよ」
こういうのは、最初にちゃんと教えておかないと、後悔する。
サラリーマン時代の豆。
「はい 田舎者で 申し訳ありません」
しきりに、ペコペコする ルタリーナ。
そのたび、巨乳が 揺れる。
「イイって
そこに 座ってみて」
こっちは、時間的余裕がない。
「こう・・・ですか??」
おそるおそる、ちょこんっと便座に座るルタリーナ。
これは、先が長そう。
「いや それじゃあ こっち側に小が 出ちゃうからもう少し奥に」
ボクは、両手を上げて指導する。
「こうですか??」
やっと、正しい位置に 誘導できた。
「イイよ
それで───」
「なんだか おしりが 暖かいです
誰か 先に 座っていたのでしょうか??」
ボクの説明を、さえぎるようなルタリーナ。
「いや それは あったかくなるヤツだから」
仕組みの、説明をしている猶予がないのだが。
「そうですか なにぶん田舎・・・」
「いや 説明の続きね
おしっこを」
「はい おしっこします」
勢いよく、便器に たまっていく。
なんで、こうなった。
「あっ テイで」
実際じゃなく、練習だからさ。
「あ
ダメでした??」
必死に、止めようとしているみたいだが、徒労だよ。
止まるわけない。
「いや 普通に 使ってくれてイイよ
それで おしっことかうん」
「そっちも 出してイ」
勢いって、あるから
あわてて、止める。
「今は ちょっとまって」
「うーーー」
なんとか、止まったようでひと安心。
変な汗が、出たよ。
「それで ウォシュレットを
ポチッと」
ボタンの説明をして、実際 使って感覚を、覚えさせる。
「・・・なに
なになに アーッアーッアーーッ」
どうやら、当たる位置に問題が あるようだ。
なぜか、ルタリーナは頬を、赤らめている。
「ちょっと 声出ちゃってるから」
なにか、悪いことはしていないのに悪事を、やっているのかという意識に、さいなまれる。
「ふぬーふぬー」
声が、出ないようにがんばっているが余計に、顔色が赤くなっている。
「ヤメようか??」
止めようとする、ボクの腕をつかんで制止するルタリーナ。
「もっ
もっとーっ」
やっぱり、ヤバかったわ。
ルタリーナの、新たな扉が 開いたっぽい。
「・・・
まぁ イイや」
とりあえず、説明を優先する。
「それで、紙をクルクルッと取って」
トイレットペーパーの、使い方も一応教える。
「うわー なにコレ
たーのしー」
紙が、次々と出て来るのがよほど、刺激的だったようで勢いよく、出しまくる。
「タッタッタッ
タッタッタッター」
「止めて」
「・・・ハッ
すいません」
トイレの、床が 紙で いっぱい。
仕方ないから、ボクが最初お手本で、取った紙を渡して、
「で おしりを拭いて
はい 立って
ちょっと その紙は便器の中に捨てて」
お尻を、拭いてみる ルタリーナ。
当然、なにも付かない。
コーーゴッ
レバーを、引いたらちゃんと水が流れる。
「うわぁ
吸い込まれた・・・」
ルタリーナが、目を丸くしている。
「はい オッケー」
「せっかく マーキングしたのに」
なぜか、すごく残念がるルタリーナ。
姿は、人間になったが野生な部分が少し残るようだ。
「・・・柱に
おしっこかけないでよ?」
とりあえず、クギをさしておく。
「えっ
ダメですか??」
どうやら、やる気だったみたいだ。
「ダメだよ」
「シュン」
上目遣いをする、ルタリーナ
いや、そんな目で見てもダメだから。
「あっ
おもわぬところで 時間を使ってしまった
もう 帰るからー
アオハコ」
「はい お食事です
それと、服です」
「テーブルに 並べておくから
お腹が 減ったとき・・・
って もう喰ってる」
食事の乗った、お皿を並べて服の入った箱をテーブルに置こうとした時には、もう食べてる。
野性だな。
ステーキを、両手でつかんで。
「モグモグ」
「それじゃあ また
明日」
「ウグ
ウンウン」
バタム
「アオハコ
自転車出して」
時間的に、早く帰らないと家出だと騒がれるのもしゃくだ。
「はい」
電動アシストママチャリが出てくる。
2歳児の今の体型では、ギリ乗れるサイズ。
でも、もっと早くしたい。
「よし 急いで帰らないと
自転車用の ジェット出して」
「はい」
むき出しの、ジェットエンジンが2本出ている。
簡単に接続するアタッチメント付き。
「取り付けて
しゅっぱーつ」
ゴーーーッ
盛大に炎を吐き出す ジェット。
「ヒャッハー」
一気に、丘を駆け降り 森を抜ける。
ひどい砂利道だ。
街の中心は、石畳だけど他は、全部ガタガタ道。
「はやーい」
ペダルを、漕がず サドルにも腰掛けない。
ちょっと、未来っぽい。
「アオハコ
パラシュート出して」
「はい」
スピードが、出過ぎた。
100キロは、軽く越えてる。
さっきから、ブレーキをにぎっても、止まる気配がない。
ヤバい、家に帰るどころか隣街にまで、行きそう。
そこで、止まる保証はない。
「ありがとう
って サイズ 大きいよー」
大人用だ。
先輩、ちゃんと 子供用も おなしゃす。
「わー ぶつかるー
アオハコーッ」
「はい」
アオハコを、抱き抱える。
また、このまま病院に・・・
まてよ、病院ってあったっけ??
その時、フタがガバッと開き、
ボフッ
簡単に言うと、ビルから落ちても大丈夫な、エアマットが出た。
なにこれ、思ったほど痛くない。
「ひゃあ 助かったぁ」
ケガがないか、体じゅう見る。
ボムッ
ママチャリが、大爆発する。
田舎じゃあなかったら、今ごろ騎士団が来て大騒ぎだ。
「ちょっと ルーベルス
こんな 遅くまで 遊んで」
腰に手を置き、怒っている。
まいったな。
「ごめんなさーい」
かわいく、謝ってみる。
「ご飯 出来てるわよ」
機嫌は、よくなったみたいだ。
チョロい。
「はーい」
でも、ガキを演じるのってしんどい。
「いただきまーす」
モグモグ
テレビもスマホもないからか、ずっと食べてるのを見てくる。
「ごちそうさまでしたー」
近所は、薪で料理を作っている中
ここは、ガスコンロも 電子レンジもある。
オーパーツの数々。
オフロガ ワキマシタ
(こいつには 最初ビックリしたっけ)
正直、なに時代よって
面食らった。
(以前 転生者が住んでいた家)
その転生者は、引っ越して行った。
その後は、音信不通らしい。
今では若い夫婦とボクが住んでいる。
(色々 豪華設備に あふれている)
他の家は、川まで洗濯に行くがここは、洗濯機と乾燥機付き。
異世界で、ようやく乾燥機にありつけた。
(シャワーも 暖かいお湯が
必ず出てくる)
先輩、あざーっす。
(そんなの普通だろって
この前まで思ってた)
情報を取る手段。
ドローンも、試したが すぐ真っ二つだ。
モンスターに、容赦ない。
(でも 違った
この家だけ先進設備が付いていて他の家の住人は小麦のワラをベッドに敷いて寝ていた)
抱っこされて、他人の家に行ったが思わず、目をそむけるようにしがみついた。
(軽く ショック)
早く、自宅へ帰りたかった。
(近所の 幼なじみの ビッキイって
女の子の ところも 家が激のクサで引いた)
これが、現実なんだな。
(初恋は いきなり 終わった)
あーあ、ヤバいな。
(なんか 贅沢に なっちゃってるのかな)
ゆっくり、お風呂で つかれを癒すルーベルス。
次の日
「ねえ ルーベルス
おはよお」
朝から、ビッキイが ボクの家に来ている。
「おはよう
ビッキイ」
最近は、こういう朝が珍しくはない。
「ねぇ
遊びましょ!!」
もう、ビッキイはテイムが
済んでいる。
「今日は 忙しいから 明日ね」
「ぶぅ
いじわる」
ボクは、家に帰るように言ったがビッキイは、頬を ふくらませるのみだ。
アオハコからロりポップキャンディーを取り出し、彼女の前へ 突き出す。
「ふふん
ありがと」
そう言うと、ビッキイは 名残惜しそうに帰ってゆく。
(昨日 作った家が 気になってしまった)
よく考えたら、誰の土地かわからないのに、いきなり立てて迷惑かも知れないし、ちゃんとキレイに使っているかも、気になる。
「朝 早くから 待ってたのよ
ビッキイちゃん」
腰に手を置き、難しい顔をしている 女。
また、機嫌をとらないとな・・・
「うん・・・」
朝から、子供のフリは しんどい。
かんべんしてくれ。
「ご飯 食べたら 仲直りして おいで」
「・・・うん」
朝食後
(やっぱり ルタリーナが
気になる)
着替えを、済ませると 一目散に昨日立てた家に向かう。
しかし、その様子を見られている。
「左の方
ビッキイちゃんの家とは 反対側に
行ったわね」
近所の子と、仲良くして欲しい腹つもりだろうが、こっちはわかってる。
コンコン
家を、ノックしたが 反応がない。
「ルタリーナ??」
おそるおそる、ドアを開ける。
ニワトリのように、豹変した狼が
おそって来たら、おしまいだ。
「玄関には いない・・・」
野性動物が、大人しくしてるわけないよな。
次の部屋へ、入った刹那
「ガウルルルッ」
角から、狼が出て来て押し倒された。
おしまいだ。
「ルーベルスさまぁーん」
狼は、女に変わった。
「おどかすなよ」
「だってー
すっごく さみしかったんですよー」
左手の、人差し指でボクの胸を、ゴリゴリする。
「あの~
服を テーブルの上に置いてたよね? あれって」
別に、かまわないが全裸だ。
「着ようとはしたんですよ」
立ち上がって、ドレスの残骸を見せる ルタリーナ
鋭いツメが、どうしても引っ掛かりダメだったらしい。
「それに
なんで こんなに 散らかってるの??」
クッションだったであろう残骸など、運動会でも やったようだ。
「だって 野鼠がー」
ルタリーナの、指差す方に以前、テイムした鼠がいる。
「なんだ お前かぁ」
「あたしだって
住んでイイでしょ!!」
胸を張り、大きく見せようとする 鼠。
「・・・うん」
苦虫を、噛み潰した顔でしぶしぶ答える。
「イヤなら あたしにも家ちょうだい!!」
「そうだよね
ルタリーナ 悪いけど 一緒に住んでよ」
「えー
ご主人様が そう言うなら仕方ないですね」
奇妙な同棲生活が、はじまる。
異世界に行ったら画力が神レベルになって めちゃくちゃペンがはかどるのでテイムしたモンスターを描きまくるついでに世界救うわ(異世界先輩の成り上がり) なばば☆ @bananabanana1E
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