デート?のお誘い2

田戸さんに早速、電話をかけてみる。



《トゥルルル、ガチャ》



「もしもし、田戸さん 今いいですか?」



「はい!どこに行くか決まりましたか?」



「決まったけど、田戸さんが興味がなければ、違う場所にするけど‥」



「私は、どこにでもいくつもりです!」



「そう?なら言うけど、七宮市に今話題の7つの神社に行って御朱印を7つ集めると願い事が一つかなうという話なんだけど、知ってるかな?」



「そんな話があるんですか?知らなかったです」



「あれ?SNSで、話題だと聞いたんだけどな」


あまり有名じゃなかったかな‥‥



「私が、知らないだけですよ、違う県だし‥」



「違う場所にしようか?」



「そこでいいです!」



「貴海ー!夜ご飯できたわよー!」



階段の下から母親が、大声で私を呼び始めた。



母さんよ、恥ずかさMAXなんだが‥‥



「ちょっとー、きいてるの〜!」



余計に大声になった。



仕方ない、返事をするか‥



「はーい、ちょっと待ってー、まだ電話しているからー」



「早く、くるのよー」



「わかったー、なるべく早く行くから!」



はぁー、この後、田戸さんと話しにくいのだけど‥


「ご、ごめん、夜ご飯のようだから、話を手短にしようか」



「ふふっ、はい、わかりました、御朱印巡り楽しみにしてますね」




「何処で待ち合わせしようかな?」



「そうですね〜、七宮駅集合にしますか?」


「そうだね、じゃあ、日曜日朝9時に七宮駅で」



「はい、わかりました!」 



母親のせいで、恥をかいてしまった。



あとで、抗議の声をあげておこう。



「楽しみにしてますね、ではまた」



そう田戸さんがいうと電話が切れた。



ふぅー、なんとか上手く話せたかな。



母親が二階に上がってきて、ドア越しに


「貴海!まだなの〜夜ご飯冷めるわよー」



「はいはい、今行くから!」



階段を降りて、父親と母親と夜ご飯を食べていると、母親が、


「そう言えば、さっき、誰と話していたの?女性の声だったような気がするけど‥」


「なぬ!ついに貴海に春がやってきたのか!」


父親も、真顔で、ボケをかましてきた。


「う、うるせぇよ、母さんのせいでさっき恥をかいたんだから何も言わないよ」


「と言うことは、あなた!」



「おう!これはめでたい!今すぐ赤飯だ!」



母親と父親が顔を見合って驚いた表情をしている。


「いや、俺、男だから!2人ともふざけないでくれる?」


「す、すまん、つい嬉しくて‥」


「ごめんなさい、でも‥あの女性に奥手の貴海がねぇ‥」


母親がニヤニヤして、私の顔を見てくる。


「もう!知らない、部屋に戻る!」


夜ご飯の生姜焼きを急いで食べ終わり、自分の部屋に向かった。



「貴海を怒らせちゃったわね?」


「そうだな、数日は口を聞いてくれないな〜」


「でも、そのうち実家から出ていく日も近いかしら」


「寂しくなるなぁー」



「私がいるじゃない」



「ハハハ、そうだな、夫婦仲良くやっていこうじゃない」



「ええ、もちろんよ」




はぁ、全くあの2人は当分、口を聞かないでおこう。


さてと、日曜日は有給を取らせてもらったが、明日、土曜日は、仕事だ。


有給を取ることをみんなに伝えた時に、ジト目でいろいろ言われたが無視した。


特に、堀内さんからは、どうせ、田戸さんとデートでしょう?と直接的なことを言われたが、


さぁ?なんのことかな〜と口笛を吹き、シラを通して、その場を乗り切った。


みんなごめん、しかし、この日は大事な日なんだ許してくれと心の中では思っているけど。



そういえば、嶋さんと一緒に仕事ができる時間がもう少ししかないし、頑張らないとなぁ。


日曜日は、休みにしちゃったから明日、店長の引き続きをしっかりやらないと。



そう思いながら、ベッドに潜る貴海だった。













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あの夏、この夏、きみのいた夏 もっちゃん(元貴) @moChaN315

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ