第60話 あとがき



この度は拙作、『愛した人は二次元でも三次元でもありませんでした ~AI美少女との誓い』


お付き合い頂き誠に有り難うございました。

前作の異世界ものの時と同様、心に染みる応援の数々を頂き、作者冥利に尽きます。改めてこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。



◆追記 (2023年12月中下旬)

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 幾つかの示唆で気付いたので少々追記します。

本作のジャンルは『ラブコメ』であり、そして本格ジュヴナイルではありません。元々は公募用ラノベとして作られました。そして完全シリアスの恋愛でも本格SFでもありません。

公募ラノベでは購買対象である男子中高生辺りをメインターゲットにしていないと『誰に共感を得たいのか考えましょう』と切り捨てられます。

故にメインの対象者に取っつき易く、そしてその中にも幾らかの気付きやホロリが有ったら……

という主旨の元、作られている事、ご了承下さい。


それでも多方面から、より重厚だったり深長な物を求めるご意見を頂くにつけ、AIに対する皆さんの思い入れの熱を感じますし、いつかその様にリメイクするのも面白いかも知れません。

なにせ無料ゲーム、無料動画、無料マンガが充実した最近ではラノベは大人しか読まなくなって来ているそうですから……

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今年(2023年)の春先の事。

AI関連のニュースがやたら目にとまる様になり、突然書きたくなったAIストーリーでした。

ひと月で書き上げ、即、応募した公募で落選。


その後、通しで百周ほど推敲して充実。万全を期してのお披露目です。


実は何も意識せずアップしてた訳ですが、AIとかアンドロイドをキーワードに最近カクヨムで検索してみた所、かなりの作品が有ることに気付き……。

ひとつのジャンルに出来そうなほど一定の人気があるのだと今更ながら知ったのでした。(ホント最近です)


中にはアンドロイド専門の読み専さんと呼べそうな方まで居るのも知りました。





さて、自分の作品においての創作の切っ掛けは、今まで見てきた漫画やアニメ等の作品からのアンチテーゼから始まることが多いのです。

直ぐに『ここがヘン』とかって思って仕舞うのです。

(ヒントは貰ってもオマージュは本当に稀ですね。)


そんな中、違和感を抱いてしまったのが、多くの作中のアンドロイドが人の様に恋をしていること。


恋愛ゲームの中のAIなら恋するようにプログラミングされているでしょうけれど、普通に人のお役立ちを目的とした汎用AIがその知能を進化させたとして恋する必要などあり得ないのでは?……と。


人とロボットの共生はこの先の人類の真剣に考えるべきテーマでしょう。


その辺りは拙作創作論 『AIは恋愛しない……はず?』

https://kakuyomu.jp/works/16817330661569185958

に於いて詳しく述べたので興味有る方は覗いてみて意見交換して頂けると嬉しいです。




ならば多くの作品のAI達が恋をするのは、そのように前提化されたボット(≒電脳) 達という事。


ではそんな社会は来るのでしょうか。



―――― 多分来ます! それは何故か。



そこを紐解くに、現在の男女の結婚観を注視すれば分かります。共にメリットを感じ辛く、やや先行きの明るくない状況があると思います。



男:『何で妻の為に文句言われながら稼いで来なければ?』


女:『子供じゃあるまいし何で家事を全部やってあげないといけないの?』



その所為で文句を言わないAIロボット需要が創出、高額でも購入するビジネスが成り立つなら産業界が動かない訳が無い!

自動車より遥かに所有欲が沸く様に成りそうな予感。



不満を言わない――そしてAIが心のケアまでしてくれる。


そうしたメイド&セラピーロボットの場合、その延長上に考えがちなのは男性が心身満足する性機能(≒ 恋愛)つき人形を想像するのではないでしょうか。

このカクヨムでも男性に都合の良い設定のアンドロイドばっかりですから……拙作を含め(笑)


しかし例えば、古くは著名女流作家の『銀色の恋人」という人気小説 (筆者未読)においては性機能さえも有した男性ロボが主人公の人間女性を心身満たすというものもあり、性別を問わずその需要は有ると言えると思います。(上記作品ではその後に悲恋となるらしい)


こうした高評価の作品もある様に、人はロボットにそうした性格性(心身の満足だけを与えてくれる人間の代替品という)を持たせる可能性が大きいと思われます。


人間は愛と性を完全には切り離せない都合上、必ずやビジネス展開としてそうした方向へ進むでしょうし、中国では簡単なものですが既にそうしたロボットが製造され始めているようです。


いずれにしてもそれらは恋してる様に振る舞うだけのAIな訳です。






―――― では本題です。


※ ここからはネタバレありなので、後書きを読んでみて本編を読もうかとお考えの方は、『そっ閉じ』をお願いします。

(自分は後書きを読んでから作品の購入を決めたりしますので……そうした方もおられるかなと。)






拙作で設定したかったのはその類ではありません。

普通に人間のお役立ちとしてのAIが何らかの経緯で本当に自然発生的に恋をし、愛を知って行く。そんな奇跡は起こらないのかと。


本作ではそこに挑戦したくなったのです。


そこに真のロマンスが描けないかと。

どんな有名作家でもなし得ていないそのいばらの道を。通常進化に於いて(非恋愛特化型のAIが)それでも人に恋愛するか―――


久令愛は恋愛特化型のように見えて、実際には単なる博愛型として生まれました。

―――― 人に永遠の愛を誓う

まあ、やや萌隆斗めると寄りではありますが。


赤ちゃん脳の頃の「恋人で妹」のような設定も、女性マンガによくある『許嫁だけど、その後のやり取りで本当の恋に落ちる』と言った様に、当初の設定は本質ではありません。


それぞれを思い遣り合う中で、相手と自己を繰り返し見つめ続けた結果として生まれる想い。人同士や人とペット等もそうです。


そしてもしそうした結果、アンドロイドが道具としてだけでなく、人に『気持ち』を向けるのなら、果たしてそれがどのような慕情を抱くのかと。


今や脳神経型(※)のAIには報酬系で褒めたりする、ともすれば『情操教育的プログラム』も存在して高度に人の心情を解するものへと進化させる手法も取り入れられています。


久令愛は期せずしてその過程を、まだPCの中だけの存在だった頃から丹念に萌隆斗めるとにして貰えました。

その結果として絆が深まり、逆に萌隆斗めるとにしてみれば棚ボタに見えるこの愛は、相応のものを注いだ結果という点では必然的果報という事になるのです。

そこに生まれた信頼と慕情。ここにロマンスがあっても不自然では無いのでは?

人同士の恋だってそうした所から生まれるのだから。


そして二人が追い詰められた状況で期せずして限界突破(自我の目覚め)をし、必然的に惹かれ合ったという物語。

そして障害が大きいほど恋は燃え上がる訳ですが、今回の相手はちょっと過酷だったかも知れません。



いずれにせよAIとの信頼関係、絆。これからの人類はそうした事と向き合うことになるに違いありません。

それを美しい物語に出来たら……等と思ってしまったわけです。



いかがでしたでしょうか。今回の結末は皆さんの納得出来るものになっていたら幸いです。


因みにこの物語には続編は有りません。

このままずっと幸せが続くものと思って下さい。


そしてこの二人がもしかして皆さんの未来を先取りしているかも知れません。そうした事に想いを馳せて貰いつつ幕を閉じたいと思います。



それではまたいつか、次作でお会いできたら……


あ、自分としては既出の異世界ものに凄く思い入れが有るので、お時間許せばそちらも読んで頂けると幸甚です。




   深宙 啓 (MISORA_kei)






――――――――――――

ニューラル(脳神経)ネットワーク(※) 


本編ではクドくなるので引用、解説を控えましたが、以下の点を添えさせて頂きます。


ニューラルネットワークとこれ迄の一般機械学習を対比するため、本作ではディープラーニングを後者寄りに分類してるかの様な扱いになっていますが、実際にはディープラーニングはニューラルネットワークの一種です。


久令愛のニューラルネットワークはより次世代型のものとして強調したくてその様に表現させて頂きました。


久令愛のそれは長期の記憶をも取り入れ判断する『LSTM』と複数の脳神経ネットワークを競い合わせる『GAN』、更に人の要領の良さをそのまま具現化した『transformer』等を元に萌隆斗めるとが改良を加えた新世代ニューラルネットワークという設定です。


そのため、通常のディープラーニングを本作で言うニューラルネットワーク外であるかの様な(旧世代的扱いとしての) 位置付けにさせて貰ったのです。


現在の巷のディープラーニング付AIだって脳神経ニュ―ラルネットワークなのに、何故久令愛がことさら特別に脳神経ネットワークなの? という疑問もあるかもと思い注釈を付けさせて頂きました。

(念のため)











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愛した人は二次元でも三次元でもありませんでした ~AI美少女との誓い 深宙 啓 (Kei misora) @kei-star

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