第2話 日常を捨てる

なんとなく空を見てた

青い空

白い入道雲

蝉時雨

夏をつよく感じた

夏は完成している



そうめんを食べた

いかにも夏らしい

涼しげな器に盛り付けて

そうめんつゆの中の氷の音が

夏の憂鬱さを中和する

風鈴は生ぬるい風に揺れ

涼しい音をだした



夏休み中盤

そろそろ

絵とか読書感想文とか

やらないといけない

なぜわざわざ本の楽しみを消すようなことをさせるのかわからない

大人はそれっぽいことをするのが

好きなんだろう

本当におもしろくない

やる気がでない

夏バテだと思った

夏バテもあるけど以前からのサボり癖もプラスであるだろう

夏休みの宿題が終わってる状態がいいとは思うのに

その状態に持っていけない

馬鹿らしい

やる気出せよ


マンションのベランダから

夜の風を受けながら

空を見ていた

星はほぼ見えない

明日は学校

何ひとつ

夏休みが楽しいと

青春をしていると感じなかった

俺の人生ってなんなんだろう

ネガティブな気持ちになってしまう

明日が学校

学校

行きたくない

行きたくないな

嫌だな

日常が

なら

日常を捨てればいい


ベランダの柵は意外と高くて

足をかけたら夜風をつよくつよく感じた

日常を捨てる

僕が死んでも誰も悲しまないだろ

将来なんにもならないだろ

適当に国に貢いで生きてくだけなんだろ

最悪な人生だろ

いいんだ

いいんだ

これで

頭に浮かぶ言葉を全部潰せ

風となって

とびだせ

鳥を想像しろ

最後くらい華々しく

血の華を


、、、

















































ジジッ


「うっ!」

前屈みの姿勢

上の階のベランダを咄嗟につかむ

手が滑った

ださ

落ち方も

最後までくそだな


「うぉお!」

足に力を入れた

踏みとどまった

このダサい姿勢で死にたく…

いや

手で柵に触れる

足を下ろす


ジジッ


なんだおまえは

蝉がひっくり返っている

死にかけ

いつもどんな蝉でもこんな風に死んでいる

ダサいな

ジジジッ

必死の抵抗

死にたくないと

訴えかけているようで

こいつは短い人生を

決められた時間しか生きられないのに

まだ生きたいとこいつは願っている

そこまでしてお前は

なぜ

なんだ

ジジッ

ジッ


死んだのか

なんでさっきのタイミングなんだよ

邪魔すんなよ

、、、



止めてくれたのかな

そんな都合の良い考え方が浮かぶ

蝉がそんなこと思うわけないだろ

そうだろ


でも

あるかもな

あるよな

生きたいってこいつも訴えてたんだ

あるのかもな情が

なんで俺は











制服は

日差しに照らされて

白いシャツはその日差しを反射して光をはなっているようだ

蝉時雨

俺には

こいつらが

俺の

背中を押してくれているように感じる


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蝉時雨 @tensuke0628

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