Record.1 SIDE:レジスタンス 「戦士よ、起ち上がれ!」

星暦2722年

エスポワール帝国軍総司令官ジェネラル・ムーが「対不穏分子法」を制定してから数日、帝国軍にスパイとして潜入するレジスタンス工作員がレジスタンスのリーダー「鉄血のバル」サブリーダー「狂言のイナバーン」にその全容を伝えていた。

「おのれ、モエガワの傀儡が!!」

「どうするんだバル?その嘱託裁判官てのが動き出したら不味くないか?」

「…出かけてくる。イナバーンはこの事を幹部連中に伝えろ。」

バルはレジスタンスに資金提供をする企業の1つ「ブレイポウ」へ向かった。

ブレイポウは元々は国内トップの銃器メーカーだったが工業大臣からの圧力によりトップの座を奪われ、一般企業の3倍の税をかけられてたりと圧政に苦しんでいた。それらの行為からブレイポウの社長「レディ・A」は王の打倒を計るレジスタンスへ秘密裏に資金や情報の提供を行っていたのだ。

「そう…国王がそのような事を…」

「馬鹿な王だと思ってたはいたがこんな手を打ってくるとは…あいつだけの話なら容易かったが、あのジェネラルが出てくるとなると話が変わる。」

「「エスポワール帝国軍総司令官ジェネラル・ムー」本名は「ガオンハルト・ムー」星暦2712年にエスポワール防衛学校を卒業しそのまま帝国軍に入隊、主に国内での任務をメインにし軍では史上最短かつ200年振りに「ジェネラル」の称号を与えられ総司令官に抜擢され、彼の関わった事案の解決率の高さも目を引く…と、まさに「正義の番人」ってとこね?」

「こっちのスパイの話だと「対不穏分子法」てのを与えられた権限で制定したようだが…」

「なにか気になる事でも?」

「俺達を潰す気だけならわざわざここまで大規模な事をするかと思ってな」

「考えすぎじゃないの?」

「かもな。それで頼んでいた物は?」

「これよ。西エリアの武器製造所と食料製造所の場所とその見取り図のデータよ。」

「住宅地のように見えるが…まさか…」

「そのまさかよ。ここは最近建てられたばかりかつ周りを防壁に囲まれてるから内部を知るよしもなかったでしょうけど、帝国軍は住宅地のど真ん中に武器と食料の工場を置いてるのよ。だけど、防壁内の住宅地はダミーだから派手に暴れても問題ないわ。」

「それなら良し、早速役立たせてもらう。また何かあったら連絡する。」

「気をつけてね。こっちも何か情報を得たら一報いれるわ。」

部屋を後にするバルを見送るレディ・Aは部屋に戻るとスマホを手に取り電話をかけた。

「もしもし私よ?帝国軍の動きに合わせてバルも動き出したみたいだけどそちらはどうするのかしら、リオ組合長?」

「両軍とも駒を動かし始めたか。傭兵組合MerUnとしては稼ぎになればどちらが勝とうが負けようが知らないね、ただ一分一秒でも長く戦闘が続いてくれるとそれだけ我が組合が潤うのでね?」

「相変わらず稼ぐ事に余念が無いわね。」

「それは君もだろう?レジスタンスのトップとつるんでいながらそこで得た情報をこちらに流してくるのだから。」

「この国の法律とクソ大臣には恨みが有るけど、革命は時代遅れよ。潰れるものだけ潰れてもらった所で平行線に戻る方が私にとっても会社としても望むところね?」

「確かにな、そこの所はウチと共通する所があるな。そしたらこちらもそれに合わせたプランニングといこうかな。」

「お互い得られる物はきっちり得ていきましょう?」


それから日が経ち…


レジスタンス第3隠れ家

西エリアに位置する第3隠れ家にはバルが得た情報を元に立てられた作戦を行う為に各地のレジスタンスメンバーが多数集められていた。

「レジスタンスの同志達よ!今日はかねてより計画していた西エリア工場地帯強襲の日だ!防壁内はダミーの住宅地と工場郡がある。居る人間はほぼ帝国関係者だ容赦はいらない、我らの気高く崇高な目的の礎とする為に今回の作戦成功させるぞ!」

バルの演説に集まったレジスタンス達が雄叫びを上げ、彼らは西エリア工場地帯への攻撃を開始したのであった。



Record.1 SIDE:レジスタンス END

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ボクラノ終末ガタリ @Gaonhard

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