Record.1 SIDE:エスポワール帝国軍「WE GOTTA POWER」

星暦2722年

エスポワール帝国 王城ゴルゴルド

エスポワール帝国軍総司令官「ジェネラル・ムー」はモエガワ王に呼び出され金色に輝く王城「ゴルゴルド」に呼び出されていた。呼び出された内容としては「最近レジスタンスの動きが活発化しているので総司令官には自身と同じだけの権限を与えるので何とかして欲しい」というものだった。

「と言ってはいるものの全て丸投げではないか…だが得られた物は実に大きい、これは楽しくなってきたぞ」

ジェネラルは帝国軍本部に戻ると現状を打破する為の新法案「対不穏分子法」を制定し軍内部にのみ通達した。更に一部の帝国軍人を「帝国軍嘱託裁判官」に任命した。帝国軍嘱託裁判官は対不穏分子法の元に対応事案に遭遇した場合、その場で判断・判決を下せるというものだ。

「対不穏分子法」

第1条 帝国軍嘱託裁判官は如何なる場合でも令状なしに捜査・逮捕する事ができる。

第2条 帝国軍嘱託裁判官は相手が国家に害をなす不穏分子と認めた場合、自らの判断で処罰する事ができる。補足 場合によっては抹殺も許される。

第3条 帝国軍嘱託裁判官は不穏分子に協力するものも同様に自らの判断で処罰する事ができる。

第4条 帝国軍嘱託裁判官は相手が不正な要求をしてきた場合、自らの判断で処罰する事ができる。

第5条 帝国軍嘱託裁判官は不穏分子が不正・不当に所有する物を自らの判断で押収する事ができる。

第6条 帝国軍嘱託裁判官は不穏分子が一般市民に危害を加えた時、自らの判断で抹殺する事ができる。

第7条 帝国軍嘱託裁判官は如何なる理由があろうと一般市民に被害が出る事案に遭遇した場合、一般市民の命を優先し行動せよ。

「厳正な審査の元に選ばれた裁判官達。彼らが街で行動を起こす事でそれが噂やSNSで広まり何れは大きな抑止力となる。あとは結果を待つばかり…」

ムーの予測は8割程度当たり、軍内部に通達してから2週間で解決した事案は50件を超え始めていた。

更に数日が経過したある日、帝国軍本部内に警報音が鳴り響く。ムーは指令室に赴くとオペレーターが状況を報告した。

「ジェネラル、現在エスポワール帝国西エリアにてレジスタンス勢力による大規模な物資強奪が行われています。西エリアは住宅地が多く、負傷者も多数出ており現場は混乱しています、指示をお願いします。」

「分かった、これより西エリアで起きているレジスタンス勢力襲撃事案を「CODE:YELLOW」から「CODE:RED」に移行する。本部からは十数名の精鋭をピックアップし、更には先日試験を完了したアンドロイドも投入する、そして現場には自分も出る。」

「ジェネラル自ら…ですか!?」

「これ程の大規模な襲撃となれば普段のとは違い、綿密に計画されたものだと推測できる。となれば現場にはレジスタンスを従えるリーダー・サブリーダークラスが指揮を取っていると考えられる。奴らの顔を拝む絶好の機会だ。」

「わかりました。直ちに指揮車両の準備にかかります。」

レジスタンスの大規模襲撃、これは後に帝国を揺るがす大事件の始まりにすぎないのだった…


Record.1 SIDE:エスポワール帝国軍 END



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る