“僕には、君という帰れる場所がある!”

神石水亞宮類

第1話 “僕には、君という帰れる場所がある!”




“僕には、君という帰れる場所がある!”

安らぎの場所、寛ぎの場所、癒しの場所、、、。

僕には帰る場所がある! 君が待つ場所に僕は帰るだけだ。



僕は戦争に駆り出されていた!

15歳以上の健康な男は皆、戦争に行く事になった。

僕の父親も僕の兄も従弟も、友達もみんな戦争に駆り出されてしまう。

僕だって! “君を置いて戦場なんて行きたくないよ!”

それでも僕の意志とは関係なく連れて行かれた。

殆ど連行状態だった。

僕に自由はなかった。

他の者達も自由はない!

誰が戦争なんて始めたんだ!

誰も人を傷つけたりしたいなんて思ってない!

平和に愛する人達と平和に過ごせたら、それだけでいい。

それがなんでできないんだ!

僕は納得できていない。

彼女は僕を宥めるようにこう言った。



『“心はいつもミサヲの傍に居るよ、私はいつだってミサヲの傍に居るから

だから、必ず生きて私の所に戻ってきて!”』

『“亜輝菜、僕はずっと君の傍に居たいんだ!』

『私だって、ミサヲに傍に居てほしいよ! だけど、今は無理だと思う。

それなら戦争が終わったら私達一緒になろう。』

『・・・ううん、そうだね、』

『“今はお互い我慢するしかないよ。”』

『分かった! 亜輝菜がそういうなら、僕は戦場に行くよ。』

『・・・ううん。』



・・・彼女はグッと涙を堪えて僕の事を想って言ってくれた言葉。

その言葉が僕の心を動かす。

“僕だけじゃない! 皆家族がバラバラになり愛する人と離れ離れに

なってしまうんだ! 僕だけ泣き言を言っていても仕方ない。”

僕はこうして、遠い場所にある戦場に向かった。

彼女を置いて。










・・・それから、2年後。

戦争が終わり、僕は君の所に返る日が来た!

僕は右手を負傷したが、それ以外はほとんど怪我をしなかった。

君が待つ街に、やっと戻れる!

僕が唯一、戻れる君が待つ場所に帰れるんだ!



【トントン】


『はい!』

『“僕だよ。”』

『えぇ!? ミサヲ、ミサヲをなの?』

『そう、僕だよ! ミサヲだよ!』

『“お帰り!”』

『“ただいま!”』



僕と彼女は3年ぶりに、やっと会えて抱きしめ合った。

僕の返る場所、君が居る場所。

生きて帰ったよ! 僕と一緒に戦場に繰り出された仲間はほとんど

亡くなってしまった。

戦争のせいで、たくさんの仲間が死んだ!

僕も何度も何度も死にかけた。

助かった僕は、亡くなった仲間の為にも生きなくてはいけないと思った。

僕には“帰る場所があった! 彼女が居る場所。”

彼女の為にも、僕は生きて帰りたかった。

彼女もそう望んでくれた!

“だから今の僕があるのかもしれない!”




『“君が居たから、僕は君の待つ場所に戻れた。』

『ずっと、会えなくても! ただただ生きててほしいと望んだのよ!』

『“ありがとう!”』

『何度かお見合いの話もあったけど、私は貴方を待つことを選んだの!』

『“僕の返れる場所は、君の場所だけだよ”』

『ううん。』

『“僕の愛する人!”』

『“私の愛するひと!”』



やっと、幸せに暮らせた。

戦争のせいで、たくさんのモノを失くしてしまったけど、、、?

僕には君が居る!

君さえいれば、僕は何も要らないんだ!

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“僕には、君という帰れる場所がある!” 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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