縁日通り

あらそろそろ 浴衣に着替え

宵々の間際に さぁ 向かいましょうか

林檎飴を 食べ歩いて

境内からの囃子 玉垣を越えて


鳥居の上には 神さまが御座す

おやや 皆に見られてしまいますよ


はらはらはらり 散る花も

今は笑みを咲かせ

串に通した 鳥たちを

火にくべて頂きましょう


ふわふわふわり 綿菓子に

射的 金魚掬い

祭はまだ 続きますよ

お付き合い下さいな


日がそろそろ 落ちますかね

いよいよ 縁日気分が本どころ

あらやだやだ 浴衣の帯が

お色直しの暇 頂けないかしら


巫が舞いて 神楽に見惚れて

あらら そんなに鼻の下 伸ばして


からからからり 夏夜空

夜露 満つ 盃

微酔い酔い 辿々しく

やぁね 待って頂戴な


ありあり在りし日のことも

今宵だけは忘れ

仄かに香る甘みに

抱かれまして 参りましょう


線香花火が最後まで

落ちなけりゃ 願いが叶うそう

人知れず 人知らずに

ぱちぱちと 音をたてて


あらあらかしこ あらかしこ

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つたない想い葉 依想こころ @yorikoro

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