第一章「エンジン」第二回「パワーとトルク」
クルマの話題になって必ず避けて通れないのが「パワーとトルク」についてだ。
クルマ好きの中でもいまいち分かってない人もいるだろう。
そこで今回は「パワーとトルク」について解説しよう。
【パワーって何】
パワーは文字通り力を表す。
クルマの世界ではエンジンの最高出力(いわゆる馬力)を指してることが多い。
じゃあ馬力とは何なのか、それは簡単に言ってしまえば仕事率の事である。
だが、ここでは馬力の計算方法や仕組みなどは一切解説しない。
別に分からなくても問題ないし、初心者に難しい話をしたら確実にココで読むのを止められてしまうので解説しない。
(ぶっちゃけ言うと私も解説するのがめんどくさいし・・・)
エンジンの最高出力は基本480ps/6400rpmのように記載される。
噛み砕いて説明しよう。
まず最初に記載されるのが、最高出力、馬力だ。
単位はps、hp、最近はkw表記もある。
皆が良く言う「700馬力」とかは「700ps」とも表記できる。
つまり馬力=psだ。
そのほかのhpは馬力≠hpである
hpは実はhorse powerの略で、意味は「馬力」なのだが、
イギリス、アメリカ基準のヤードポンド法で計算されてるため、日本のps表記(こっちはメートル法)とは少々誤差が出る。
「/」の後ろにあるのが回転数。単位はrpm。
エンジンのクランクシャフトの一分間での回転数を表している。
こちらは特に国ごとの違いとかはない。
【なぜ回転数の表記がセットで付くの?】
簡単に言うと、最高出力表記は、
「このエンジンが、この回転数に達したとき、最大限のパワーが発揮されますよ。」
というのを表しているのである。
【最高出力が発揮される回転数以上になぜ数字の表記があるの?】
クルマのタコメーター(エンジンの回転数を表すメーター)を見ると、最高出力が発揮される回転数以上の数字も刻まれている。
そして、その数字は赤く表記されてないだろうか。
これはどういうことか。
普通に考えると、最高出力が発揮される回転数よりもさらに回せば、もっと出力が上がるかもしれないと考えるだろう。
しかし、実際は違う。
実は最高出力が発揮される回転数を超えた瞬間から、エンジンのパワーは落ちだすのである。
勿論だが、エンジンにも限界点は存在し、大体最高出力が発揮される回転数を超えた辺りから、エンジンの限界点が近づいているのである。
もし、そのままエンジンを回し続ければ、最悪エンジンブローを起こしてしまう。
エンジンブローしてしまえば、エンジンはもちろんお釈迦。
二度と使えなくなる。
しかも、走行中に起こることが殆どだから、正しい対処をしないと事故ってしまい、クルマ自体もダメにする。
それを防ぐためにあるのが、その余分な赤い数字、「レッドゾーン」である。
このゾーンはその名の通り、エンジンが壊れる一歩手前を表しており、
「ここまでだったらまだ回しても大丈夫。」という最後の許容範囲である。
逆に言えばこの回転数を超えるようなこと(MT車で速度が落ちてないのに低いギアにシフトダウンするなど)があれば、オーバーレブとなって、エンジンに深刻なダメージが入り、最悪の場合ブローする。
なお、レッドゾーンまで回す意味はハッキリ言って無い。
ただ音を楽しむぐらいしかメリットがないので、おすすめは一切しない。
さらに、現在のクルマはリミッターのせいでレッドゾーンまで回せない個体が多い。
【トルクって何?】
トルクは簡単に言うと、力である。
「パワーと一緒やないかい!」って思われそうだが、簡単に説明するのが難しい。
パワーとトルク、何が違うのか。
それはパワーはスピードを上げることができて、トルクは加速・・・
あぁもう難しい!
更にざっくり行こう。
トルクは加速力を表す。
トルクが太ければ太いほど、クルマの加速力は上がる。
つまり、ゼロ発進(0km/hからの加速の事)やコーナーでの立ち上がり、坂道などでとても役に立つ。
表記の仕方は588N·m(60.0kgf·m)/3,200-5,200rpmが主流である。
こちらも意味は大体一緒で、「3200~5200rpmの間に最大トルクが発生しますよ。」という意味だ。
片方しか書いてない時は「○○rpmの時に最大トルクが発生しますよ。」という意味。
【パワー、トルク、そして発生回転数の違いによるエンジン特性】
理屈で説明する前に実例を出そう。
185PS/8,200rpm
16.3kgf·m/7,500rpm
これは、ホンダ・シビックタイプR EK9型の搭載エンジン、B16B VTECの最高出力と最大トルクである。
何かに気づかないだろうか。
・・・・そう。
最大トルクの発生回転数が最高出力の発生回転数に近いのである。
そして、平均の回転数(ふつうは大体パワーなら5~7000、トルクなら4000~)より高めの回転数に設定されている。
これがいわゆる「高回転型エンジン」で、通常のクルマよりエンジンが高回転まで回る代わりに、エンジンのトルクがスカスカで細いことが多い。
つまり、ゼロ発進加速や、コーナーの立ち上がり、上り坂などが苦手なエンジンになる。
ターボとの相性が少々悪い。
メリットとしては最高出力を上げやすい。
代表例は、マツダのロータリーエンジンやホンダ製のVTECエンジン。
続いて、こちらを見てもらおう。
280PS/5,600rpm
44.0kgf・m/3,600rpm
これはトヨタ・スープラRZ JZA80型に搭載されてた、2JZ-GTEエンジンの最高出力と最大トルクである。
このエンジンはさっきと違って、トルクの発生回転数とパワーの発生回転数の差がそこそこあるし、何より全体的に回転数が低い。
これがいわゆる「低回転型エンジン」で、低速トルクが強く、加速に優れ、坂道や立ち上がりでも有利に立てる。
ターボとの相性もいい。
燃費も良くできるため、現在では主流のエンジンとなる。
デメリットは最高出力を上げるのが難しく、高回転仕様にレブリミットを上げるセッティングをする必要がある。
【パワーがある、トルクがあるの基準は?】
これはハッキリ言って個人差だ。
一概に言えない。
しかもこれはクルマの重量と比較してのことが多い。
例えば同じ200psでも車重が1400kg以上のクルマは、パワーがあるとは言い難かったりする。
逆に車重が900kgを下回ったりしてると、パワーがありすぎる判定になったりする。
結局目分量なので、この辺りはレースゲーで体験すれば分かってくるだろう。
ちなみに一般的な乗用車は大体100~200ps
軽自動車は自主規制いっぱいで64psとなっている。
パワーが低くても、トルクがあるクルマなども多い。
SUVや本格クロカンはこの傾向が強い。
さて、そこそこ長い解説が終わった。
分かりにくかったら申し訳ない。
ぶっちゃけ結構難しいのだ。
この点は。
次回の内容は未定だ。
それではまた今度。
北見リョウのクルマ講座 北見リョウ @KitamiRyosRE
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