少女の思い~星空の下での推考~

十六夜 水明

神と、少女と、星空と。

 それは、彼女が中1の時の話。


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 もう夕日が沈み、火事のように燃えた空が紺色の絹に包まれるかのように、空の色から〖赤〗が消えた頃。

 私は、いつも通り学校からの帰路に着いていた。

 新月だったその日の夜空では、いつも以上に天の川と小さくて今にも消えてしまえそうな星々が、

 まるで、

『自分はここにいるんだ!』

 と主張するかのように一際、輝きを放っている。


 そんな星空を見たとき、ふと思いだしたのだ。

 小学校5年生の道徳の時間。

『もし、地球が人間のようなものだったら、私達の一生は、地球にとって凄く、凄く短くて「今、なにかあった?」というような時間である。』という文章を読んだことを。

 その時私は、

「そんなの知らない。」

 と思っていたのだが 、〖今〗、この夜空を見てよく考えると、本当だったら恐ろしいことだなと思う。


 なにか大きな存在。

 〖神〗とでもいうのだろうか。

 そんなものに、見張られているように感じたからだ。

 行きが詰まる、そんな気もした。


 星々は、先程までの強い主張を抑え輝いている。天の川は、その薄絹のような仄かな光で私を包んでくれているようだ。


 すると私は、なにか感じ取った気がした。

『自分は、………人間は、ちっぽけで儚いなんだな。』って。

 初めて、そうそう感じた。

 いや、思った。


 その瞬間────。

 夏の生ぬるい風ではなく、涼しく柔らかな、優しい風が通り過ぎていった。

 その風は、目の前から私を拒絶するかのように押し返すのではなく、後ろからふんわりと私の背をそっと押してくれるかのように吹いたのだった。


 今になってそれを思い出すと、

 あの風は、

『そう思っていても、しっかりと自分らしく生きろ』

 というメッセージだったのかもしれないと感じる。


 この広く広く果てしない宇宙ではきっと私は、〖塵〗のようなものなのだろう。


 それでも自分らしく、楽しさを追求して生活を送ることが、これからの人生で必要なのではないのだろうか、と私は思うのである。

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