第8話

病室を出たあと———。


———店長side ———


プルルルルルルrr…


『おおっ!マサか!久しぶりだなぁ!』


「久しぶりね、キョウちゃん♡」


『おぉっ…!…フゥエァックション!!寒気が…』


「フフッ、忙しいところごめんね。ちょっと頼みたいことがあって会いたいのだけれどいいかしら?」


『本当か?!そりゃアイツら喜ぶし若ぇ奴らのいい刺激になる!』


「あ〜ごめんね。みんなに会いたいしゆっくり飲み交わしたいのは山々なんだけれどちょっと急ぎなの」


『そうか?じゃあどうすりゃいい?』


「アタシの店に来てちょうだい。営業は夜からだし、裏口を開けておくわ」


『分かった!じゃあ早速今から行かせて貰うがいいか?』


「えぇ、待ってるわ」


プツッと電話を切る。


良かったわ。キョウちゃんが出てくれて。


共に毎日のように抗争に明け暮れていたあの頃が懐かしいわぁ…。


…でももうそれも10数年前の話なのね。アタシがヤクザから足を洗うって言った時には大の男たちがわんわん泣きながらしがみついて離れなかったのはちょっと可哀想だったけどキョウちゃんの一喝でみんな笑顔で送り出してくれたなぁ…。


…手土産にキョウちゃんの好きなお酒、用意しておかなきゃね。




…にしても最近おかしいと思ったのよねぇ詩織ちゃん。


ここ最近ほぼ毎日バイトに入ってるし元気もなかったわ。さすがに愛しのさーきゅんの前では気丈に振る舞っていたけどアタシにはバレバレだったもんねぇ。


…まあ大丈夫でしょって思って放っておいたのは完全にアタシの落ち度なんだけど。



…ヤクザ時代にはいろんなオンナを見てきた。


その上で断言できる。


あれは間違いなく金銭トラブルだと。







———7月31日———


あぁ〜意外と看病することないのな…。


看護師さんにも付き添いは必要ないって言われてるし…。現に今、病院内の売店いるし。


基本的に詩織さんの身の回りは看護師さんたちがやってくれる。そのためできることといえば一刻も早く回復して目が覚めてくれるのを祈るくらいなのだ。


それとまぁ善し悪しは置いといて、何も相談せず黙っていろいろ抱え込んだ詩織さんを1人にさせるのはやっぱり不安だし、目を覚ましたとき何をするか分からないんだよなぁ。


あと店長からも詩織さんのこと任されてるししっかりしないと!


あっ!そういえば今日31日だけど給料はいつも通り振り込まれてた。来てない分の給料もちゃんと振り込んでくれてるみたい。ナイトが未だに分かんないけど。


先月より給料良いってことはひょっとしたら店長のナンパがうまくいってるのかもしれない。


…1ミリも喜べることじゃないが。




…まあ今月の俺のバイト代は自分の生活費と詩織さんの入院費で消えるんだけどな。


お金欲しいよ…。



詩織さんは現在、着替えと清拭中。看護師さんに「はーい、出て行ってくださいね〜男子禁制ですよ〜」って言われたときは地味に傷ついたわ。看護師さんたちは何も間違ったこと言ってないけど疎外感が、なんか…半端なかった。



えぇ〜っと、飴とグミとチョコレートに、軽くサンドイッチで小腹満たそう。


金欠のくせにこういうとこでお金使うから貯まんないんだよなぁ。分かってても使ってしまう俺は重症。


「最近何もかも物価高で困りますよね〜」


「お金に困ってる人は割高の病院の売店でわざわざ買い物しないと思うけどねぇ」


「いや〜アハハ…」


…レジのおばちゃんも厳しいぜ。



買い物も済ませたしそろそろ戻るか。看護師さんたちに大体15〜20分置いてから戻ってきてくださいって言われてたけどもうそろそろいい時間だろう。



売店を出る。売店は病院の入口付近にあるのでロビーを通ったのだが…


「ついに発表なのね〜!」


「あなた、何枚買ったの?」


「500枚だ!今年は当たりそうな気がするぞ!」


「ホホ、うちは1500枚買いましてよ?」


病院のロビーだってのに騒がしいな!


病院では静かにしましょうって常識なのに何で騒いでんだって…。


あぁテレビを見て盛り上がってたのか。でも静かにするのがマナーってものだろ!




ん?宝くじ当選発表?サマージャンボ?



馬鹿馬鹿しい!当たるわけないでしょ。いい歳した大人たちがそんな夢見て当たりもしないのに…。





…ん?



サマージャンボ?俺買ってなかったっけ?


確かバッグに………。


…あった。


確か、フラれた腹いせっていうかヤケになって買ってたんだよな…。300…何枚だっけ。



『さぁ〜!今年のサマージャンボ宝くじ、一等の発表です!…………一等は、258999782番!

258999782番となります!え〜同時に一等の番号の前後が前後賞となり…』


ちょうど宝くじをバッグから出した時一等が発表された。




…そんな何桁もある宝くじの一等に当たる奴なんて運とかのレベルじゃないぞ。



882583496…935865411…741259368…。



…かすりもしない。



159357426…396752841…193724865…。



ダメだ。そもそも最初の一桁が違う。あぁ〜マジでなんで買っちゃったんだろう…。


後悔先に立たず…。なんで先に立ってくれないんだよ!後悔!


立ってくれるなら後悔なんて言葉生まれないか…。


471963852…258999782…347196324…。


あぁ当たら…


ん?




一等258999782番……………。





…今持ってるのが258999782と書かれた1枚の紙切れ。




「…………………@&¥:8&89ごぉ+%#\|☆×××〒:4*!?」




?!??!!??!!?!!?!?





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<登場人物紹介>

?(主人公)…真面目。バイト先の詩織さんや店長などには「さーちゃん」「さーきゅん」などと呼ばれている。


如月詩織…主人公のバイト先の先輩。のんびり屋さん。面倒見がいい。主人公大好き。


葉月エリカ…主人公をフッた元カノ。


店長(睦月マサミ)…バイト先の店長。ボディビル全日本選手権3位の実績あり。大のマッチョ好きでバイトの男子には筋トレを勧めているが誰もしないため布教しようとここ最近奮闘中。



長月海斗…エリカの今カレ。チャラ男。




※登場人物はまだ増えるので登場次第紹介予定

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作者です。まずは読んでいただき有難う御座います。おかげさまで作品のフォロワー数が1000人を突破致しました!★も400に届く勢いで作者はもう感無量です!(´;Д;`)


…あと何故か落ちてるはずのランキングがまた上がってきております。ここ最近毎朝「上昇してます」の通知がもう怖くて読者様から早く書けってことなのだろうなぁと執筆しております。(^◇^;)


最後に、本作はだいたい現実世界の設定を取り入れておりますが、宝くじのみ作者が書きやすい設定としておりますのであまり深くは考えないで頂きたいです。( ̄◇ ̄;)


ここらがストーリー的に山場ですので読者が気になっているであろうクズ2人もちゃ〜んと登場しますので安心してください!

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貧乏くさいとフラれた俺、大金持ちになり元カノからヨリ戻そうと言われたがもう遅い。〜助けて?フッたのはお前だろ?〜 ごまだれ @777enokichi

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