エキシビジョン 最終戦 終
ブラウルを倒したマリアがシルバーとプラチナの背後に迫った。
「舐めないでもらえるかしら? マリア嬢!」
冷静に状況を見極めていたプラチナがマギガンを構えてカウンターでマリアへ攻撃をする。
「キャー!」
「マリア!」
私の叫びでマリアの体力ゲージが一気に減少する。
「ウル! ルビナ!」
「わかってんよ!」
「はい! マスター!」
マリアの援護に二人が動き出す。
近くにいたルビナは、一斉射撃をやめて、低出力マギガンを持って、二人が隠れる障害物へと回り込む。
「邪魔させないんだよ!」
「あなたの方こそ邪魔です!」
シルバーが立ちはだかってルビナの動きを制限する。
「さっきのお返しだよ!」
高出力マギガンを連射できる能力を持つシルバーがマギガンを放った。
「くっ!」
ウルがシルバーを狙い撃つが、体力が多いシルバーはすぐには倒れない。
ルビナとシルバーにウルの狙撃が加わってこちらが優勢だが、マリアを救うことは難しい。
「私も舐められたものです!」
「なっ!」
だが、マリアの方でも変化が起きた。
近接距離に近づくことができたマリアが回避を始める。
いくら冷静な命中を使おうと相性というものは存在する。
マリアとプラチナの相性は距離による。
近づけばマリア。離れればプラチナ。
本来であれば、ブラウルによる強化と、シルバーの盾があれば、それを使って距離を取るのだろうが、今は一対一の決闘シーンでは俊敏:Sのマリアの方が有利だ。
「くっ!」
「姉様!」
「ええっ!」
スイッチするようにプラチナは、シルバーにダメージを受けているルビナに狙いを定める。
「フルリフレッシュ!」
ダーク君の能力を使う絶好のタイミングで、私はルビナの体力とマリアの体力を回復させる。
「なっ!」「ちょっと!」
倒せそうなタイミングで回復させられる絶望は最悪だろう。
マリアとプラチナが離れたことで、私の魔力発動範囲にマリアが入ることができた。
元々ルビナは、タンクとして攻撃を受ける役目を持っている。
だが、障害物があったせいで本来回復するはずのマリアが回復できなくてもどかしかった。
「マリア!」
「わかってるっての!」
インカム越しにマリアの怒鳴り声が聞こえる。
フィールドには障害物以外にも、アイテムが隠されている。
それは戦いを有利にするものもあれば、不利にするものもあり。
今回マリアが使うアイテムは、こちらを有利にしてくれる。
「なっ!」
「嘘っ!」
アルセーヌ公爵令嬢姉妹が、鎖で拘束される。
「なっ!」
セバスチャンの声によって、勝負は決する。
「マリア! あなたこんな卑怯な方法で!」
プラチナが忌々しい相手を見るようにマリアを睨む。
「なんとでも言いなさい。私をこんな風にしたのはあなたの弟よ」
マリアの視線が敗北者であるセバスチャンに向けられる。
「なっ! なんということだ! 圧倒的! 圧倒的完勝によってダーク・ネクストチームの勝利だ!!! 誰が予想できたでしょうか?! カイザー王太子戦ではギリギリの戦いを繰り広げたルビナ嬢とマリア嬢が、手を組むことで、ライバルを圧倒してしまう力を発揮したのはいうまでもない。
ですが、圧倒的な先手必勝からの決着劇は、華麗にして美麗!!!」
実況が熱狂的な解説をする中で、マリアがセバスチャンに近づいていく。
「なっ! なんだ」
「セバスチャン様。私はたとえ公爵家の力を取り戻したとしても、あなたの下へはいきませんわ!」
「なんだと!」
「だって、あなたって口先だけで、大したことない甘ちゃんですもの。身内でチームを固めて、情けないですわね! それにあなたの命令ってチープでその場凌ぎばかり。頭がいいくせに先を予測して考えられませんの? だから負けるんですの。それじゃさようなら。今後は気持ち悪いので絡んでこないでくださいませ」
マリアは言いたいことを言って、こちらの陣営へと戻ってくる。
唖然とする観客に実況。
私は大きく笑うしかない。
「あ〜はっはっはっはっ! よく言った! かっこいいぞ! マリア!」
私の笑い声とマリアを称える拍手によって、観客たちも何が起きたのか理解した。セバスチャンがマリアに言い寄った結果……、振られたのだと。
「やるじゃん」
「よく言いました」
ウルとルビナが戻ってきたマリアとハイタッチをして出迎える。
真っ直ぐに私の元へと向かってきたマリアは止まることなく私の頬にキスをした。
「あなたのお陰で勝てましたわ」
小さな声で伝えられたお礼!
しかし、それよりも場所を選んで欲しい。
「おおおおおっと!!! これは意外な展開だ! どうやらセバスチャン選手から言い寄られていたマリア嬢が、セバスチャン選手を振ってダーク選手を選んだぞ!!! これは熱い! 熱すぎる展開だ!!!」
実況は面白いおかしく囃し立て、観客たちから口笛や拍手が巻き起こる。
「なっ! ちっ、違いますわよ! これはお礼であって。あ〜もう!」
「おいおい、どういうことだ? クソご主人様?! いつからマリア嬢と! 私というものがありながら」
「マスター! 不潔です。私が一番なのに」
「えっ?」
二人の意外な反応に私は好感度がいつの間にか高くなっていたことを知りました。
「さぁ既成事実ができてしまいましたわね。責任とってくれますわよね?」
マリア嬢、君もか!
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あとがき
どうも作者のイコです。
読者様に感謝です。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
美少女育成ゲームなのに、ハードモードなので課金アイテムでなんとかします。 イコ @fhail
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