エキシビジョン 最終戦 2

 三対三の上級フィールドは今までよりも広くなり、障害物や罠、キーアイテムなどが追加されるようになる。


 つまりは、個人の能力やチームワークというだけで勝利が決まるわけではなく、フィールドを活かした戦い方が必要になる。


「作戦はわかっているね」


 ヒロインたちの情報は私の頭の中に入っています。


名前:シルバー・フォン・アルセーヌ

年齢:15歳

性別:女性

称号:公爵令嬢、次女甘えん坊

能力:パワー連射

状態:体力値3000/3000、魔力量3000/3000


育成可能能力


体力:B 1/100

魔力:B 1/100

俊敏:D 1/100

命中:C 1/100

知能:D 1/100

魅力:A 1/100


 まだまだ発展途上のステータスではあるが、全ての水準が高く。

 体力と魔力に関しては、ルビナに匹敵する。


名前:プラチナ・フォン・アルセーヌ

年齢:18歳

性別:女性

称号:公爵令嬢 クールビューティー

能力:冷静射撃

状態:体力値1000/1000、魔力量1000/1000


育成可能能力


体力:C 1/100

魔力:C 1/100

俊敏:C 1/100

命中:S 1/100

知能:C 1/100

魅力:A 1/100


 全ての平均値が高い命中精度を活かすメンタル面の安定感まで持っている。

 味方にした時は、冷静に敵を撃ち落としてくれるので、安定感のある《マギガンレディーとして活躍してくれる。


名前:ブラウル・アイギッシュ

年齢:16歳

性別:女性

称号:伯爵令嬢、良妻賢母

能力:味方支援

状態:体力値1000/1000、魔力量5000/5000


育成可能能力


体力:C 1/100

魔力:A 1/100

俊敏:D 1/100

命中:C 1/100

知能:C 1/100

魅力:S 1/100


 支援系マギガンレディーで、他の味方を強化することができる。

 魔力が続く限りは、支援を続けられるので彼女強化している間は、高ランクの《マギガンレディー》が、さらに上の存在へと昇華される。


「もちろんですわ。私は昔から三人のことを知っていますのよ」

「マリア嬢」

「ツッ……」


 ボクが残念な子をみるように見れば、言葉を詰まらせる。


「お前も学ばねぇな」

「そうですね。マリアさん。いい加減にしてください」

「わっ、わかっていますわよ!」


 今までは公爵令嬢として、一歩引いたところで見ていた二人もセバスチャンの手のひら返しを見てからマリアへの接し方を改めた。


 遠慮をして彼女を孤立させるぐらいなら、いじって話しかける方を選んでくれたのだ。二人とも優しい子達で嬉しいですね。


 まぁ、それを教えてくれたのは、孤児であった子供達で、子供は残酷であり素直なので、「マリアお姉ちゃん可哀想! お姉ちゃんたち仲良くしないとダメ!」と言ってくれたのも大きいですね。


 マリア嬢の方もいじられることに慣れていない様子ではありますが、次第に話しかけられることにも慣れて、話している間に気心が知れたようです。


 女性とは凄いですね。


 ちゃんと話し合えば理解し合えるのですから、美しいです。


 私とマリア嬢の好感度は変わっていませんが、他に頼るところがないマリア嬢は、最近何か言いたそうにチラチラと私を見るようになりました。


 今回の作戦も反対することなく、言うことを聞いてくれるので私から伝えたことは。「自分の知っている常識は捨ててください」でした。


 彼女たちの能力を知っていると言っても、それは初期の能力値なので、そこから成長を遂げている一年次とは違うのです。


「今回の戦いでは、マリア嬢が要です。相手の手札をわかった上で、相手が違うことをしてきた時にみんなに共有して欲しいのです。もちろん、手札については共有していますが、皆さん大丈夫ですね?」

「おうよ!」

「問題ありません」

「ええ」


 チーム戦になるとインカムが耳に付けられているので、言葉を伝えることができる。


 序盤は相手の手札を確認していく作業になる。

 もちろん先手必勝で仕掛けてくる場合も想定しておかなければならないが、セバスチャンと言う人物的に先手必勝はあり得ない。


「作戦を信じていいですよわよね?」

「もちろんだ。私が伝えた通りのフィールドと《マギガンレディー》たちだっただろ?」

「ええ、そこまでは確かに」

「そして、セバスチャンが使う作戦も間違ってはいないはずだ」

「わかりました」

「それでは始めようか! レディーゴー!」


 私が考えた作戦は、セバスチャンが絶対にやらない作戦でありこちらの強みを活かした作戦だ。


「先手必勝で! 敵を襲え!」


 《マギガンレディー》の中でもトップに君臨するマリアの俊敏によって、最も厄介な。ブラウルを狙い撃つ。


「なっ!」

「ちょっと!」

「キャー!」

「卑怯な!」


 セバスチャンチームの四人が各々の声を出す。

 不意をついたのは、ブラウルだけを倒すためだけじゃない。


「ウル!」

「あいよ!」


 遠距離から、マリアを攻撃しそうな二人を狙撃する。


「くっ!」

「ちょっと!」


 遠距離射撃は互いに命中率が高くても、牽制して壁を作って当てることが難しい。だが、不意打ちを喰らえば、ダメージを受ける可能性は高くなる。


 マリアの突撃から、意識を奪われた二人がウルによって狙撃を受ける。


「おっ、落ち着いて対処するんだ!」


 セバスチャンの能力である命令が発動するが、もう遅い。


「一斉射撃!」


 マリアとウルによって不意打ちを疲れてバランスを崩したところに、後から追いついたルビナが高出力のマギガンで一斉射撃によって三人を全滅に追い込む。


「舐めるな!!!」


 ここまで上手くいっていた作戦だったが、冷静なプラチナが叫んで、シルバーを庇うように障害物の後に隠れてダメージを最小限に抑える。


 さすがはメンタル面では他の《マギガンレディー》よりも冷静で状況判断が早い。


 ブラウルを捨てて、態勢を立て直すことを選んだのは素晴らしい。


 だけど……。


 ブラウルを倒したマリアが背後から迫る。



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