恥辱に塗れた報復の物語。


 ある壮絶な事件について尋問をうけることになった記者。
 彼は関与を否定しつつも、事件を企て実行へ移した「知り合いの男」についての背景を語り始める。

 知り合いの男・硝石取りのレアンが起こした事件。
 それは「宮殿を糞まみれにすること」だった……



 笑えるだろうか。
 だが、この物語に笑える要素などひとつもない。

「弱小庶民たちの蜂起」といえば盛り上がるのかもしれない。
 しかし、この物語には糞便――腐敗と悪臭が常に漂う。

 国の象徴となる場所が、国全体を表現するものだとするなら、レアンが引き起こしたことはまさに、見た目と実態をイコールにすることだったのだろう。
 それとも、虐げた者達に、虐げられてきた者達も「同じ生き物」であったことを、五感のすべてで味わってもらうためか。

 これは復讐でも反逆でもなく、綿密に、冷徹に考えられた報復の物語である。
 痛快とはあまりにかけ離れた、あまりにも虚しい報復。

 最後の一文には、同じ思いを抱くこと請け合いだろう。