恥辱に塗れた報復の物語。
- ★★★ Excellent!!!
ある壮絶な事件について尋問をうけることになった記者。
彼は関与を否定しつつも、事件を企て実行へ移した「知り合いの男」についての背景を語り始める。
知り合いの男・硝石取りのレアンが起こした事件。
それは「宮殿を糞まみれにすること」だった……
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笑えるだろうか。
だが、この物語に笑える要素などひとつもない。
「弱小庶民たちの蜂起」といえば盛り上がるのかもしれない。
しかし、この物語には糞便――腐敗と悪臭が常に漂う。
国の象徴となる場所が、国全体を表現するものだとするなら、レアンが引き起こしたことはまさに、見た目と実態をイコールにすることだったのだろう。
それとも、虐げた者達に、虐げられてきた者達も「同じ生き物」であったことを、五感のすべてで味わってもらうためか。
これは復讐でも反逆でもなく、綿密に、冷徹に考えられた報復の物語である。
痛快とはあまりにかけ離れた、あまりにも虚しい報復。
最後の一文には、同じ思いを抱くこと請け合いだろう。