第14話 カイン最期の試練
季節は秋――――――風と空気が気持ちいい季節です。紅葉が舞い降りてくるのも風物詩です。
そんな日に思わぬ来訪者が事務所を訪れました。
「部長!?」
「やあカイン君」
もさもさキューブで作った暖かい飲み物を口にしてから、部長は言いました。
「カイン君にはゼネストポリスからロストポリスに転勤してもらうわけだが」
「えっ転勤ですか」
「ああ、しかしロストポリスはここより何倍も大きな街だ。なのでダンジョンに試練をしてもらう」
ピッピが口を挟む。
「あっじゃあ僕もついていきますね」
「いや今回はカイン君1人でいってもらう」
「ええ…」
「そう言う事だから、早速準備を始めたまえ」
「…わかりました」
帽子をかぶり、もさもさキューブをひと口かじって決意の顔を見せた。
「ダンジョン入り口までいきます」
ピッピは心配そうだ。
「では行ってきます」
「うむ」
いつものダンジョンに辿り着いた。
「じゃあピッピ君、後を頼んだよ」
「はい」
カインはダンジョンにはいって行きました。
それ以来、カインは戻って来ませんでした。1年経っても2年経っても、3年経っても10年経っても戻って来ませんでした。10年目にダンジョンの入り口にピッピが行くと、タンポポが咲いていました。カインがダンジョンに入ってから10年目のタンポポに、ピッピは号泣してしまいました。
こうしてカインの静かな旅は、静かに幕を閉じたのです。
The end
冒険案内人カインの静かな旅 オーバエージ @ed777
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