第13話 妖精の仕業

ゼネストポリスにもまた春がやってきました。桜が咲き乱れ、観光者が一番多く訪れる季節です。そんな訳で、カインの所にも電信が後を絶たないのでした――――

「ピッピ君、行ってくるよ」

「ハイ、カインさん」

今日も入っている依頼を受けに、事務所を後にするカインの姿がありました。気候も何とも言えない感じで気持ち良く、歩いていても心地の良い日でした。


街の入り口で待っていると、フラフラした人のようなものがこちらの方へ向かってきました。緑の頭をしていて、下半身が特にフラついています。少し躊躇しましたが、色んな依頼者を見て来たので、特に違和感を感じる事は無く、

「こんにちは、冒険案内人のカインです。今日はどのようなご依頼でしょうか」

とお決まりの言葉で労うと、

「サクラノ サクバショ イキタイ」

と、たどたどしい言葉で返してきました。さすがに何か違和感を感じ始めましたが、依頼には何も不自然な事案などないので、

「中央広場にいきましょう、こちらです」

と、案内すると、依頼者もフラフラ付いてきます。


―――――――


「ここが一番桜が綺麗な場所ですよ」

中央広場に来た2人は、桜に散りばめられた場所に到着しました。すると依頼者が、

「クックック…」

と言って、した!!

「ワガナハ森憎もりぞう

「ワガナハ木殺きっころ

どうやら肩車をしていたようだ。

と、ふううぅぅ!!と口から風を吹いて桜を一気に吹き飛ばした!

「やめるんだ!」

さすがに危険を感じたカインが警告する。

「ヤメナイ コレ ヤリニキタノダカラ」

妖精は次々に桜を吹き飛ばしていく。カインは魔法の杖を取り出した。

「マホウ ヨウセイニ キカナイ」

はっ!とした。確かに妖精には魔法は効かないのだった。しかしチビのカインは焦らなかった。素早く妖精2体に近づき、蹴りを入れた!

「グワッ!」

妖精は後ろに倒れた。続けざまにチョップをお見舞いする。

苦しくなった妖精は、

「オボエテロ!!」

と悔し文句を言い街の外に出ていった。

そこへピッピが駆けつけた。

「カインさん大丈夫ですか!?」

カインは答えた。

「ああ。桜がちょっと減っちゃったけどね」

カイン達のいる場所にはひときわ桜が舞い降りていた。

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