第12話 冬のキツツキ騒動

雪の降る夜、丑三つ時…月が朧げに怪しく輝く今夜…

何かが起こる気がしませんか?


――――――――――――何も起こりません。それがゼネストポリスなのです。


しかし月が真っ赤に染まっていると、いつも何かが起こるのです。これも悲しきかなゼネストポリスなのです。

カインがグースカ寝ていると、突然凄い音が外から聞こえてきました。音速で木を突っつくような音です。

「これは何だね!?」

カインはたまらず寝室から窓の見える事務所の方へ移動しました。ちょうどそこにはピッピもいて、

「さぁ何でしょう」

と呟きました。


「いくら何でも、人が一番良い夢を見ている時に、その睡眠を邪魔するのは邪道だとは思わんかね」

「一番かどうかは別としてそうですね」

「手がかりはないのかなピッピ君」

「あ、そういえば」

ピッピは資料室にむかってしばらく帰って来なかった。その間も工事現場のような音が流れている。

やがてピッピは帰ってきて資料を1枚持ってきた。

「多分これじゃないかと」

「キツツキ」

「木に穴を空ける鳥です」

「だがいくらなんでも、その…あそこまですごい感じで木を突く鳥なんているのかなあ」

「わかりません、新種かもしれません」

「とりあえず現場に行こう、話はそれからだ」

いつもの制服に着替えた2人は、2人で事務所のドアを開けて芋虫が捻り出るように外に出た。

犯人の正体はすぐに見つかった。中央広場の中央にある大きな丸い案内板の所でガシガシやっている。カインは思わず耳を塞ぐ。カインの他にも起きて来た野次馬がいて、何とかしようとしていた。パン屋の親父は丸くした紐で、鳥を捕まえようとしたが、鳥は一旦飛び去って同じ場所に戻り、キツツキを繰り返すありさまだった。

「このたまらない音と、上を見上げると降りかかる雪が我慢ならない」

最終手段を使う事にした。カインとピッピは魔法の杖を取り出し、詠唱をしてからキツツキに魔法をぶつけた。魔法をくらったキツツキは半分凍り、半分燃え盛りながら地面にドサッと落ちた。これでやっと安息の日が訪れる。カインは鳥の横っ腹に蹴りをいれたが、

「だめですよ。素直に帰りましょう」


こうして静かな夜が再び訪れたのでした。


しかし月は赤いままだったのです――――――――――――――――――――

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