8月29日 午後19時00分

今日は楓菜といれる最後の日

だから最後に夏祭りに行こうって誘った。

ところまでは良かったのはいいのだけど…

『遅い!遅い遅い!!紡遅い!!走って!!』

「ちょっ、おまっ、ふうなはやいっ、」

さっきからはしゃぎすぎて制御不能になってる

『ほらー!走って!紡!ご老人さん!!!』

「走んなって、!転んだらどうするんだ、!」

『だいじょぶだいじょぶ!転ばなっ』

……ほら言わんこっちゃない

「……ほらみろ」

『いててっ、うぅ、』

体を起こさせるのを手伝ってるか、

「ほら、手貸すから。」

『いけめんだぁっ!!!ありがとー!!!!』

「そーいうのいい、って、あ、そうだこれ。」

『メモ帳?なぁに?これ』

「ちょっ、開かないで、!ちゃんと持ってるんだよ?それに書いてあるから、!」

『んー、?あ、そゆこと、?』

「そう。ちゃんと、帰れるように」

『ふーん…』

「楓菜、その」

『つむぐっ!』

「なっ、なに、?」

『りんご飴持ってるお姉さんいた!りんご飴!食べたい!!早く行こ!!』

「なっ、おまっ、お前は獰猛な肉食獣かなんかなのかよ、!」

『早く行くのー!ほら!ぐずぐずしないで!』

「わかったわかった、わかったから、!」


[11時くらいにあそこ集合な]

[肝試しやるから、逃げるなよーw]


『肝試しだって!紡!』

「…ん、あー、よくやるよな、ほんと。」

『紡ビビりさんだもんね!』

「うっさいな、置いてくぞー」

『ちょっ、ひどいっ、まってよぉー、!!』


りんご飴を買ったり綿菓子を買ったりくじ引きをしたり、楽しい時間は一瞬で過ぎていった


午後21時30分


『いっぱい食べれてしあわせ〜!』

「やれやれ、ほんと、よく食べるね、」

『ふふん!せーちよーきだからね!』

「よく言うよ、まったく…」

『あっ!そろそろ花火だって!!』

「まじ」


瞬間、大きな音を立てて空に赤い華が咲く

青、緑、紫、夜空に大きく、自分らしく咲き乱れる華がとても、美しい

一瞬にして咲いて消えて行く、儚い華

『次で最後かな?』

「はやいな」

『うん、』



ドーーーーーーーーーーーーンッ

大きく打ち上がり、どの華よりも大きく、自分らしく黄金の華が咲く。

『ここまで来たら爆弾みたいだね』

「それ、僕が読んでた小説の…」

『えへへっ』

全部の華が散り、星と月が空にかかる

『綺麗だったねぇ、』

「ほんとにな」

『……ねぇ、紡、』

「どしたの?」

『やっぱり、帰んなきゃなの、?』

「えっ」

『今日で、終わりなの、?ばいばいなの、?』お願いだからそんな顔しないでくれ。

『まだ、2日あるんだよ、?』

知ってる、知ってるよ。

『最後までいっしょにいちゃだめなの、?』

それは、出来ないんだよ

『いやだよぉ、っ、帰りたくないっ、』

…釣られて視界が滲む

『やだぁっ、やだよぉっ、いやだ、』

「楓菜、でも、帰んなきゃ」

『いやだよぉっ、なんで、っ、うっ、』

「ごめん、」

『なんでっ、死んじゃったんだよぉ、』

「それは、」

『なんでっ、わるいこと、したのっ、?』

「してない」

『いやだ、まだ一緒にいたいよ、離れたくない、1人になりたくないよぉっ、!』

「ふうな、」

『おねがい、だよぉ、』

「……だめ、」

『うっ、ぅ、』

「楓菜?」

『紡っ、つむっ、つむぐなんて、!つむぐなわてだいきらいっ、!!!!』

「…」

『きらい、だいきらいだぁっ、うぅっ、!』

……

『ばかぁっ、ばがばかっ、ばかぁっ、いじわるばっかり、ひどいよぉっ、!』

……酷いかな。僕

『うぅ、っ、うっ、うぅぅ、、、』

「楓菜、」

『やだぁっ、!こないでよぉっ、、!!!』

「……ごめん」

なんで、泣きそうになってるんだよ、僕

『うぅ、あっち、あっちいけぇっ、うっ、』

「……わかった」

「ごめん、ね。またね、楓菜」




こうやって別れるつもりじゃなかったのにな

ごめん、ごめん。楓菜。でも君の為なんだよ。

僕は君のことが大好きでした。


いや、大好きだ。




今から悪いことしたやつを捌くから

終わったら君のとこにいくから

またね、楓菜。



夏の終わりと君の声 ノーマルエンド

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夏の終わりと君の声 雨音 @amaoto_tumugu

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