祈る。

月猫

書きかけの地図

私は今、どこにいるのだろう?


生まれた時は此処だった。

明るく愛に溢れた街。


それから暫くすると

騒音の多い工業地帯みたいな所にいて

守ってくれる大人がいなくて

いつも怯えていた気がする。


それから大人になって

大好きな人と

貧しくて辛かった町から飛び出した。


初めての新しい街は

幸せで楽しかった。


そして今

生きることに疲れた街に

行こうとしていた。


くたびれていて

うっかり道をあやまる所だった。



『私の人生』という

書きかけの地図。


私がこの世を去るときに

この地図は完成する。


これから歩む道が

明るく光に満ちた街でありますように

そう祈りながら地図を描く。


私だけの地図を……



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

祈る。 月猫 @tukitohositoneko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ