再会
勝利だギューちゃん
第1話
「暑いな」
そう、思い坂を上っていく。
彼女はこの坂の上で待っている。
ここにしたことを、かなり後悔している。
「やっと、着いた。えーと、彼女はどこだ?」
辺りを見回す。
他にも待ち合わせをしている人たちが、すでに会話を始めている。
『こっちだよ』
向こうで彼女が手を振っている。
「今行く」
彼女が笑顔で微笑む。
『久しぶりだね』
「ああ」
『不満そうだね』
そりゃあな・・・
「なんで、こんな真夏の日を指定したんだ」
『それは、わたしのせいじゃない』
そりゃそうだ。
『君は、今何しているの?』
「知ってるんだろう?」
『ううん。最近私も忙しくて』
「何がだ?」
『新人さんの世話。最近多くてね』
「これから、もっと増えるぞ」
今の日本なら、意図しなくても彼女のいる世界にいける。
『君はまだ、きちゃだめだよ』
「そのつもりはないよ」
『よろしい』
彼女はいたずらっぽく笑う。
昔のままだ。
『あっ、持ってきてくれた?』
「何を?」
『牛』
僕はかばんから、なすびを差し出した。
割りばしを足代わりにしている。
これが、彼女の乗る牛だ。
これに乗り、彼女はあの世へと帰る。
『今日は、会えて嬉しかったよ』
「こちらこそ」
『今、会いに来てくれるのは君だけだからね』
彼女の霊は牛にまたがる。
『本当にまだ、来ちゃだめだからね』
「もし行ったら?」
『君の事、嫌いになる』
「それは困る」
ツクツクホウシが鳴いている。
秋は近いかもしれないな。
再会 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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