第3話 煙も天から落ちる
――――。
『ふむ、ここが地上ですか。
思っていたよりも色とりどりで…いえ、それは私のバイアスなのでしょうか?
データ越しに見るよりも色彩が豊かに見えますね』
―――。
『…おや?どうしました?
先程から反応がありませんが肉体に損傷は無いはずですよ。
アナタの身体は煙、いくら固まり身体と質量を持ったとしても……おや?形が崩れて…
再び空へと向かうのですか?
……む、これは……気絶していますね。
どうやら気絶したせいで身体の保持が……』
―――うおぁっ!?
『む、起きましたか』
ちょ、ま…何があった?
つうかここはなんだ?森?
俺、確か形を…感覚を掴んで……
『分析するに、己の形を掴んだ結果凝固したのでしょう。
今は形が半端に崩れゆっくりと上昇していますが…このまま戻りますか?』
待て待て待て情報量が多いしまた大空漂うのは嫌だぞ!?
ええと確か…!……んん!
『凝固を確認、質量増加、地面に着地します』
ふう………つうか、一体何がどうなってんだ?
俺、魔法を無意識の内に使ったのか?
『魔法…といえば魔法なのでしょうが少し定義しづらいですね。
ふむ、言うなれば…分散していたアナタの煙と魔力が一箇所に集められ、質量を獲得したようですね。
感覚を掴んだ時無意識の内に自身の中心点に集中したのが原因と見られます』
ええと…よくわかんねえけど…
煙が集まったくらいでそうなんのか?
精々ちょっと辺りを白くするぐらいだと思うんだけど。
『煙だけでは不可能でしょう。
しかしアナタの身体を構成し、そしてアナタが集中し一箇所に集めた物は煙だけではありません』
……つまり、魔力が原因?
空気中にあるくせにそんなに重いのか魔力って。
『魔力が重い…というより。
魔力はその扱いによって在り方が変わるエネルギーであるとされています。
アナタの煙と結合しその質量を増幅させ、そして繋ぎ止めたと推測します。
いえ、元より魔力生命体ですから繋ぎ止めてはいたのでしょうがそれが一箇所に集まったことにより反応が活性化したのでしょう。
現に今のアナタは――見せたほうが早いですね、データを送ります』
そんな事を言われた瞬間、脳裏にイメージ…いや、画像が焼き付く。
……灰色で泡立つ…いや、煙を上げている…?
そんな、固形なのか気体なのか液体なのかよくわからない灰色の、ナニカ。
一番近い物を挙げるとするなら湯気を出している泡…だろうか?
『泡でもあり煙でもある、あるいはその中間のような性質を持っているようですね。
泡と違い液体のような性質は保持していないようですが…アナタが触れた場所を見ていただければ理解できるかと』
原理がよくわからない自分の視界で足元を見ると自分が触れたであろう箇所に煙がこびり付いては少しすると宙へと浮かぶ。
けどその煙は掻き消えることなく漂い、あるいは渦巻き、一部は俺の元へと戻る。
……マジで理解できない生物になってんな、俺。
『魔力生命体としても多少ズレた存在であると分析、その感想は正しいです』
……これさ、ランダムで決めたせいでこんな感じになった感じ?
『……恐らくは』
そっかー…まあなっちまったものはしょうがねえよ。
で、どうすんのコレから。
『そうですね…地上は空と違い物質で溢れ、そして当然ながら物質には多量の魔力が含まれています。
まずはそれらの物質から魔力を吸い取ってはどうでしょうか』
了解、ついでに形変える練習もやっておくかね。
んじゃあまずはこの草でも……
………。
…………?
あれ、取り込めねえんだけど。
ええと…んん?雲は取り込めたんだけど…
『……どうやら』
ん?
『雲は同じ気体だったため相性が良く、取り込めたようですが…地上の個体に干渉するのは、今は…』
…………。
『…………。』
……これさ。
『はい』
………俺、しばらくは空で雲食い続ける生活しなきゃいけない感じ?
『……そのようですね』
クソが!!!!!
始祖の俺はファンタジーを生きる @yakisyake0214
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