ネット世界と現実世界

影束ライト

本編

 俺は高校に入って、スマホを買ってもらった。

 初めはゲームをしたり動画を見たりしていた。

 そしてスマホの扱いに慣れ、SNSに手を出すようになった。

 それも最初は見るだけ、けれど次第に自分から発信していくようになった。と言っても日常のちょっとしたことを呟く程度だ。


 そして約一年。現在ではそんな呟きに反応してくれたり、悩みを聞いてくれる人、ネットの友達、ネッ友が出来た。


「はぁ~、疲れた」


 学校から帰り、ベットにダイブする。


「学校とか友人関係とかもう現実ダルイな」


 ベットに座り、スマホを取り出す。

 そしてアプリを開き、『学校疲れた』と打つ。

 そして数分後、通知が届く。

 内容はさっきの『お疲れ様』さっきの呟きに対する物だ。他にも似たような言葉がいくつか届いている。


「『ありがとう』と。ほんと、現実よりネットの方が良い奴が多いよな」


 しばらくSNSを眺め、中の良い奴の呟きに反応をする。何度かやり取りをしてアプリを閉じ、ベットに寝転がる。


「こんな小さな機械一つで世界中と繋がれるんだよな。なんか変な気分だな」


 現実では言えないことも、顔も名前も知らないそんな相手だからこそ言いやすい。


 たぶん俺みたいな人間は多い。ネットのせいで辛い眼に会う人もいるだろうが、救われている人もいる。

 ネットおかげで出会えなかったかもしれない人たちと出会えることが出来た。


 現実は最悪だけど、こんな小さな機械一つのおかげでネットという空間に逃げることが出来る。


 本当にありがたいな。

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