スマホがなくたって

紫吹 橙

スマホがなくたって

 私は今日、告白をする。

 そう決心して昨日スマホでメッセージを送った。

 来てくれると良いな。

 っと、呼び出したんだから私も行かなきゃ!

 学校だと誰かに見られてしまうかもしれないから、近くにある公園にした。


 放課後になって少ししたら学校を出て、向かう。

 待たせてないといいけど…


 私は走った。

 待たせてたらいけないなと思い、スマホを取り出して、メッセージを送ろうとした。

 それが悪かったのかもしれない。


 スマホを落としてしまった。

 そして、道路に落ちてしまって車に壊された。


 信号が青のうちに、スマホを拾いにいった。

 画面はバキバキで、とても使えそうになかった。


 どうしよう、このままだと遅いと思って帰っちゃうかな…

 いや、急げば大丈夫だよね!


 私は走る。

 彼に自分の想いを伝えるために。


 そして着いた。

 彼の姿が見える。

 帰ろうとしてしまっている。


「ま、待って!すばるくん‼︎」


 私は叫ぶ

 彼は振り返ってくれた。


純香すみかさん?」

「ごめんね、遅れて…連絡しようと思ったんだけど」


 私は画面がバキバキになったスマホを取り出す。


「ふっ、なにがあったの?」

「いやー落としちゃって…」

「純香さんって面白いよね」


 彼にそう言われて私の鼓動は早くなる。

 やっぱり私は…


「それで、純香さん。用事ってなんなの?」


 彼に目を見て言われた。

 言わなきゃ、私はそのために呼び出したんだから。

 スマホがなくても伝えようと、全力で走ったんだから。


「昴くん、好きです。私と付き合ってください」


 私は、彼の目を見てしっかり言った。


「純香さん…ごめんなさい。僕、今は考えられなくて…」

「あ…そうだよね。私も急にそんなこと言ってごめんね?もう帰って良いよ」

「え、でも…」

「良いから、行って!」


 私が強めにそう言うと彼は去って行った。


 あーあ、やっぱりだめだったか。

 そうだとは思ってたけど。

 でも、苦しいなぁ。


 けど、伝えられただけで良いんだ。

 臆病な私が、目を見て伝えられただけで。

 メッセージじゃなくて、しっかりと姿を見て言えたから。


 今では、スマホのメッセージで伝える人もいるみたいだけど、それだと気持ちが伝わりきらないだろう。


 だから、私のように勇気を出してみて。

 そうすれば、もしかしたら良い答えがもらえるかもしれないから。


 スマホに頼らないで、自分の力で頑張ってみてね。

 私は応援してるよーー

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