第59話 上野毛ダンジョン(7)
「はい、亀の巣穴です。ここにはギガタートルがいます。硬い上に、一定のダメージを与えると頭と手足を甲羅に一度引っ込めるので、その間に一方的に攻撃できます」
”ほうほう”
”いや、そんな楽勝な相手か?”
”ひでおだからw”
”ひでおじゃなきゃ与えられない一定ダメージw”
「ギガタートルはこちらが近づくまでは巣穴にこもってます。なので、一匹釣り出してみます」
”散歩感覚で近づくなw”
”ほんとに普段通りだなwww”
”でけけw”
”モンスターっていうか山ww”
”想像以上にデカかったw”
”全力で逃げるレベル”
「では、タイマースタートします。まず、普通の一刀流で」
一本の剣で腕を回転させ、斬り下ろし続ける。
”……”
”……”
”……”
コメント欄が静かになった。
みんなちゃんと見てくれてるみたいだ。
「はい。62秒です。残念ながら、1分は切れませんでした」
”……”
”……”
”……”
「えーと、大丈夫ですか?」
ピタッと止まってしまったコメント欄を見て不安になる。
”意味不明w”
”見えねええww”
”ちょっと意味わかんなすぎるwww”
”なにが起こったの?”
急にコメント欄が流れ出して、ほっと安心する。
よし、続けていこう。
「次は四刀流です。今度は1分切れると思います」
今度は四刀流だ。
”……”
”……”
”……”
「はい、55秒です。7秒縮まりました」
”確かに速くなってるけど”
”誤差だろ”
”深層モンスター相手に1分切るかどうかを気にしてるw”
”ひでおはやっぱり異次元www”
「えーと、誤差って言われてますが、もっと強いモンスター相手だと、7秒って段違いです。ドラゴン相手だと、7秒遅れたら死ぬって場面が結構あります」
”俺たちにとってはマラソンの7秒だけど、ひでおには100m走の7秒って感じか”
「ああ、そうですね。良いたとえです」
”俺、探索者だけど、言いたいことは凄いわかる”
”俺もそう思う。だけど、そのために四刀流をマスターしようとは思わないけどなw”
”こうやって極限まで効率を追求した結果、今のひでおがあるってことか”
「さて、四刀流のメリットを説明します。さっきのは速くて分かりづらかったと思うので、ゆっくり実演してみます」
”おお、説明してくれ”
”見てただけじゃ、まったく違いが分からなかった”
”さて、ひでおが俺たちが分かる説明をできるか?”
「一刀流でも四刀流でも、攻撃はどちらも上からの斬り下ろしです」
ゆっくりと死骨剣を上から下へ振ってみせる。
”うん”
”それは知ってる”
”そこからが意味不明w”
「唯一の違いは斬り下ろした後のモーションです」
”うん?”
”??”
”???”
「一刀流の場合は真下から真上まで剣を持ち上げなければなりません」
”知ってる”
”当然”
”それくらいは分かる”
”なんか、常識的すぎて、不安になる”
「それに対して四刀流の場合は、真下から手首を捻って剣を上に放り投げます」
分かりやすいように、ゆっくりとやってみせる。
”斬り下ろしから動きが繋がってるのか”
”スナップ綺麗だなあ”
”サラッとやってるけど、ムチャクチャ難易度高いぞ”
”俺、剣士だけど、絶対出来ないwww”
「なので、腕を上まで持ち上げるのが若干速くなります。これがひとつ目のメリットです」
落ちてきた死骨剣をキャッチしてみせる。
”言ってることは間違ってない”
”意外と論理的だ”
”言いたいことは分かるけど、そんなに違いある?”
”これを出来るようになる練習する暇があったら、他に練習することがありすぎるwww”
「そして、もうひとつのメリットですが――」
”なんだろ?”
”想像もつかない”
”どうせ、ひでおにしか出来ないメリット”
「四刀流の場合は、回転しながら落ちてきた剣を掴んで斬り下ろすため、落下による運動エネルギーと回転エネルギーによって威力が増すんです」
”極めて正論”
”ひでおがまともなこと言ってるw”
”机上の空論だけどなw”
”完全に、真似できないレベルwww”
「お分かりいただけたでしょうか?」
”珍しく説明が理解できた”
”ただしひでおに限る”
「短かったですが、今日はこれで配信を終わりにしたいと思います。次回は初心者講座を配信します」
”おつかれー”
”今日も楽しかった”
”初心者講座、楽しみにしてるー”
「皆様、おつき合いありがとうございました。お楽しみいただけましたら、高評価、チャンネル登録お願いします」
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『』
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変身ダンジョンヒーロー! 正体不明の特撮ヒーローとして活躍するはずが、配信切り忘れで有名女配信者を助けてしまい、初回から身バレしてしまう。ちなみに中の人は地味な底辺配信者です。 まさキチ @maskichi13
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