屋根裏の神様

るるる

屋根裏の神様

うちには屋根裏がある。と言っても、きちんと作られた屋根に窓があるような立派な屋根裏ではない。普通に押入れの上の天袋から入り、その上の板を外して頭を入れると、屋根の裏が見えるのだ。つまりは屋根裏である。


日が脇から差し込む、昼間には美しい木の細い柱が組まれたそこは、なんとなく異次元空間的な感じがして楽しい。


といっても普通に単なる屋根裏である。


それが、その奥にある小さな祠のようなモノが祀ってあって、小さな白木の鳥居の向こうにはしっかりと扉の閉められた祠の本殿がある。ネズミが通うような小さな鳥居だが、毎朝そこの掃除をして、鳥居の中の祠の扉の前に水をお供えしている。


だからだろうか。


我が家は幸運な事が多い。


不運が無いのは当たり前で、ちょっとしたご縁で素晴らしい人と出会えたり、何気なく就職した会社が想像以上に素晴らしい会社であったりする。


小さな会社を興して事業をするつもりだったのが、ふとしたことで、あっという間に売り上げがバク上がりして、気が付いたら売上だけ見れば大企業、というような事になっていたりする。


まあ、と言っても、やっぱり天袋から板を上げて屋根裏に入って、お水をおそなえいして、周囲を掃き清めて、天気の良い日に差し込む日差しと舞い上がるきらきらした埃に目を細めて、ほっとする、という日常は変わらないのだが。


ここの神様は小さい祠で、我が家をしっかり見守ってくださっている。ありがたい。本当にありがたい事である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

屋根裏の神様 るるる @rururu20171015

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ