この恋を貫くためなら、王国や精霊さえも騙し抜いてみせる!

幼馴染で恋人同士のアリシアとフレドリック。親公認の中でこのまま二人は幸せの絶頂のまま結ばれるのだと誰もが信じてやまなかった。――成人の儀で、大精霊の加護を授かるまでは。
アリシアは光の大精霊ウィンク、フレドリックは闇の大精霊シャイに魅入られた。だがこの大精霊たち、とにかく仲が悪い。光と闇という性質上どうしようもないのだが、お互いの嫌悪をアリシアとフレドリックにも振りかざそうとするのだ。二人が一緒にいると暗雲が立ち込め記録的な大雨が降り雷鳴が轟く。それこそ王国が災禍に包まれそうになる一大事だ。精霊たちの恩恵で栄えてきたマジェスペリー王国は、精霊の意に背くことはできない。愛し合っていたアリシアとフレドリックは引き裂かれ、二度と触れ合うことはできない――はずだったのだが、ここでフレドリックが思わぬ提案をして……。


作者様はペアの関係性を書き込むのがお上手な方だなと前から思っていたのですが、それがカップルにまで適用されるとなると……無敵です。光と闇という正反対の二人がいがみ合うのではなく愛し合う、しかも運命に抗って。エモの塊ですか、最高です。
舞台が魔法学園であること、そして大精霊たちのキュートな描写でクスッと笑いながら読み進めることができます。大仰な精霊にかしずくというよりは、妹と弟の癇癪に「やれやれ」って感じで付き合ってあげるというか……(読めばわかる)。
そしてぜひ、当て馬の良い仕事っぷりにもご注目ください。彼はとても優秀な当て馬でした……!

純愛とコミカルが詰まった少女漫画のような一作です。ぜひご一読あれ!