ホーンテッド・オンボロアパート

あとがき

　前作のリレー「雲を作る工場」では、ちらっとアヒルのマークがトレードマークのコーヒーチェーン店を出しました。

　薮坂さまの「スターダックスコーヒー　皆戸駅西口店」の世界観と、繋がっていたら良いなと感じたからです。

　まさか今回の「ホーンテッド・オンボロアパート」がのっけから薮坂ワールド全開になるとは予想すらできませんでした。忙しない厨房の雰囲気、自称普通の主人公、癖の強いサブキャラ！　何よりユウの設定が、薮坂さまの好きを詰め込んだヒロインというね。惚れない奴いないでしょう、あんな可愛い子に。

　二年ぶりの偶数回に心踊らされていた羽間でしたが、すぐに頭を抱えることになります。

　毎度薮坂さまとのリレーはチェックポイントに沿って進めていたのですが、今回は難題でした。

「当初は幽霊のユウにビビり散らかす晴明って、すでに一話目から破綻してないですか？」

　幽霊らしからぬ幽霊というギャップ萌えの裏で、このリレーは大きな問題を抱えていたのでした。それも人知れず。

　すでに破られているチェックポイントを守る義理はないのかもしれませんが、私はできるだけ保とうとしました。共通の軸があるのなら、大事にするべきですから。

　だからこそ「いろんなイベント入れましょう、記憶探しにかこつけて夏らしいイベントとかディスティニーリゾートデートとか」と言っていた人が、あんまり夏らしいイベントを書いてないのは解せません。仕事の忙しさがそうさせたのなら、許すまじですよ！　「テーマパークで復讐を。」以来の青春ものを期待させておいて！

　何が何でも薮坂さまにディスティニーリゾートを書かせるという謎の意識を燃やしながら、楽しく書かせていただきました。

　年々多忙を極める薮坂さまには申し訳ないですが、今年の夏も楽しい思い出ができました。自作では出さないようなキャラを動かすのは、かなり楽しかったです。寒い日が続きますが、どうかご自愛くださいませ。

　各話のタイトルもリレーできた気がして、羽間の満足度は高いです。皆様はお気づきでしょうか。

　笑ってちょっと泣けるハートフルラブコメディ(予定)、楽しんでいただけたら本望です。たとえ魔法が信じきれなくなっても、言葉の力を信じていてくださいますように。

　また夏にお目にかかれることを祈っております。