第3話


 僕は家に帰ると頭がズキズキと傷んでいた。

痛み止めの薬を飲んでベッドに横になっていた。

そして今日みたいに人にバレないようにしないと、と思っていた。

僕は聖人なんかじゃない、普通の人間になりたいと考えていた。


 その時、僕のスマートフォンに祖母からの電話がかかってきた。

近所の老人が病気で苦しんでいるとの事だった。

僕は、すぐに指定された病院へと向かっていた。

祖母も病院へと駆けつけていた。

僕は、その、お婆さんのお腹の辺りに手を、かざしていた。

お婆さんの顔色が良くなっていく。

僕は祖母に「もう大丈夫みたいだよ」と言っていた。

祖母は「ありがとう、和人」とお礼を言っていた。

僕の能力は家族と親戚だけが知っている。

僕は、その後、身体中が痛くなって、よろめいていた。


 僕はその足で菜々のスマートフォンに電話をしていた。

菜々は急いで駆けつけて来てくれていた。

菜々は「和くん大丈夫?」と心配そうにしていた。

僕は菜々を抱きしめて身体中の力が抜けて行くのを感じていた。

僕は「菜々、僕はこれで最期かもしれない、愛しているよ」と言って地面に倒れていた。

僕は最後の力を使い果たしていたのだ。

でも、それでもいい人助けが出来るのなら…


 菜々は「和くん、和くん、死なないで~!!」と泣き叫んでいた。

僕の呼吸は停止していた…。


 菜々は(私は知っている和くんに不思議な能力がある事を、だって毎回誰かのケガを、その手で治していたのを私は見ていたから、だから余計に和くんを、もっともっと好きになっていた、ねぇ和くん、あなたは救世主だよ!)


 和くんは幸せそうな顔をして、まるで眠っているかの様に亡くなっていた。


       完

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救世主 浜田まひる @mahiru8

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