095

「駄目っ!」

気付けばアオネは青年をかばうように前に飛び出していた。直後、胸に衝撃がある。痛い、と感じるより先に真っ赤な血液が噴き出し、宙を舞うのがスローモーションのように見える。遠くで誰かの悲鳴が聞こえる。

「逃げ、て……」

声がかすれているのがわかる。喉の奥から鉄の味がこみあげる。ひび割れたコンクリートが近づいてくる。

アオネの意識はそこで途切れた。


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ゲームブック 「夏」 岡倉桜紅 @okakura_miku

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