094

神社から離れ、15分ほど田舎道を歩くと、墓地に着いた。神社や家のある山の隣の山に位置していて、町を見下ろす方と反対側は崖になっていて、海が見えた。黄色のハマカンゾウが咲いている。海風の匂いがしていた。

今年は祖父が死んで十年になる。祖父の墓参りは最初からするつもりだったが、今日は気まぐれの散歩の延長で来てしまったので、供える花も、線香も、水をかける柄杓も持ってきていなかった。しかし、ここまで来て参らないのもまた気持ちが悪いので、墓石の間を歩いて祖父の名を探す。

やがて祖父の墓は見つかった。アオネは目を閉じて冥福を祈った。波の音と、ウミネコの鳴く声だけが聞こえていた。

目を開ける。夏の明るさに少し目がくらみそうになる。

辺りを見渡すと、少し離れたところに白い白衣のようなものを羽織った男性がいるのが見えた。海風にあおられて服の白がひらめいている。


①男性に声をかける 061へ

②海を見に行く 065へ

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