【あとがき】5年習ったギター講師が実は◯◯だった話

「お箸が転がって床に落ちた」

という事実があって、それを、うんざりした。気分が下がった。と捉えるのか、

はたまた、コロコロ転がって面白かった。と捉えるのかで、同じ事実でも違う方向に物語は進む。

そんな感情の書き換えができるのが、小説の良いところだと思います。


この物語は実話ですが、感情の書き換えがあったという点で、フィクションです。

ラストの伊坂とのLINEのやり取りは、実際はもっと感情的で、私相手にそんな冷たい言葉を言い放つんだなぁと、ショックの方が大きかったと思います。もしかしたら来てくれて、仲良くなりたかったなぁとも思っていました。


でも、これを駆け引きの応酬にしたら面白いなぁと思い、その方向で書き始めたら、ラストは想像以上に伊坂とあっさり縁が切れ、次に向かって進んでいきました。


2万文字を少し超えた程度の小説ですが、ここまで一つの物語を書き切ったのは初めてのことでした。

拙い文章ですが書いてみると、今まで読むだけだった小説が、「この言葉遣い良いな」とか、「この区切りは上手いなぁ」と、違う見方ができるようになって、小説の楽しみ方が広がったように思います。


文庫本は約10万文字から14万文字らしいので、もしこの物語を文庫化するなら、5倍から7倍に脚色することになります。

そう考えると、掬いきれなかったエピソードはまだまだあるので、意外といけるかもと、執筆欲が増してます。書くかは分かりませんが。


レッスンキャンセルの理由が5年習ってきてやっと分かったわけですが、ギターの仕事だったら許せて、○○の同伴だと許せないのは何故だろう、と自分に問うても、答えはなかなか出ません。

曖昧な気持ちを曖昧なままぶつけたので、なぜここまでやってきて急に怒るのか、と疑問に思う人もいると思いますが、それを書くにはもっともっと文字数が必要になると思います。


でも、極限まで語彙力を削ぎ落として表現するなら、たぶん「やきもち」です。笑


伊坂は実在します。

文中では省略してますが、ちゃんと来た時のレッスン内容は、私の我儘を結構聞いてくれましたし、個人練のスタジオ代を払ってくれましたし、⑨話の飲み代も全額払ってくれましたし。

普通に良いところもたくさんあったと思うのですが、知らず知らずのうちに、○○の同伴とレッスンを天秤にかけられてたのが許せなかったですね。知らない方がマシでした。距離感を間違えました。


レッスンキャンセルの件も、急に不機嫌をぶつけられた件も、全部受け止めればよかったのかなぁと考えないこともないですけど、こうして小説として暴露してる段階で、頭の中は割とクリアに片付いて、コンテンツの一つとして消費してます。


「私から見た伊坂」を読んでくれた方が、伊坂をどんな人物だと想像したのか、それを聞いてみたいです。

なかなかすげぇ奴だなと思います。

最高に面白い奴でした。

そして、貢いでるだけの私可愛いなと、読み返してて思いました。

意地でも悲しいエピソードにしたくなかったので、こうしてあとがきを書いてます。全力で笑ってやります。伊坂も。私も。


伊坂は今後、○○を極めるのか、気持ちを切り替えてギターの仕事に専念するのか、今まで通り適当にギターの仕事をし、○○で食い繋ぐのか。


年齢も年齢なので、どうなるのかなぁとこっそり見守りたいと思います。

幸せに生きてくれればそれでいいです。


一応、5年経った2022年9月6日の、まだ何も知らなかった時に書いたnoteを最後に置いておきます。


この物語は一人称視点なので、私1人の考えや思いを書いてますが、これにもし伊坂視点を加えたらどうなるだろうと今は考えています。

そのためにはもっと想像力を上げなければいけないし、伊坂本人にも話を聞いて、実際はどうだったのかを調べないといけません。

しかし、縁が切れたのでそれができないのが、心残りです。

(ちなみに伊坂は仮名です)


だから、小説家はすごいなと思います。

人の人生に突っ込んで行って、文章の上で成り切る。演じ切る。情報収集を徹底的にして、人の感情をもコピーする。

架空の人物も作り上げてしまう。


文中では「ギターはもうやらない」と書きましたが、

それがフィクションになるように、今はきっかけを探してます。


先生には生徒が何人もいると思いますが、生徒にとっては、先生はだいたい1人です。

私にとって伊坂は、たった1人のギターの先生でした。

ギターは好きですが、レッスンをモチベーションにして5年間やってきたところがあったので、それがなくなった今、すごく大きな失恋をしたようにぽっかり穴が開きました。


しばらくはやらない、というより、やりたくないです。

その代わりに、小説を書いてます。

5年間は、小説を書くための5年間だったと思うようにしてます。


事実をどう捉えて、どう進めるか。

それは人生そのもので、起こった出来事をポジティブに捉えて、前に進んでいけたらいいなと思います。


というか、進みましょう。進め!!


ありがとうございました!


https://note.com/fair_zebra415/n/n5d5f7993a572

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

5年習ったギター講師が実は◯◯だった話 堀江圭子 @HorieKeiko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ