20240619
河合さんとローランドさんは、あなたの会社の同僚さんでしたね。 その日は、お二人も偶然お会いしてカフェでお茶していたそうで、皆さんが『こんなに偶然が重なるなんてねぇ〜』『OMG〜』と驚いていたのが印象的でした。
また、ヤマハ・カワイ・ローランド……という有名楽器メーカーと同じ苗字にもかかわらず、楽器や演奏会とは全く縁のない『印刷会社』の社員さんたちだというのもツボってしまいました。
お二人とも、私をあなたの彼女と勘違いして「なんてステキな彼女さん」って褒めて下さって……それを、あなたは両手と首をブンブン振り回して「違う違う! そーじゃない!」って、何かの歌詞みたいな否定をしていましたね(笑)
その後、近くの居酒屋さんに移動し、なぜか私もお呼ばれして、4人で乾杯って流れになって……そこで、あなたの『忘れ物』の理由を聞きました。
……あれは、あなたが作った『マスコット』をお祭りで売ったお金だったんですよね。
河合さんからマスコットのお写真を見せて頂いた瞬間、私はあなたの大ファンになってしまいました!
使用済みの容器や、あなたの会社がボランティアで行っている清掃活動で集めた廃棄物を利用して作った動物のマスコットでしたが、何とも愛らしく、家中に飾りたくなっちゃいました! ……実際に、河合さんのお子様やローランドさんのご親戚にも大好評だったとか……
その売上を、ある被災地に寄付しようとしていた最中、会社からの急な呼び出しで、慌ててカバンを置き忘れてしまったんでしたよね。
あなたも会社の方々も今回のご寄付を諦めていた矢先、私が警察に届けた……ってわけです。
色々お話して盛り上がった後、あなたは河合さんから現金をお借りして私に報労金を下さいました。
……恥ずかしかったけど、会社の皆さんの総意だ……とまで言われて、それ以上お断りするのも失礼だと思い、ありがたくちょうだいする事にしました。
帰りがけに、次のお祭りの日にちと場所をお聞きし、それから何回も訪れてはマスコットを買ったり、販売のお手伝いをしたり……先日はあなたのお宅にお邪魔して、マスコットの製作現場を見せて貰いましたね!
可愛らしいマスコットを作っているにもかかわらず、凛々しい真剣な眼差しとキリッと閉じた唇、そして肌寒い時期なのに額を流れる汗に、ますます魅力を感じてしまいました。
まあ、あなたには面と向かって言えないセリフですけどね……。
……そして、あのクリスマスの日がやってきました……
(続きます)
いつの日か、肩を並べて…… コンロード @com-load
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