第3話 終章―私の手記②―

 私がタモツの日記を写し終えた時、携帯に着信があった。

 

 画面には《三重上タモツ》という文字列が表示されていた。


 画面をスライドすると同時に、何故かビデオ通話の画面に切り替わる。


 ガサガサという耳障りなノイズと共に、薄暗い画面の中に確かに三重上みえかみタモツ本人の顔が映し出された。


「タモツ! 無事なのか!?」


 咄嗟の事に、気の利く問いかけなど思いつかない。

 しかしすぐに、私はタモツの様子が普通ではないことに気が付いた。


 タモツの目は焦点が定まらないまま虚空を滑っており、口の端からはよだれが垂れているのが見えた。


 しかし何かを言おうと、タモツが口の端に泡をためながら、口を痙攣させるみたいにしてパクパク動かしているのが、辛うじて確認できた。


「何だ!? タモツ! お前は今どうなって―」


 おぉーーーい


 そんな私の問いかけに応えて来たのは、タモツではなかった。

 スマホのスピーカーから流れて来たのは、まるで地の底から響いてくるみたいな、そんな声だった。


 通話はそこで途切れた。


 呼ばれているのだろうか、私も。


 


 


 


 

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もらいもの ドラコニア @tomorrow1230

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