短編「タイムトラベラー」

健さん

第1話

現在は20××年8月。気温は、摂氏60度。なので、今や外出する時のみ、宇宙服を、身にまとってから、外出するのである。家とか、室内に、いる時は、脱いではいるが。いかんせん、60度だから、暑さ防止である。この宇宙服は、重たくて、歩きずらいが、しょうがないのであ~る。たとえ、間違っても、この服なしで、この暑さの中、5分、10分歩くものなら、その場で、倒れて、命に関わってしまう。しかも、今後も、年々、70,80度になるだろうと、言われているのである。昔コロナ感染の時代マスクだったが、いまでは、宇宙服なのだ。この、灼熱地獄の、太陽の下、車のボヂィに、卵を、割って落としたら、、。目玉焼き?いや、それを通りこして、もう、あっと言う間に黒く焦げてしまう。そして、車も、もうガソリン車は、ない。すべて、電気自動車だ。半年前くらいから、空も飛べるのである。(ほんまかいな?)当然車も、暑さ対策として、昼間エンジンかかってなくとも、車中は、自動的に、エアコンを、効かせている。夜になり、気温が、下がれば、自動的に、エアコンは、切れる仕組みだ。ちなみに、乗る時は、宇宙服の、頭の部分だけ、外して、乗るのである。俺は、山田太郎。60歳。しかし、この暑さこたえるわ。何十年前は、35,6度だった。(それでも、暑いが。)しかも、日本だけでなく、他195カ国平均気温50~60度だというので、恐れ入る。そして、昔は、日本では、”四季”が、あった。春になり、夏になり、栗、柿が、美味しい秋になり、お鍋が、恋しくなる冬が、くる。しかし、今じゃあ、1年中常夏だ。熱帯国で、フィリピンと、同じになってしまった。今となっては、雪が、懐かしい。当然、これだけの気温だから、海面上昇により、異常に台風が、多く、水害被害は、日常茶飯事だ。床下浸水など、当たり前。空から見たら、家などは、水没して、海の中って感じだ。大雨のため、排水溝も、処理能力を超えて、もうどうにもならない。などで、こんな、気候のため、野菜、フルーツは、育たなくなり、もう今じゃ、口にすることもない。米も同様。じゃあ、皆、何を食べてるのかって?宇宙食である。味も、素っ気もないが、まあ、栄養が、あるので、しかたなく食べているのだ。白いご飯に、納豆や、卵かけて食べた日が、懐かしい。俺は、ある時、近くの大型ショッピングセンターで、宇宙服の頭部分だけ、外して、涼をとっていると、急に30代くらい?の若い男が、声をかけてきた。「今、何年ですか?」「はあ~?何時ですかでしょう?」「いや,何年ですか?」「20××年だけど。」すると、その男は、「”そんな先”まで来ちゃったんだ。」と、わけのわからないことを、言った。「お兄さん、そんな先までって、どうゆう意味?」その男は、頭を搔きながら、言った。「実は、俺、19××年から、タイムマシン使って、来たんですよ。」(この若いの、この暑さで、気でも狂っているのか?そういえば、この男宇宙服着てないし。)すかさず、この男が、言う。「いやあ、こんなに、暑くなっているなんて、びっくり!ですね。」よくみると、時代遅れの、昭和の時代の服着てるし。(こいつ、本当にタイムトラベラーかも?よし、ちょっと、聞いてみよう。)「あんたが、来たという首相は、誰?」「田中角栄さんです。」「って言う事は、昭和?」「そうです。1つ聞いてもいいですか?」「何かね?」「富士山は、噴火しましたか?」「いや、してない。って、いうか、”まだ”してない。何年も前から、噴火すると、言われてきたが。南海トラフ地震も、くると、言われてきたが、”まだ”起きてない。」「南海トラフ地震って何ですか?」「西日本から、東日本の太平洋側で、最大震度7以上の強い揺れとや、10メートル~20メートルを超える大津波が、予想されている大地震だよ。」「ヤバイですね。富士山噴火と、同時に起こったら、もう泣きっ面に蜂、弱り目に祟り目じゃないですか!しかも、今後も、気温は、今以上に、高くなるんでしょう?未来は、けして明るくないですね。」「なんか、俺、この時代に生きているの、嫌になっちゃったよ。若いの、俺も、一緒に”昔の古き良き時代”に連れってってくれないか?」「じゃあ、一緒に”帰りましょう”。」そして、俺は、タイムトラベラーになって、”昔”に戻った。


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