謎のメール
ミジンコ
第1話
僕は、学校帰りにいつも通りの道を歩いていた。しかしこの日は大会前だったということもあり部活が長引いたため、あたりはうんと暗かった。いつも通りの道とはいえ、小さな不安と恐怖を抱きながら一歩一歩進んでいった。
そんな時、僕のスマホに一通のメールが届いた。差出人は見覚えのないメールアドレスだった。この謎のメールのせいで、抱えていた不安と恐怖が少し大きくなった。でもどうせ迷惑メールなのだろう、と思いながらも一応メールの内容を確認した。
――あなたの一日は86点でした。おめでとうございます。
意味がわからなかった。なぜ自分の一日が評価されているのか、そもそも評価をしているのは誰なのか。それに、今日は特別な出来事はなくただ学校に行って部活をしただけで、86点が似合う一日ではなかった。
家に帰ると、テレビの前で驚いた表情の母がいた。テレビを見てみると、奇妙なニュースがやっていた。
「身に覚えのないメールアドレスから、謎のメールが送られるという事態が相次いでいます。」
絶対にあのメールのことだ、と思った。引き続きニュースを見てみると、
「一日の評価をされるという意味不明なメールだということです。詐欺メールの可能性があるため、送られた方は注意をしてください。」
やはり、僕にも送られた謎メールのことだった。結局詐欺メールなんだ、と少し安心した。しかし僕はまだモヤモヤとした疑問を持っていた。86点、そして「おめでとうございます」という言葉はどんな意味を持っているのかという疑問だ。ただの詐欺メールならわざわざ点数をつける必要がない。
ここで速報が流れた。
「先程のメールについての速報です。一日の点数が80点以下だった方に対して、後日大きな不幸が訪れるだろうという旨の手紙が警視庁に届いたとのことです。警視庁は捜査を続けています。」
気味の悪い出来事だと思いながらも、自分の86点という点数に大きく安心した。それと同時に、「おめでとうございます」という言葉の意味がわかった。
なぜ今日が86点もの点数を与えられたのかはわからないが、毎朝太陽が上り、学校に行き、家に帰って寝るという当たり前な日常が幸せなのだ、と勝手に解釈している。
謎のメール ミジンコ @Kentaro1219
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