第17話 それからの明鈴
月香蘭が皇帝の側に仕えるようになって一月がたとうとしていた。
月香蘭は夫人の地位を得た。夫人の称号の一つ徳妃となった。
これ以降、香徳妃と呼ばれることになる。
普通、妃は姓で呼ばれることが多い。霊賢妃がいい例だ。
燕貴妃も香徳妃も姓ではなく名の一字がつけられたのは、皇帝竜星命がいかに彼女らを特別扱いしていたかというのが分かる。
さらに三ヶ月が過ぎた。
見事、燕貴妃と香徳妃がほぼ同時に妊娠した。
皇帝は二人の妃のもとを交互におとずれ、愛したのだから当然といえば、当然の結果であった。
燕貴妃と香徳妃はそれぞれ男の子を出産した。
燕貴妃の子を竜飛翔といい、後に皇太子になる。
香徳妃の子は竜水蓮といい、華王に任じられ皇族の一人として皇太子竜飛翔を支えることとなる。
また、月香蘭の子の志真は烏次元と明鈴の養子となり、
夏が過ぎ、冬の到来が間近に思えるようになったある日のこと明鈴は庭の花に水をあげていた。
とことこと志真がやってきて彼女の手を握る。
「か、
と志真は言った。
「
志真は明鈴の手をひき、烏次元のもとに連れていく。
宮廷から帰ってきた烏次元に明鈴はその日あったことを報告する。
「旦那様、志真がはじめて私のことを
涙目で明鈴は言う。
「そうか、それは吉事であるな。麻伊にたのんで美味しいものでもつくってもらおうか」
美しい笑みを浮かべて、烏次元は言い、明鈴と志真を抱きしめた。
終わり
見鬼の女官は烏の妻となる 白鷺雨月 @sirasagiugethu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます