昨今のヤンデレ業界にはどうしてもヤンデレを一つの型のようにして語る風潮がある。
やれ包丁がどうだ、好き好きと連呼するのがどうだ、監禁がどうだ、心中がどうだ・・・そういった記号化されたヤンデレをほらこれが好きなんだろうとお出しされてもまるで中身が伴わない、食品サンプルのような見せかけの興奮しか得られないのだ。
ヤンデレの根本にあるのは対象への大きな愛情。この人にどこまでも尽くしたい、この人のためになんでもしてあげたいという愛情なのである。
この作品のヒロインである主人公を愛する人形のヒロインは必要以上に好き好きと連呼しない、監禁もしない、心中だってしない。しかし、作中の端々から主人公を愛する行動、思想が垣間見える、その端っこから見える美しさこそが僕たちが待ち望んでいたヤンデレなのだ、僕たちが愛する純粋な美しい愛なのだ。
さぁ、ヤンデレスキーたちよ。ここに集い、歌い、笑い、ともにこの傑作を楽しもうじゃあないか。
クール人形ヤンデレヒロインに栄光あれ!!クズ野郎異世界紀行に栄光あれ!!
まずチーレム無双では無いのがいい、呆れる事も無く
それでいて納得あるリアリティで読み続けられる
漫画アニメになっていないのが不思議なレベルの完成度
自分は色々と読んできてこれが漫画家すれば間違いないという予想は外したことが無い
この作品は異世界おじさんやフリーレンほどでは無いが
魔法少女に憧れて、見える子ちゃんレベルの完成度
執筆前によく考えて、練っているんだなと思う
ただ坊ちゃんや甘ちゃんにはグロや非情さがウケ無い部分もあるだろう
いつ漫画になってもおかしくないので漫画家選びは他人任せにするのではなく
原作者も絵や人物像などの確認をして欲しい
そして今のうちに書き溜めておいてくれ
異世界転生・転移作品、いろいろ読んできたけど、
自分はこの主人公の感情・行動が一番共感できるかな。
その世界の価値観や法律・不文律がわからない状況、
絶えず自分の身に危険がある状態になったら、
他人の幸せや評価は興味ない、自分本位・自己中心的(クズ)になるよ。
話の導入部分こそ良くある異世界モノだけど、読み進めるにつれ、
各章に登場する人物の個性、物語の構成がしっかり練られているのが解る。
スラスラ読める文章力と話しのテンポも良い。
各章の最終話は「主人公と人形」の行く末はどうなるのだろうかと、
不安と期待が入り混じったような、しんみりとした読了感。
昔の映画のエンディングのような、名曲が流れてくる雰囲気を感じる。
おススメです。