ドリーム小説
「よし、できた!」
最後の一文字を入力し終えると、僕はすぐに保存ボタンを押した。(保存が完了しました)表示を確認し、タブレットを机の上に置く。腕をゆっくり上へ伸ばして、すぐに脱力した。
「本当に書けちゃったよ、小説」
僕は興奮していた。たったいま、人生で初めて書いた小説を完成させたから。
今から五日前、小説投稿サイト主催のコンテストを偶然ネットで見つけた。名前の一部に「甲子園」という単語が使われているこのコンテストは、現役の高校生からの応募を待っていた。
(おもしろそう……!)
とても興味がそそられた。
課題を早々に終わらせ、ゲームやスマホでYouTubeばかり見る刺激のない一日を繰り返していたので、なにか刺激になることをやってみたかった。
すぐにGoogle検索をして、ホームページを見つけた。しかし、リンクをタップしようとした手が止まった。
――小説を創るなんて、難しそう。
小学生の頃、読書感想文が苦手だった僕に小説なんて書けるのか。創作に対するハードルを感じている自分がいた。
だが、そんな心配はすぐに消えた。賞の規定に原稿用紙一枚分の文字数から挑戦できることが書かれてあったから。
(これなら……)
書ける気がした。右も左もまったく分からない。だけど、自分なりにまずはやってみることが大切なんじゃないか。時間はたっぷりとある。だから……。
僕はワークスペースを立ち上げた。そして、書き出した。
そこから、創作に全集中した五日間となった。
頭の中に浮かんだことを、形にしていくことが、とても楽しくて、筆がどんどん進んだ。入浴、食事、睡眠以外の時間は、タブレットでの執筆に当てた。
気が付けば、四百字はゆうに超えていた。
文字数は、
――千四百二十七字。四百字詰め原稿用紙換算なら、四枚目の半分までいっている。こんなにいくとは思ってもいなかったので、僕自身、とてもびっくりしている。
もう一度、タブレットを開いて、完成した小説を読んでみる。誤字や脱字の確認も行うと、
ふー……。
一息ついた。そして、決めた。
よし、応募するぞ……!
リンクへ飛ぶ。僕は、心の中で両手を合わせながら、応募フォームをクリックした。
ドリーム小説 醍醐潤 @Daigozyun
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