一章11話 メイドと冒険者ギルド

「なんか、すげぇな」


街に入った途端に左右2人づつ並び、綺麗に頭を下げるメイド達をみて、そんな事を言うグレディア。


「もう!お父様ですね!こんな事するのは!?」

顔を真っ赤にしながら怒るカティナ。

「まあまあ、当主様もかなり心配したのでしょう」

その怒りを宥めるガルム。

「ほう!人間と言うのは偉くなるとここまで歓迎されるのか!」

それを興味深く眺める謎の青年。


「なあデリオース、お前俺よりイケメンじゃねぇか?」

「そうですかね?あまり人化の姿など、気にした事ないから分かんないですね」

「大丈夫です!グレディアさんもカッコいいですから!////」

「お嬢様…もしや…」


そう、謎の青年は人化したデリオースなのだ。

人化したデリオースはかなりのイケメンだ。

ハリウッドスターのような容姿に、黒い髪切れ長の目は凶器のような鋭さと危険な香りを放つダンディさを漂わせる。

それにマッチするダンディな声もまた、人を引き寄せる魔力を放つ。

中身は小物だが…

中身と見た目が釣り合ってないんじゃ…

と、そんな話は置いておいて。


「すみませんお嬢様、そちらの御二方は?」


1人のメイドが訪ねる。

ほんわかした雰囲気を漂わせながらも瞳の奥に確かな強さを持たせる。

どうやらこのメイド、かなりの強者なようだ。


「あ、クレアごめんなさい、こちらの方々は王都からの帰りに盗賊に襲われたのを助けていただいた命の恩人の御二方です。」


「まぁ、こいつに関しちゃ命を狙ってる側だったんだがな」ボソッ

と、中々の畜生発言をするグレディア。

まあ聞こえてはいなかったようで訪ねたメイド…クレアは瞳の奥に隠した殺気を引っ込めほんわか全開にし、驚きながら。


「なんと!?それはそれは!?」

そして、グレディア達の方へ向き直り、スカートの両端を摘み上げ足を交差し頭を下げながら。


「私は、レディアン公爵家にて、メイド長を務めさせて頂いております。

クレアと申します、この度はお嬢様方をお助け頂き、感謝致します。

お屋敷の方でご歓待させていただきたいのですが、突然の事で何も準備をしておりませんので明日の朝にレディアン公爵家に来ていただきたいのですが…」


その言葉を聞いた瞬間、グレディアは苦笑いを浮かべ。


「勘弁してくれ、そういうのは苦手なんだ礼の言葉はいま受け取ったからさ」

そしてクレアは驚愕しながらも。


「なんと!?それはいけません!

お嬢様の命の恩人をタダで返したとあっては公爵家の名に傷がついてしまいます!

そうなれば、わたくしは首になり、もしかすれば打ち首!

そんな、どこかにわたくしを助けてくれる人はいないのかしら!?」


泣きまねをしながらそんな事をほざくクレア。

ここまで強かじゃないと、公爵家のメイド長なんてできないのだろうか。

その言葉に唖然とするグレディア達。

カティナ達も苦笑い気味だ。


「あぁ、どうせ打ち首になるくらいなら…

わたくしここで死にますわ!」

と、どこから出したのか分からないナイフを首筋に当てながら言う。


「わー!わかった!わかったから!明日行けばいいんだろ!」


「はい、では明日の11時30分にお屋敷にお越しください。

お待ちしておりますので。」

スッと元の姿勢に戻り、頭を下げながらそう言う。

そんなクレアを見て、さらに唖然となるグレディア達。


「では、本日は失礼致します。

明日、お待ちしております。

さ、お嬢様はやく参りましょう、旦那様がこれでもかと首を長くして待っておりますので」

「グレディア様、デリオース様、本日は誠にありがとうございました。

失礼致します。」

と、礼を言うカティナ。

いまだに、グレディア達は唖然としている。

そのまま、屋敷へと帰路に着くカティナ達を眺めながら…


「なんか、嵐のような方でしたね…」

「あ、あぁ、そ、そうだな…」


数分後


「さて、さっきのことは忘れて冒険者ギルドに行くぞ」

「でも明日、屋敷に行くんですよね?」

ゴ、ゴホン


「さて、気を取り直して冒険者ギルドに向かうぞ!」

「まぁ、そうですね…冒険者ギルドってどんなところなんですか?」


ジト目になり、そう言うデリオース。


「知らん!」

「え、えー!?知らないのに行こうとしてるんですか!?」

「今の冒険者ギルドなんて知る訳ないだろ」

「ま、まぁ、そう言われれば確かに?」


そして、仲良く駄弁りながら冒険者ギルドに向かうふたり。

その途中で、さっきの襲撃のことの話題になる。


「そう言えば、あいつら大丈夫なんですかね?」

「あいつらってどいつらだ?」

「あの、趣味悪い服着て襲ってきた奴らですよ」

「あぁ、あいつらか、さぁな大丈夫かどうかは知らないさ…だが、最終的には潰さないと行けないだろうな」

もし、あのラスボスが生き返るなんて事になったら大事だ。

と、心の中で言う。


「そういえば、冒険者ギルドってどこだ?」

そんな言葉にズッコケそうになるデリオース。

「知らないんですか!?

知らないで、歩いてたんですか!?」


「あぁ、知る訳ないだろ?」

何を当たり前な事を、みたいな顔をするグレディア。

「くそ、その顔にこの拳を叩き込んでやりたい…」

そして、敬語が抜ける程の殺意を拳に迸らせ顔の前で握るデリオース。


スンッスンッ…


「なぁ、なんかめっちゃいい匂いしないか?」

「それはずっとしてますよ、なんならいろんな匂いが混ざってなんの匂いか分からないぐらいですが」


さすがはドラゴンだ嗅覚などは並外れている。

そして、臭いを辿ってその道を行くグレディア達。


「お、あの店だな!…すみません」

「いらっしゃい!おぉ、にいちゃん達冒険者かい?えらい男前だなぁ」

「ありがとうございます!なんの肉ですか?」

「ライジングボアの串肉だよ!」


ちょっと…いや、かなり厳ついおっさんがやってる屋台の様なお店で、網で串焼き肉を焼いていた。


「じゃあ、それ2本で!」

「まいど!銅貨4枚だが、2本買ってくれるってことで3枚にまけてやるよ!」


随分と気前のいいおっちゃんだ。


「ありがとうございます!

じゃあ、これで!」


そして、金だけはゲーム時代にかなり貯めていたグレディア。

だが、この世界の人達にとっては古代の遺跡で見つかる様な銅貨だ。

それでなお、かなり綺麗な状態で差し出された串焼き屋の店主はどうなるか。

答えはこう。


「んな!?古代の銅貨じゃねぇか!?

こ、こんなもん、受け取れねぇよ!?

しかも、すげぇ綺麗だし!何もんだあんた!?」

かなり厳つい顔を焦りと驚愕に染める店主。

「あ、そうか、これって古代の貨幣になるのか…でも、これしかないんで、これで取っといてください、4枚でしたよね?」

ちなみに古代の銅貨は1枚あたり、金貨100枚が動く程、貴重だ。

しかも、それは古びた状態での話。

こんな綺麗な状態の物はおそらく、白金貨に手が届くのでは無いかと言う程だ。

ちなみにだが、この世界の貨幣の価値は(今更)

鉄貨が最初

そして、銅貨(鉄貨100枚)

銀貨(銅貨100枚)

金貨(銀貨1000枚)

白金貨(金貨10000枚)

と、なっている。

金貨で言えば10000枚の価値のする、銅貨…

アウトである、それを4枚も出された店主はどんな顔をするのか、なるほど唖然として、どことなく引いている。


「い、1枚で十分デス。」

きおつけ!の状態で片言になる。


「そういえば、冒険者ギルドってどこにあるんですか?」

「なんだ、この街に来たばっかかい!それならあそこの剣と盾と杖が描かれた看板がギルドだな!」


速攻切り替える店主。

さっきのはなんだったのか…


「ありがとうございます!」

「おう!頑張れよ!」

「はい!」


そして、冒険者ギルドの前に立った瞬間に扉が開かれ、そこから1人の大男がくの字に折れ曲がり、吹き飛んできた。

それに巻き込まれたグレディア達だが、それで吹っ飛ばされる程、柔ではない。

その大男を足で受け止め逆方向に蹴り飛ばす。

足で受け止められた瞬間に逆くの字に折れ曲がり、泡を吹き意識不明の状態となる。


「なんだ?いったい!」

そして、奥を見ると側頭蹴りの体制の少女が立っていた。



本日はここまでです!

お越しいただき、誠にありがとうございます!

少しギャグ要素高めで書いたんですが、少しは笑っていただけたでしょうか? 

だとすれば幸いです。

さてさて、謎の少女が現れましたね〜。

なにやつ!?ってやーつですねw

では、またお会いしましょう!

あ、ちなみに新しい小説も書いておりますのでそちらも是非お読みください!

次回を乞うご期待!


To be continued……







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覇王〜ゲーム時代の能力で異世界転移〜 天鳳 永遠 @eika_tenou

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