黄金期の日本SFファンにはたまらない大傑作。

 実は中学生の頃のワタシは日本SFにハマっておりました。当時は日本SFの黄金期と言っても過言ではなかったと思います。その当時の日本SFビッグ3と言えば、星新一、小松左京、筒井康隆の仲良し3人組。中学生の私ワタシもこの3人のSFを読みふけっておりました。

 星新一の日常が非日常的になったとき個人は何を選ばせるか考えさせるショートショート。小松左京のきっちりと科学的考察を重ねた上での日本と言う国や世界人類の滅亡を描く長編SF。そして筒井康隆のSFの枠を超える狂気じみたナンセンス小説や実験的小説の数々。実に素晴らしい読書体験でした。

 しかしながら、星新一のショートショートを最後にここ十年以上、かつての日本SFビッグ3の作品からは遠ざかっておりました。でも、まさかカクヨムでその後継者と出会えるとは思ってもいませんでした。それが三流FLASH職人さまの大傑作、『にんげんホイホイ』です。

 星新一の一人一人への非日常をどう生きるかという問いかけと、小松左京の日本と言う国家や世界の滅亡と言う状況に人はどう立ち向かうべきかと言う問いかけ。その2つを1度に味わえるとんでもない作品です。星新一と小松左京を足して2で割ったのではありません。その2つの作風を同時に味わえる作品なのです。2度おいしいのです。

 10月1日に出会ったワタシはあまりの面白さにずずずずっと引き込まれてしまって、最初から最新話まで一気読みしました。一気読みと言うのも久しぶりのことです。

 それぞれ各自の欲望をかなえる、小さなウインドウにが全人類の周りに現れます。そして、主人公を残してみんながウインドウの向こうの世界に消えていきます。向こうの世界へ行くことをためらった主人公は、まだ消え残っている人間を求めて旅することを決意します。

 続きは作品本編をご覧ください。

(追記)さらに最近は筒井康隆的なシュールで下品なスラップスティックな笑いまでしっかりと取り入れてくれています。まったくもう、どこまで進化するのでしょう! 

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