第48話

 聞きたい事か……。

 俺は、この新堂という教師に興味を持ち始めていた。

 多分、元々この世界で生きていた俺も、この教師には随分心を開いていたのかもしれない。

 それは、相違点を見つけた際に浮かぶこの世界の俺の記憶が、その感情が今の俺に湧き上がってきたからだ。

 新堂はきっと、自分の価値観というものを確かに持っている。そして、それを教師という立場でもそれを貫いている。

 なるほど。

 指導室で、咄嗟にこの質問をしてみようと思ったのは、そのせいか。

「もし……ですけど……」

 俺は意を決して、指導室で聞こうとした質問を新堂に投げかけた。

「もし……自殺をしようとしている生徒がいたら、どうしますか?」

 俺の質問に、新堂は目を丸くして紫煙を吐き出した。

 その反応も無理はないだろう。話の流れとしては、あまりに突拍子もないものだからだ。

「自殺ねぇ……」

 そう言って新堂は、タバコを咥えたまま頭を掻いた。

「とりあえず、タバコを勧めるかな?」

「は?」

 平然と言ってのける新堂に、俺は思わず間抜けな声を漏らす。

 全く意図が読めない。というか、未成年の生徒にタバコを勧める教師に、俺は心を開いていたのか?

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自殺したらパラレルワールドの自分に転生? 木林児 @kirinmori

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