あなたと出会えた事が、何よりも私を強くしてくれた

ちょっとした恋愛もの。素敵な作品。
人は見かけによらないよりも、見かけで判断してしまうことが多いことを思い出させてくれる。

本作は一人称ではなく三人称。
冒頭部分は神視点であるものの、親友の松下恵麻を含めた周囲の人間、クラスメイトが彼女に抱いている総意の印象だと考えられる。
みんなの心のなかでは、数学と理科はズバ抜けていても、他がからっきしじゃね、とバカにして笑っているのかもしれない。

「私が身軽なのは、恵麻のおかげだけどね。さすがに一人じゃ、怖い」
真唯がいっているように、恵麻を世渡りの物差しにしている気がする。
真唯は入江流星に、恵麻と話していた言葉を口にしたのだろう。
入江流星と仲良くなれたのも、恵麻のおかげなのだ。
恵麻は彼に興味がないから真唯と仲良くしても気にしないけど、わたしの誕生石のガーネットをもらっていいな、という気持ちはあると思う。

最後、真唯は大事そうに、入江流星からもらったガーネット石を撫でている姿が可愛い。
数学と理科以外で、彼に初めて興味をもったのかもしれない。