鬼眼隊の日常
ひか
~恐怖の鬼ごっこ編①~
「……ん?あれ、ここどこ?」
ヒカが目覚めるとそこは、 見覚えのない 部屋だった。 部屋の真ん中に布団が敷かれていて、 自分はそこで誰かに寝かされ たらしい。 身体を起こし辺りを見回す。 部屋の端には下の階に降りる階段があり、そこから、 誰かの声がかすかに聞こえる。
(まさか監禁…とかじゃ... ない... よな?)
考えていると、誰かが階段を登る音が聞こえた。
(ま、まさか俺を監禁した犯人か!? もし そうだったら、逃げられない! どうしよ う....)
怖くなって、目を瞑る。
「あれ?ヒカ起きた?おはよう。」
声がした。
「へっ?」
その声に聞き覚えがあったヒカは目を開け、ゆっくり声のする方に顔を向た。
「え?先生!?何で?」
黒鬼が人間の姿で扉の前に立っていた。
(なぜここに? 先生が俺をここに連れて来 た理由は?まさか、 また“アレ”をするの か?それとも_)
「ねぇ、聞いてる? その呼び方嫌だか ら、やめてくんない?」
「今、 そんなことどうでもいい。 何でこ
こにいるの?どうして俺をここに連れて
来た?教えてくれ。」
「んー、......!」
と、先生が何かに気づいた様に真剣な目で窓の外を見ている。
「...?」
(何を見ているんだ?)
すぐに視線を戻し、
「実はさ、 ヒカに手伝ってもらいたく
て、ここに呼んだんだ。」
「何の?何の手伝いなんだ?」
「それは...そこに行ってからのお楽しみ。ひみつだよ♪」
先生がニコッと笑う。
「ひみつ?今は教えてくんないの?」
「うん。後で教えるから楽しみにしてて。」
「 ......。」
(本当に何も無いのか?てか、こ こはどこなんだ? … 今は何も無い からいいけど、もし何かあったら....)
今、先生は手をポケットに入れたまま、 外をじっと眺めてい る。
「どうした?具合でも悪いのか?」
ヒカに気づいて声をかける。
「...いや、 何でもない。」
「そう、それならいいんだけど。...じゃあ、付いてきて。」
言われて、いっしょに階段を降りる。
「な! なにこれ!?」
下の階は、ボロボロだった。
「ここは、 元々若者のお客さん に人気のバーだったんだよ。 木 をメインにしたバーっぽくない 空間が逆にウケたんだって。」
確かに言われて見ると、バーっ ぽいカウンターがヒカの目の前 ある。 だが、 それ以外は木とガ ラスの残骸と化していた。 柱は バキバキにへし折れ、 窓ガラス もそこかしこに破片が飛び散っ ていて、まるで災害にあったようだった。
「ねぇ、 先生。なにこれ?誰がやったの?」
ヒカが振り向き、先生の方を見 る。
「...ヒカはこのゲームで鬼を見つ けられるかな...」
ボソッと呟いた。
「え?」
「... ヒカはさ、 かくれんぼや鬼ごっこって得意?」
「え?なに、急に。うーん...まぁ得意ってほどでもないけど...まあまあかな。」
「へぇ、そうなんだ.....」
「.....?」
「そっか.....じゃあ、頑張ってねっ!」
「へ?何を...うわぁぁぁぁ!」
ヒカは突然腕を掴まれて、ボロボロの窓から外に放り出された。
外に放り出されたヒカは背中を思い切り固い床に打ち付けた。
「いててて...ここ、どこだ?」
見渡すと、ファストフード、カレー、うどん、ドーナツ、アイス....たくさんの食品店が並んでいる。
ヒカは目の前のボロボロな店に入った。壁や看板は錆びていて、今にも崩れそうだ。
だが、どこかで見覚えがあったヒカはぐるぐると見回す。
(あ...思い出した.......)
「幼い時に、ハルと両親と四人で来たんだ...。名前は、確か.......」
名前を思い出そうとした時、
『.....だずげでぇ...』
どこからか、かすれた声がした。
「.....!」
声は外から聞こえている。
急いで声のする方へ向かう。
「.......っ!」
子供たちが傷だらけで床に転がされていた。
「一体、誰がこんなことを...」
「あれ?ヒカ?どうしてここに?」
声をかけられた。
「え!レン?どうしてここに?」
レンだった。
そして、その後ろに見慣れた二人組がいた。
「「ひか、久しぶりだな!」」
ひかの小学生の時の同級生、翼と涼だった。
「クロに言われたんだ。ここのモニター室で監視をしてほしいって。」
と蓮が言う。
「え?先生が?」
「うん。」
「ふぅん、監視ねぇ...。あ、二人はさ、なんでここに来たの?」
「うーん...なんとなく遊びたいなーって思って...。」
「そしたら、突然扉が閉まって、俺たち閉じ込められちまったんだよ!」
「扉?どこの?」
「一階のフロアにある大きな扉だよ。」
「これが、その扉?」
みんなで扉の前までくるとヒカが言った。
「そうそう。この扉だったよね?」
「けっこう大きいな...」
ヒカが自分よりも数倍はある扉を見上げていると、
「ねぇ、みんな。...空、こんな色だったっけ?」
外の景色を見ていた翼が言った。
「確かに!まだお昼なのに、空が赤いね。」
涼も気づいたように言う。
「なんか、いやな予感がするな...」
レンがつぶやいた。
「「え?」」
「いや...なんとなくそんな感じがしただけ。勘だよ。」
「あぁ、そういえばさーー」
ヒカが言いだそうとした、その時だった。
ーーカチッ!
突然モール内が真っ暗になったのだ。
「「「「キャーーーーー!!!」」」」
パニックになった人たちで、おしつぶされそうになりながらもなんとか脱出。
ひかは鬼の眼を使い、懐中電灯などの明かりを探すため暗闇の中をゆっくり歩いていく。
鬼眼隊の日常 ひか @HikageAsagiri
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